目標達成!
狂気染みたダンジョンを抜け出し、無事にギルドの方まで戻ってきた俺達。
しかし、ギルドは最初と変わっていなかった。
「おかしいわね、ダンジョンを2つも攻略したのに変化無し」
「どういうことでしょうか」
「分からないわ、うーん、どうなってるのかしら」
りみるさんも変わってない理由は分からないようだ。
しかし、皆のレベルも上がって、それにダンジョン、実績も少しは出た。
初めての討伐、初めてのパーティー等の初心者用の実績で、ポイントはたった10程度だが。
だが、少なくともレベルくらいは上がるはずだ。
「・・・お姉ちゃん」
「何かしら?」
「報告しに行ってないよ?」
「あ・・・あはは!そうね!そういえばそんな事しないといけないのよね!
忘れてたわ!ギルドマスターなんて初めてだし!」
どうやら、ギルドランクを上げるには、報告をする必要があるようだ。
りみるさん、意外とドジなところがあるんだな。
「あはは、ビックリしたじゃないっすか、もしかしたらギルドランクなんて上がらないのかとばかり」
「そんな訳ないでしょ?そうなったら誰も新しいギルドなんて作らないわ」
「ですよねぇ~」
そして、りえるさんは報告に行った。
しばらくして、りえるさんが嬉しそうにして戻ってきた。
「嬉しそうですね」
「ふふ、やったわ!まさかもうレベル20になるなって思わなかったわ!」
「本当ですか!!!!!」
明美はかなり驚いたようで机を思いっきり叩き、立ち上がった。
「えぇ!なんだか知らないけど、修介の実績がすごくてね!」
「実績ですか?何かあったかな・・・」
「威力100の弾丸を作れって奴よ、それのポイントが1,000だったの!」
「マジっすか!?とんでもない数字ですね!」
実績のポイントは最大で1,500だ、どれも高難度ダンジョンの攻略とか
高難度のタワーを攻略とかの最上級者しか出来ないような物ばかりだ。
その中に、どうやら威力1,000の弾丸を作れがあった様だ。
「あはは!流石修介さん!大好きです!」
明美がすごく嬉しそうにしながら俺に抱きついてきた。
普通、そこまで喜ぶのか?とは思ったが、まぁ、それだけ嬉しかったんだろう。
いや、むしろ風呂が無いのがそれだけ苦痛だったって事か。
「それじゃあ!さっそくお風呂に入りましょう!」
「そうね!さぁ!引っ越しよ!」
「オー!!」
俺達はギルドレベル20の場所に進み、魔法陣に入った。
「わぁ!スゲーー!!」
そこはレベル1の残念エリアとは雲泥の差だった。
綺麗で、大きなメインホール、その周囲にはいくつかの扉があった。
大きな机、大きな椅子、大きなテレビの様な機械。
そして、大きなお風呂、あ、ついでに大きめの鍛冶用の部屋もあった。
「お、大きい、大きいお風呂ですよ!」
「えぇ!なんだか感動するわ!」
「綺麗・・・なんだか嬉しい」
「よし!早速入りましょう!」
「オー!!!」
女子組は風呂の方に走って入っていった。
まぁ、リエさんは歩いてたけど。
「いやぁ、スゲーな!」
「だな、レベル1とは本当に雲泥の差だぜ」
「雲泥の差って何だ?」
「雲泥の差ってのはとんでもなく差があるって事だ、似た言葉には月とすっぽんとかもあるぞ」
「おぉ!そうなのか、勉強になったぜ!」
勇次はそこまで頭が良いわけじゃない、いや、頭は良いのかもしれないけど
その知能を全部ゲームとかに注いでる。
「しかし、結構な広さの鍛冶部屋だな」
「だな、あぁ、そうだ!修介!何か作ってくれよ!」
「あ?作るもんなんざねーぞ?」
「んー・・・じゃあ、レイジ・アローだっけ?あれ作ってくれ」
レイジ・アローとは前のダンジョンの中ボス、レイジ・ホムンクルスの素材で作れる弓だ。
確か、仲間のHPが低くなればなるほど威力が上がる弓だったか。
「まぁ、良いけど、素材はあるのか?」
「一応な!取ってたし」
「もしかして、あのキモい化け物の素材とかも集めてたりするか?」
「いや、あれは流石に触れなかった、てか、触れても鞄には入れたくない」
「だよな、キモかったし」
俺は勇次の依頼通り、レイジ・アローを作り始めた。
どうやら、武器を作るには設計図の様な物が必要らしい。
まぁ、それは作る立場だったらの場合だが。
しかし、意外と難しいもんだな、慣れるまで大変そうだ。
そして、20分が経過し、俺はようやくレイジ・アローを作ることに成功した。
「よし!出来たぜ!」
「お!随分早いな、武器を作るのはこれだけ早いのか」
「一応ゲームだった世界だからな、早いんじゃね?実際はもっと掛かるだろうし」
俺は完成したレイジ・アローを勇次に渡した。
そして、そのパラメーターを見た勇次は驚愕していた。
「お、おい、なんだよこれ、おかしくね?威力ヤバすぎね?」
「ん?どれどれ」
その武器のパラメーターはこうだった。
HP、+400
SP、+40
攻撃、+400
防御、+40
魔力、変動無し
精神、変動無し
という物だった、この武器は本来ならSPと魔力が-50される。
そもそも、この武器のそのステータスは確か全体的に100ちょっとだったはずだ。
まぁ、初期のダンジョンの武器だし、こんなもんだろうが。
しかし、この武器は400とかって言う初期にしては異常の数字が良くある。
「お前の力って、やっぱエグいんじゃね?」
「あぁ、まさかここまでとは思わなかった」
因みに武器を作る時にかかる+補正の計算式はこうだ。
(練度+サブレベル)×(鍛冶屋の運+依頼主の運)という物だ。
基本的に運の上限なんて、ランクが最高の人でも精々200ちょっとだ。
それが理由でゲームの運営はそこまで気にしてなかったんだろう。
因みにこのゲームは基礎ステータスはショボいが、武器の能力はエグい。
にしても、上限はあるんだな、知らなかった。
「やっぱ、エグいよな、確か、運って練度よりも上げにくいよな?」
「確かそうだったはずだ」
「それがカンストってのは恐ろしいな」
「あぁ」
そして、その後俺は自分用の武器を作ってみた、その武器は愚狼の剣だ、確か説明は
愚狼の剣、どんな相手にも愚かに戦いを挑む、愚かな狼たちの力がこもった剣
その愚かな狼たちの力を扱う物は、相手に怯むこともしなくなるだろう。
効果は相手が格上だった場合、攻撃力が格段に上昇するという物だ。
そして、この武器の補正は
HP、+300
SP、+100
攻撃、+500
防御、+300
魔力、+100
精神、+500
という、驚異的な補正がついた、基礎攻撃力はさほど無いが
それでも、これだけ補正が乗っていればかなりの間扱える。
しかし、改めて実感したよ、運ってのはすごいなと。




