生存者を探して
俺達はりえるさんの指示通りに一斉に散らばり始めた。
目的はとにかく生存者の救出だな、でも、その生存者も敵である可能性が高い。
何せ、何かに擬態するモンスターが相手だ、もう誰も信じれない状態にあってもおかしくない。
何というか、トコトンまで嫌な相手だな、これは、疑心暗鬼が広がる一方だろう。
でも、だからこそ速攻で救い出さないと駄目だ、そうしないと、ヤバい。
「誰か居るか!」
俺は大声で叫びながら、生存者を探す事にした。
と言うか、それ位しか出来そうにはない。
仲間の位置とかが分かるわけじゃ無いからな。
「返事は無いね」
「何度も叫ぶしかないだろう」
俺達は大きな声を出して、周りを探すが、やっぱり誰も出て来ない。
こんなに建物が多いし、あまり声が響かないのか?
いや、むしろ建物の多い場所の方が聞えそうな物だが・・・
もしかして、もうすでに全滅してるのか?
俺がそんな事を考えていると、目の前に1人のプレイヤーの姿が見えた。
「お、生き残りか!?」
「違うよ、あれはモンスター、よく分かるよ」
「そ、そうかよ」
「がう!」「ならば、仕留めよう!」
シルスがそのプレイヤーに向って、爪で攻撃を仕掛けた。
そして、そのプレイヤーはすぐにモンスターの姿になった。
「やっぱり偽物か」
「本当に面倒だよね・・・これは・・・」
「あぁ、全くだ」
俺達がそのモンスターを倒し、少し進んだときに、大きな銃声が聞えた。
「な!」
「がう!」「なに!」
シルスはその銃撃を何とか回避して、銃弾が飛んできた方向から隠れるために建物の影に隠れた。
「銃撃? モンスターの仕業!?」
「違う、多分、モンスターの仕業じゃ無い、探検家だろう・・・」
「な、なんで?」
「いま、冷静になって考えてみるとだな、あのモンスターは武器を持っていない気がするんだ」
「え? ど、どういうこと?」
「服は着てる、でも、本来の相棒は居ない、美香にはダイアが居なかったし
さっきすれ違った探検家は騎士の様な見た目だったのに盾も武器も持ってなかったしな」
少し冷静になって考えてみると分かることだったな。
でも、まだ擬態した奴は2体しか見てないし、正確な事は分からない。
「でも、これが正確だと自信を持って言えるわけじゃ無い
なんせ、まだ2体しか見てないんだからな」
「でも、可能性は高いんでしょ?」
「あぁ、可能性は高いと思う」
それで、もしも俺の考えが当ってるとすれば、武器による攻撃はモンスターには不可能だろう。
なら、あの銃撃はモンスターでは無くプレイヤーの可能性がかなり高いだろう。
「とにかく、この通路は進めないな、狙われてる以上、迂回しよう」
「がう」「それが良いだろう」
俺達は迂回して、別の通路を進むことにした。
ここは建物が多いからな、迂回路は沢山ある。
「誰か居るか!」
俺達は迂回を始めて、生存者を探すことにした。
「・・・だ!」
そんな時、小さく声が聞えた、近くに生存者が居るのか!?
「どっから聞えた!?」
「がう!」「こちっちか!」
シルスにはその声の出所が分かったようで、急いでその方向に進み始めた。
その場所は近くの建物の中のようで、俺達はシルスから降りて、その場所に急いだ。
「おい! 何処だ!」
「こ、こっちだ・・・」
「この扉の向こうだな!」
俺と真野はその声が聞えた扉を開け、中に入った。
そこには虫のモンスターの卵がわんさかあった。
「な、何じゃこりゃ!」
そして、俺達が入ると同時に、その卵が一斉に孵り、俺達の方に飛びかかってきた。
あぁ、全方位からの襲撃だと!? クソ! 面倒くせぇ! 声まで真似てくるか!
「畜生が!{ストーム}」
俺は目の前のモンスター達をストームで撃破して、真野を引っ張り、窓の方に逃げていった。
後方に逃げるのが良いんだろうが、多分、後ろにも卵はあっただろうしな。
「急げ!」
「うわぁ! ひ、引っ付かないでよぉ!」
「うおらぁ!{テンペスト}」
そして、窓から飛び出すと同時に、その場所にテンペストを放った。
その威力によって、そこの卵と虫たちは一気に倒せただろう。
「うおわぁ!」
「お、落ちるって!」
「がう!」
俺達が落下していると事に、シルスがやって来て、俺達を何とか背中でキャッチしてくれた。
「し、シルス!」
「がう!」「空から降ってくるとはな、何があった?」
「あぁ、生存者だと思ったら、トラップだった、嫌なモンスターだぜ」
「がう」「それは確かに嫌だな、まぁ、無事で良かった」
「あぁ、所で真野、何か虫が引っ付いたそうだが、大丈夫か?」
「うん、引き剥がしたからね」
「そうか、良かった、にしても、何だよあれ、ヤバすぎだろ!」
おとりで引き寄せて、不意打ちで攻撃してくるんだ、この状況だとヤバすぎる!
擬態して不意打ち、おとりで不意打ち・・・マジで嫌なモンスターだな・・・
「この事を何とかしてりえるさん達に伝えたいな」
「そうだね、これは色々と危ないもん」
「そうだ、声が本物か偽物かとかを聞き分けることは出来るのか?」
「む、無理かな・・・そこまで耳が良くないし・・・」
「がう、がぁ」「もしかしたら、私なら可能かも知れない」
「え? 本当かよ!?」
「がう!」「あぁ、声に違和感があったんだ、だが、勘違いだと思ってな」
「なるほどな、その違和感が分かるなら聞き分けれるわけだ」
「がう」「あぁ、今度からはそう言う物は伝えよう」
ふむ、シルスのお陰で何とか回避する算段が付いたな。
これで、俺達はそこそこ安心して生存者を探せるわけだ。
残った問題は探検家だな、俺達が偽物じゃ無いと、どうやって伝えるべきか・・・
考えながら生存者を探すとするかな。




