救出
疑心暗鬼、それを誘発してくるウザったいモンスターか。
何か、こいつらが今回のモンスター騒動のボスなのかも知れないと思うくらいだ。
だけど、あいつらは虫だ、そんな知能があるとも思えないが・・・いや、擬態出来るんだし可能性はあるか。
まぁ、考えても仕方ない、とにかく遥人達を探さないとな。
「おい! 誰かいるか!」
俺はとにかく大きな声で探し回ることにした。
こんな状況で大声って言っても、あまり意味は無さそうだけど。
でも、視覚だけじゃ、とてもじゃないけど探しきれないんだよな。
「・・・がう」「ふむ、中々見つからない物だな」
「だな、何か目星を付ける方法があれば良いんだが・・・」
「がうぁ」「そうだな、匂いで何となく分かるには分かるが、擬態かどうかは分からぬな」
「匂いで分かるのか!? じゃあ、やってくれよ!」
「がぅ」「分かった、だが、曖昧な情報しか分からないぞ」
「それでも情報が無いよりはマシだ、頼む」
「がう」「承知した」
まさかシルスは匂いで周りを探れるとは・・・なら、最初からやって欲しいんだけどな・・・
まぁ、指示をしてなかったし、仕方ない、とりあえず、これで探すのは簡単になるはずだ。
あとは、その場所を探して、真野の目で確認して判断という感じで良いだろう。
「がう」「あの建物だ、あの崩れかけてる建物から匂いを感じた」
「た、建物か・・・何か、嫌な記憶が・・・」
「あはは、私もだよ・・・引っ付かれないかなぁ・・・」
「がう」「それで? どうする? 近寄るか?」
「あぁ、頼む」
シルスは俺の指示を聞いてくれて、その建物に向って移動した。
しかし、かなり崩れかけた建物だな、ボロボロじゃ無いか。
こんな所に誰かいるのか?
「誰かいるのかな?」
「そうは見えないが、シルスが言うんだ、そうなんじゃ無いか?」
「がう、がぁ」「何かがいるのは確かだ、周りには人は居なかったからな」
「確かにな、じゃあ、この建物の中しかあり得ないって事か」
「がう」「そうだ」
「じゃあ、警戒して探すとするかな」
「そうだね」
俺達は武器を構えて、崩れかけた建物の中に入っていった。
シルスは入れないから、外で待って貰っておくか。
「大声で叫んだ方が良いかな?」
「・・・あぁ、そうだな、その方がわかりやすい」
「よし、誰かいませんか!? いたら返事して!?」
「助けに来たぞ!」
俺達は叫びながら、その建物の色んな場所を探し始めた。
しかし、さっきっから呼びかけているのに、返事は無い。
本当にいるのか? でも、シルスはここにいると言っていたしな。
「おい! 誰かいるか!?」
俺が大きな声で叫びながら、扉を開けようとすると、扉がいきなりすごい勢いで開いた。
「おわ!」
「この! 仕留める!」
「な!」
俺はいきなり飛びだしてきた男の子の攻撃を急いで防いだ。
「お、お前は!」
「な、ま、マジかよ!」
その飛び出てきた男の子は亮だった、亮はかなりボロボロな姿だ。
「しゅ、修介! な、む、虫じゃ無いな・・・」
「虫じゃない、てか、え? 何でお前がここに!? 美香達は?」
「あ、あぁ、俺達は別々でいたから、俺は遥人と一緒に居たんだ」
「じゃあ、遥人は何処だ?」
「怪我をして、今はこの部屋で休んでる・・・」
「な、なに? 凄く大きな音が・・・って、亮じゃん!}
「ま、真野もここにいるのか!?」
丁度タイミング良く真野が3階から降りてきたな。
「とにかくだ、遥人の怪我はどんな感じなんだ?」
「あぁ、こっちに来てくれ」
俺は亮に遥人が倒れている場所に連れて行って貰った。
「ここだ、結構ボロボロで、回復にも時間が掛かるし」
「あぁ、こりゃぁ、結構な怪我だな」
遥人は背中から思いっきり斬られたような跡がある。
そして、まだ血も出ている、酷い傷だな。
でも、そこは前衛職だ、まだ息はある。
「俺じゃあ、どうしようも無いんだ・・・」
「そうだろうな・・・よし、癒子、回復できそうか?」
「うん、任せて!」
癒子は遥人の方に乗っかり、力を溜めた。
そして、遥人の傷は、すごい勢いで回復、かなり深い傷が、ほんの数秒で完治だ。
「回復できたよ!」
「あぁ、やっぱり速いな」
「うぅ・・・」
回復はした、しかし、遥人は起き上がる気配が無い。
傷が深いせいで、完治しても意識を失っているという所か。
「起き上がらないな・・・」
「気を失ってるな、あんなに深い傷だ、当然だろう」
「うん、精神の回復は私はまだ出来ないから」
「とにかくだ、さっさと運ばないとな」
「そうだな」
亮は遥人を抱きかかえて、俺達と一緒にこの建物から出ようとしたが
その時、もう限界だったのか、建物が崩れ始めた。
「うわぁ! や、ヤバいぞ!」
「さっさと出るぞ!」
俺達は必死にその建物から飛び出し、何とか巻込まれないですんだが・・・
あ、危なっかしい、あと少し俺達が来るのが遅かったら、こいつらは下敷きになってた可能性があるな。
そうなったら、亮は大丈夫だろうが、遥人はもう間に合わなかったかも知れない・・・間に合って良かった。
「ふぅ、な、何とか抜け出せたな・・・」
「あぁ、危うくぺちゃんこになるとこだった」
「がう」「ヤバいと思ったが、無事で良かったな」
「シルス、お前も来ていたのか?」
「がう」「私が居た方が動きやすいだろう? それよりも、急いで移動したい」
「でも、3人が限界なんだろ? 4人は難しいんじゃ無いか?」
「がう」「大人が3人だと厳しいだけだ、子ども3人に大人が1人なら問題は無い」
そうだな、俺以外は皆背が低いからな、これなら4人でも乗れるのか。
「がうぁ」「それじゃあ、速く乗れ、この場から離脱するぞ」
「あぁ、分かった」
そう言えば、何処で合流するのか何て聞いていなかったな・・・まぁ、最初の場所で良いか。
俺がそんな事を思いながら、シルスの背中に乗ろうとしたら、丁度りえるさんから通信が来た。
{皆に言い忘れていたけど、集合場所はギルド管理所ね、私達は美香と亜那ちゃんを見付けたから
移動するわ、じゃあ、ギルド管理所で会いましょう」
無線はそこまでいうと、途切れた。
やっぱり司令官のサブ職業って便利だよな。
「じゃあ、シルス、ギルド管理所の方に行ってくれ」
「がう」ギルド管理所? 何処だ?」
「そうだな、チャチャとあった場所だ」
「がうぁ」「あぁ、あそこか、承知した、では、しっかりと掴まれ」
そして、俺達はギルド管理所の方に急いだ。
本当は生存者を探したいが、沢山を同時に運ぶのは困難だからな、仕方ないか。




