決戦前の最終準備
戦力を集めることになり、1週間ほど経過した。
俺達ホーリーアップルがその間に集めることが出来た戦力はざっと10ギルドだ。
そこそこの戦力を集めることが出来たが、その人数は200ちょっとだな。
あまり集めることは出来なかったが・・・結構な戦力だろう。
そして、その後の民間ギルドの活躍もあり、シルバーバードの戦力がかなり分かり始めた。
「えっと、これがシルバーバードの戦力なの?」
「はい・・・私達も探していて、どんだけシルバーバードが大組織なのか、分かりましたよ」
シルバーバードの戦力は日本のギルドの中で最高レベルの5000だ。
俺達が基本活動している街の他にも、別の街にも戦力はいるらしい。
恐らく、日本全国にシルバーバードの傘下は居るんだろう。
まさか、ここまで根を深くまで張っている組織だったとは思ってなかった。
「これは、かなりヤバいかも知れないな・・・」
「かも知れないじゃ無いわ、ヤバいわよ、間違いなく」
しかし、救いが無いわけじゃない、この5000というのはあくまで全国の数字だ。
少なくとも、この場所にいる戦力は5000も居ない。
精々5000ちょっとだろう、しかし、この世界には国とか県を
簡単に移動できるようなテレポーターがある、これがある以上
5000の大部隊が一斉に攻め込んでくるという可能性は十分ある。
「最悪ね、5000何て・・・」
「と、とにかくこの事を報告しに行きましょう、今日が約束の日だし」
「分かりました・・・」
そして、俺とりえるさんは1週間前に最初の4ギルドが集まった店に移動した。
すると、他の3人のギルドのマスター達はもうすでに到着している。
「やっと登場か、随分と遅いな」
「ごめんなさいね、驚愕の事実で固まってて」
「驚愕の事実? 何?」
その質問を受け、りえるさんは顔を真っ青にしながら、ゆっくりと椅子に座った。
「かなりヤバいわよ?」
「いいさ、速く話しやがれ」
「えっと・・・今回、シルバーバードの総戦力が分かったわ」
「何だと! 一体何人ぐらい居やがるんだ!?」
「総戦力・・・5000よ」
「「「「「「な!」」」」」」
そのりえるさんの言葉で、俺とりえるさんを除く6人が驚愕の表情を見せた。
「5000・・・なんて言う数・・・」
「クソ、ヤバすぎだろ」
「そうだな・・・ヤバい橋だとは分かっちゃいたが、まさか5000なんざ・・・」
6人は一斉に暗い表情を見せた、それはもう、絶望にも似た表情だ。
「ヤバいのは分かった、でもよ、俺達の戦力をあわせたら、もしかしたら対抗できるかも知れないぞ!」
俺はその空気に耐えきれずに、口を開いた。
「確かに・・・そうかも知れないな・・・」
「あぁ・・・それじゃあ、俺達が集めた戦力確認してみようぜ」
そして、俺達は自分たちが集めたギルドの数と、総戦力を話し始めた。
ホーリーアップルは200、オーシャンズが500、ジャッチメントは300、バーンソニックは1000だ。
となると、合計は2000か、結構な数が集まったが2000対5000じゃな。
「2000か・・・結構な数だが、まだまだ厳しそうだな・・・」
「そうだな、だが、これ以上延長させることは出来ないだろうよ」
「うん、流石にこれ以上シルバーバードにバレないように戦力を集めるのは難しいよ」
「分かってるわ、じゃあ、いつ頃攻勢を掛けるの?」
「・・・明日なんてどうだ?」
「明日!?」
「随分と速いな、でも、確かにそれが良いだろう」
明日か・・・これは急ピッチに招集を掛けないと駄目そうだな。
「よし、じゃあ、明日だ・・・それまでに全員、各々の戦力をかき集めておこうぜ!」
「分かった!」
「明日が決戦か、やってやるぜ」
「厳しい戦いになりそうだけどね」
「ふん、そうだろうが、やらなきゃならねぇんだ、俺達の自由のためにはな」
「それじゃあ、解散ね、明日・・・一気に攻撃を仕掛けるわ!」
「よっしゃぁ!」
そして、俺達はその日は一旦解散することになった。
その後、俺達はホーリーアップルのメンバー全員にこの事を伝え、民間ギルドの協力を頼み
同盟を約束してくれた10のギルドに伝達を行なった。
そして、翌日・・・俺達は決戦の準備を完璧に終わらせた。
「さてと・・・今日ね・・・決戦の日は」
「えぇ、そうですね、何とかして勝たないと」
「手筈は整っていますよ」
「で、シルバーバードの様子はどんな感じなの?」
「戦力を招集しているところですね」
グロウブさんが地図を出し、シルバーバードが戦力を招集しているという場所を指さした。
「よし、じゃあ、この街の関係ない住民はどうなの?」
「昨日のうちに何とか逃がしました、ですがそのせいでバレましたね」
「それは仕方の無い事よ、被害が広がるのは不味いし」
「じゃあ、何とかしてこの街から誘導しないといけないわけだ」
「えぇ、街の被害が酷くなるのは困るからね」
「で、何だ、俺達はあいつらを誘導すれば良いのか?」
「えぇ、お願いね」
りえるさんは各々のギルドのマスター達をパーティーにいれ、指示をしている。
こう言う場合、指揮官のサブ職業は活躍するよな。
そして、相手ギルドの方には無線のサブを持っている人が居るから、会話も可能。
やっぱり、戦力が多いと、ありがたい。
「それじゃあ、修介君、あなたは1番厳しいポイント奇襲よ。
「奇襲!? マジっすか!」
「えぇ、シルスの背中に乗って、シルバーバードの戦力招集ポイントに奇襲を仕掛ける
そして、範囲攻撃で、先制打をお願い・・・そうしないと、状況が覆らない」
「しれっと、責任重大ですね・・・失敗できないなぁ・・・」
「えぇ、だけど、こんな役目、あなたぐらいしか出来ない・・・だから、頼むわ」
「はい、お任せください・・・元より俺が蒔いた種だ、危険な役目くらい、やってやりますよ!」
「お願いね・・・修介君」
そして、各々のギルドはりえるさんの指示をした配置に移動した。
俺も、りえるさんの言う奇襲ポイントに到着だ。
「ジャッチメント、配置に付いたよ」
「オーシャンズもだ、指示があればいつでも攻撃出来る」
「俺達も問題は無い、いつでも動けるぜ」
「がう」「やれやれ、面倒ごとに巻込まれたな・・・言っておくが、私の群れは呼ばないからな」
「分かってるって、流石にそこは良いさ」
「がう」「すまんな、だが、私は全力で戦おう」
「ありがとうな」
しかし、俺も結構ヤバい役目を任されたな・・・奇襲部隊とか、1番危険じゃ無いか。
だが、俺が何とかしないと、状況は悪いままだし・・・やってやるか!
「それじゃあ・・・作戦開始よ!」
「行くぞ!」
「がう!」「任せろ!」
「やっちゃうよ!」
俺と真野とシルスはその合図と共にシルバーバードの戦力が集まっている場所に走って行った。
この戦いは、なんとしても勝たないとな!




