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ゲームによく似た異世界で最高の幸運を使い最強を目指す  作者: オリオン
第16章、ギルド戦争
109/201

第3遊撃部隊

先制攻撃は成功、後は一斉に叩く必要がある。

あの奇襲で殲滅した数は精々500位のはず、決定打にはならないだろうけど

相手の切り札のうちの1つを潰せたのは大きい。

修介君達が合流するのに、まだ時間は掛かるはず。

それに、合流を止めるために、他部隊の妨害も考えられる。

流石に連戦となると、修介君の殲滅力でも不利になるでしょうね。

それなら、私達は合流を支援するべきね。


「修介君、とりあえず近くの部隊が居たら、それに合流して頂戴」

{近くの部隊? どこら辺にいるんですか?}

「あなたの場所は分からないけど、一応配置の地図を渡したでしょ?」

{はい、一応貰ってますね、じゃあ、それを元に、近くの部隊を探せば良いんですね}

「えぇ、あと、合流したらどの部隊かを教えて」

{了解です}


これで、修介君が部隊に合流できれば、どこに居るか断定できるわね。

さて、各々のギルドマスターの情報を見る限り、攻勢に出たようね。

曖昧でイマイチ状況は分からないけど、動いているのは分かる。

もう少し司令官のレベルが上がってたら、もっと正確に分かるのかしら。

レベルを上げておけば、修介君の場所も正確に分かってたのかしらね・・・

今更だけど、サボったことを後悔してしまうわ。




りえるさんは近くの部隊に合流しろと言ったな、確か渡された地図はこれだな。


「えっと、あ、意外と近いかも知れんな」

「何が?」

「仲間の部隊だ、ここをまっすぐ行けば見えてくるみたいだな」

「おぉ!」


シルスはそのまま突っ走っていき、大きめの道に出てきた。

そして、左を見てみると、そこには味方部隊がいた。


「よし、見つけたぞ!」

「え? あぁ、修介先輩、ここに居たんだ」

「愛はこの部隊なのか・・・なるほどな」


その部隊の前衛に愛も参加していた様だ、これなら安心出来るかも知れない。


「いやぁ、修介先輩が居てくれれば安心出来るよ、このメンバー、知り合い居ないし」

「そうか、そりゃあよかった、じゃあ、りえるさんに報告しないとな」

「報告するの? 何で?」

「合流したことを伝えるためにだ、あ、そうだ、この部隊の名前ってあるのか?」

「この部隊は、確か、第3遊撃部隊だったと思う」

「よし、分かった」


・・・そう言えば、りえるさんに報告すると言っても、どうやって連絡取るんだ?

俺がそんな事を考えていると、丁度良いタイミングにりえるさんから連絡が入った。


{修介君、どう? 合流できたかしら?}

「あ、はい、合流できました、合流した部隊は第3遊撃部隊です、愛も居ますよ」

{そう、それはよかったわ、じゃあ、その第3遊撃部隊と一緒に行動して頂戴}

「分かりました」


さて、報告も済ませた、後はどう動くかだな、第3遊撃部隊は一体何をするんだ?

名前から考えると、自由に動ける部隊なんだろうが、この部隊、定位置から動いてないんだよな。

そのお陰で合流できたが、動かないのはな・・・


「この部隊は何で動かないんだ?」

「いや、それが、この部隊の指揮官が動こうとしなくて」

「指揮官? 誰だ?」

「ほら、あそこで少し震えてる女の人だよ」


俺が愛が指さした方をみてみると、確かにかなり怯えている女の人がそこに居た。

体が震えてるな・・・それに、指揮能力もあまり無さそうだ。

失礼なことだが、なんでこの人が指揮官なんだ?


「あの、行動しないんですか?」

「あえ!? また知らない人!?」


俺が声を掛けると、その少女は再び酷く怯え始めた。

も、もしかして・・・コミュ障? 


「ダメダメ、話しかけたところで怯えるだけさ」

「そうなのか?」

「あぁ、そうだよ、全く指揮官様がこんなヘタレ何てよ、全く、散々な部隊に配属されたもんだ」


俺に話しかけてきた男は、相当失礼なことを言った。

ハッキリとな、でも、この隊の指揮官は、それでもずっとビクビクしている。

うーん、おかしいな、この子は多分他のギルドのメンバーなんだろうな。

どのギルドかは分からないが、あいつらが配置ミスなんてするのか?


