ギルド同盟
情報を確認していると、グロウブさんが帰ってきた。
グロウブさんが言うには、3つのギルドが話を聞いてくれるそうだ。
あの短期間で3つのギルドと話を出来るようにするとは、流石だな。
その話の場にいけるのは2人だけ、りえるさんは確定として、あと1人は誰になるか。
「あと1人は誰が行きましょうか」
「そんなの修介君一択でしょ」
「そうですね、俺が原因で起こったことですし」
「いえ、そうじゃなくて、能力よ」
「あぁ、カンスト能力ですか、確かに相手としても、そんな能力者がいる方が良いでしょうし」
「えぇ、まぁ、あまり知れ渡られても困るんだけど、でも、かなり強いからね」
「分かりました」
結局、俺とりえるさんで、最初の3つのギルドへの協力を仰ぐことにした。
俺達は、2人で一緒に、集合場所に移動した。
その道中で、バレても困るし、普段つけない帽子を被っての移動だ。
癒子も帽子の中に入っている、これなら目立たないからな。
「さて、ここね、約束の場所は」
「はい、そうですね」
俺達は約束の場所までやって来た、すると、NPCが俺達を部屋まで案内してくれた。
これも、グロウブさんの指示なんだろうな、きっと。
扉を開けると、そこには少し大きめの部屋で3人のプレイヤーが座っていた。
そして、その隣に3人のプレイヤーが立っていた。
「来たか」
「あなた達がホーリーアップルですね」
「えぇ、そうよ、そして、私がホーリーアップルのギルドマスターりえる、よろしくね」
「俺はホーリーアップルの修介と言います」
「ふーん、中々良い面構えだな、結構死線をくぐり抜けている顔だ」
男が2人、女が1人か、この人達は各々のギルドのマスターだろう。
それで、立っている方は男が1人、女が2人か、この人達はサブマスターか護衛だな。
「では、我々も自己紹介を行なおう、俺はギルド、バーンソニックのギルドマスター、倫次だ」
「私は倫次様のサポートの凜です」
バーンソニック・・・ヤバいな、ギルドの知識があまり無いせいで、聞いたことがない。
でも、こっちに来る前に見た紙には書いてあったな、確かメンバーは100人だとか。
傘下までは覚えてはいないが、結構な大組織だろう。
「私はギルド、ジャッチメントのギルドマスター、エリナよ、よろしく」
「あたしはジャッチメントのサブマスター、マリエ、よろしく~」
ジャッチメント、これも紙に書いてあったな、確かメンバーは20、俗に言う少数精鋭だ。
基本的に少数で動くんだろうな、こう言うギルドは。
「俺はギルド、オーシャンズのギルドマスター、カイトだ」
「僕はオーシャンズのサブマスター、空です」
オーシャンズか確か人数は50人って書いてあったっけ、傘下は居ないんだよな。
それはあの紙に書いてあった、でも、傘下になりたがる組織はいると聞くな。
「さて、これで4つのギルドが揃ったな」
「えぇ、そうね」
りえるさんはそう良いながら、席に座った、俺はその横で立っている。
と言うか、ギルドマスター以外は立っているしな。
「さて、あなた達がここに呼ばれた理由は、聞いているわよね?」
「あぁ、シルバーバードを潰すのに、協力して欲しいんだってな」
「えぇ、あなた達もシルバーバードの悪名は知っているでしょ?」
「勿論だ、あいつら今まで小規模なギルドだったのによ」
「今では私達を凌くらいの大規模なギルドなんだよね」
「そうだな、そのくせ、派手に暴れて、いけ好かねぇ」
ここにいるギルドは全員、世界がおかしくなるまでは、最高レベルのギルドだったんだな。
それは、この会話で何となく分かる。
「そうですよね、その上、私達の傘下まで奪っていった」
「あぁ、そのせいで、もう俺らにはあいつらに対抗できそうな戦力はねぇ、悔しいがな」
「だから、放置していたのね」
「あぁ、そうだよ、出来るなら、速攻で潰しに行くぜ、あんなギルド」
「悪事しか働い無いからね、あのギルド、競争相手にもしたくないよ」
「そうだよ、本当にあたしもあのギルドはいやなんだよ、数ばっかり多くってさ」
そう言うと、マリエはチラッとバーンソニックの方を向いた。
「あ? 何でこっちを見てやがる」
「いや、何でも無いよ、ただ、数しかいないって思ったらあんたらが出てきただけだよ」
「あぁ? 喧嘩売ってんのか!?」
「喧嘩は良くないぞ、我々は協力の話をするためにこうして集まってるんじゃねーか」
「そうですよ、喧嘩なんて馬鹿っぽいですよ」
「「馬鹿っぽいだって!」」
駄目だ、このままじゃあ、話し合い所じゃ無いな・・・
「喧嘩は止めてくれ、何もそんないがみ合うことはないだろう」
「お前ら弱小には分からねーだろうがよ、俺達にゃ、それなりのプライドってのがあるんだ!