「えっと、あなたは何処のギルドなんですか?」

「ひ!」


この隊の指揮官は、俺が話しかけると、再び距離を取った。


「あ・・・あの・・・わ、たし・・・は、ジャッチメントの・・・です」


そして、かなり小さな声だが、ジャッチメントか、あまり聞き取れなかったが、きっとそう言ったんだな。

もしかして、この女の人は、慣れ親しんだ相手だと凄い指揮能力を発揮するのかもな。

でも、ジャッチメントは少数精鋭、あまり他のギルドと行動したことが無い。

だから、ジャッチメントのマスターはその事に気が付かず、この部隊の指揮官にしたと。

可能性は十分あるだろう、きっと、断り切れなかったんだな。


真央まお! 敵部隊よ! こっちに近寄ってる!」


奥の方から、血相を変えて1人の少女が指揮官に接近した。

だけど、その子に対して、真央と呼ばれていた指揮官は怯えはしなかった。

と言う事は、この女の人はジャッチメントだな、そうじゃなければ怯えるだろうし。


「敵部隊!? じゃあ、急いで対処しないと・・・」


そして、少しして、さっきの少女が来た方から、大きな足音と叫び声が聞えてきた。

どうやら、もうここまで来たようだな。


「来た!」

「敵部隊だ! 排除しろ!」


相手も俺達を見つけたようで、一斉に接近してきた。

数は・・・ヤバいな、100位は居るだろうな。

で、こっちは15程度、戦力差は圧倒的だな。

こんな状況で、真っ向からやり合えば、まず勝てない。

まぁ、最初っからまともにやり合うつもりは無いけどな。


「シルス!」

「がう!」「了解だ」

「修介先輩! 1人でやるつもり!?」

「あぁ、そうだぞ{テンペスト}」


俺はシルスである程度接近して、テンペストを放った。

範囲攻撃だし、少しの間はそこに残る、足止めには丁度良い。


「今のうちにあんたらは逃げてろ、数的に不利だろ?」

「逃げる? 馬鹿言わないでよ、さぁ! あんたら! 私の指示に従いな!」


さっきまでビクビクしていた真央と言われていた少女は人が変わったように大きな声で指示を出した。

と言うか・・・え? あれ? 雰囲気変わりすぎじゃね? 何で半笑いなんだ?


「え? な、え? あのヘタレか?」

「ごちゃごちゃ抜かすな! くたばりてぇのか! のろまが!」

「何だと!?」

「この隊の指揮官は私だ! 大人しく従いやがれ!」


真央はかなりの剣幕で、その男を怒鳴りつけた、そして、あの男は少し気圧されて

大人しく指示に従うようにしたみたいだ。


「おい、そこの狼に乗ったあんた! 結構やるじゃ無いか、あんたも協力しろよ!」

「わ、分かってる、最初からそのつもりだ」

「よし、なら良いんだ、おら! あんたらも少し散らばれ! あの男の攻撃で怯んでる奴をたたきな!」

「は、はい!」


そして、第3遊撃部隊のメンバーは真央の指示通り、色んな場所に散らばった。

俺達と、真央、愛は正面から迎え撃つ、そして、他の部隊は影に隠れて攻撃だそうだ。

確かに正面からやったら勝てない、的確な指示だろう。

本当に、同一人物か? 完全に別人なんだけど。


「く、攻め込め!」


テンペストの効果が切れ、その奥で待機していた部隊が接近してきた。

この感じだと、テンペストで仕留めたのは20ちょっとだな。

後80近くか、多いな、面倒くさい。


「おいあんた、何か引き寄せる魔法はねぇのか?」

「あるぞ」

「じゃあ、ぶっ放せ!」

「分かったよ{ファイアーストーム}」


俺は指示通り、ファイアーストームを敵の中心辺りにぶっ放した。


「ひ、引き寄せられる!」

「よっしゃ、ナイスだ! お前ら! 一気に魔法をぶっ放しな!」

「はい!」


そして、周囲に散らばって、待機していた後衛、中衛達が一斉に敵部隊に攻撃を仕掛けた。

あいつらはファイアートルネードの引き寄せに耐えようとしていて、避ける余裕は無い。


「な! うわぁ!」


攻撃を食らった奴らは、全員バランスを崩し、俺のファイアートルネードに引き込まれる。

そして、中心まで引き寄せられた相手は、例外なくファイアートルネードの餌食になった。

80人もいた敵部隊は、一瞬にして、全滅、全員が瀕死状態にまで陥った。


「ほう、こいつは予想外だな、なるほど、あんたの魔法は相当やばいってのが分かった」

「そりゃどうも・・・」

「さて、じゃあ、全員にトドメと行くかな」

「と、トドメは別に良いんじゃないか?」

「そうだよ、死んじゃうよ?」

「こいつらは散々暴れ回った奴らだ、今更、情けなんざ掛ける必要もないだろう」

「いや、でもよ・・・」


俺達と真央が話し合いをしている時に、後ろから叫び声が聞えた。


「何だ!?」

「さっさと仕留めりゃ良いんでしょう? 今更情けはいらねぇ」

「確かに、それは同意見だが、まだ話し合ってる途中だろうに」

「知ったこっちゃありませんね、悪事を働いた奴は仕留める、それが俺達だ」


やりやがったな・・・でも、確かにそうしないと敵戦力は削れない・・・

くそ、嫌になるが、あいつはせめられる事をしたわけじゃ無い。

実際、あいつらも散々暴れたんだろうし・・・それに、結束を崩すのも、勝算を落とすだけ。

ここは、我慢するか・・・勝つために・・・情けを掛けて、勝てる相手でもないしな・・・


「はん、まぁ良いさ、とりあえず、私らの勝利だ」


真央はそう言うと、顔色が戻り始めた。


「あ・・・・・・うぅ・・・ご、ごめんなさい・・・」


そして、戦闘前と同じ様に、怯え始めた・・・戦闘になると、人が変わるんだな。

どっちが本当のこの人なんだ? 分かりにくい人だ。

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