喧嘩を売られて買わねぇ訳にはいかないんだよ!」
「確かに私達は弱小よ15人程度しかいないし、レベルも低い、でも、だからこそ
その立場で周りを見ることが出来る! ハッキリ言うわ、ここで争っても、まるで意味が無い!」
「何だと!? このアマが!」
「俺達には、少なくとも1つ、共通の意思がある、それは、シルバーバードを何とかしたいって事だ
なのに、ここで同じ意思を持つ物同士が争ったら勝てるわけ無い!
ハッキリ言うぞ、俺達は協力しないとシルバーバードには勝てない!」
「く・・・このガキ!」
倫次は椅子から立ち上がると、俺の方まで来て、胸ぐらを掴んできた。
そして、倫次は拳を握りしめている・・・しかし、俺を殴っては来ない。
「殴らないのか?」
「ケッ!」
倫次は胸ぐらを掴んでいた俺の手を離した。
恐らく、俺が言っていることが正しいと分かっていたからだろう。
いくらバーンソニックが強くても、シルバーバードの方が人数が多いからな。
「あぁ、分かってらぁ、今の俺達の戦力じゃ、まず太刀打ちできねぇ」
「同じく、私達のギルドでも無理だろうね」
「俺達もそうだ、流石にあの数相手は厳しい」
「当然、私達のギルドでも駄目よ、ギルド単体じゃ、厳しいのは明白」
「だがよ、俺達が協力しても、不利なのは変わらねぇぞ、りえるさんよ」
確かに、3つのギルドが共同戦線を張っても、勝てる可能性は低い。
なんせ、人数差は明白だからな、相手は1000を軽く越えている化け物組織だし。
「まぁ、そうでしょうね、でも、勝算は上がる、それにまだ協力を仰ぐために頑張ってるのよ」
「そうかい」
「だから、あなた達も協力して、私達だけじゃ、とてもじゃないけど集められない」
「まぁ、俺達オーシャンズは端っからそのつもりだぜ、あんたらに協力するさ」
「私達ジャッチメントもね、競争相手にもならない暴走ギルドなんて潰すしか無いし」
「ッチ、そうなったら、俺達だけ協力しねー訳にはいかねぇよな・・・良いぜ協力してやるよ
だが、あくまで対等な協力関係だ、分かってるな」
「えぇ、最初からそのつもりよ・・・ありがとうね」
何とか、この3つのギルドの協力を得る事が出来たか・・・助かったぜ。
いきなり喧嘩が始まったり、殴られそうになった時はゾッとしたが、何とかなって良かった。
「さて、それじゃあ、私達は今回からギルド同盟ね」
「あぁ、それで構わねぇ」
「そうだね」
「あぁ、本来あまり群れるタイプじゃ無いが、仕方ねぇよな」
これで、ギルド同盟は完了したな、でも、この4つのギルドだけでは厳しいだろう。
まだ、戦力を集めて、ギルド同盟を強くしていかないとな。
やれやれ、先は長そうだ、でも、何とかしないと、シルバーバードには勝てないな。
だけど、1番厳しいところは越えられた、そこは素直に喜ぶとするか。




