街中の逃走劇
急な襲撃から何とか逃げ出すことが出来たな。
危うくやられる所だった、やっぱり隠れる場所は考えないとな。
さて、今度は何処に隠れるか・・・もう、いっその事街から出た方が良い気がしてきた。
だが、食事のこととかもあるし、出来るだけ街で行動をしたいか。
「今度は何処に行くの!?」
「分からないな、場所とかあまり詳しいわけじゃないし」
「あいつだ! 妖精を連れた男だ! 殺せ!」
「クソ!」
俺は真野を引っ張って、近くの路地に入った。
やっぱり、街にはわんさかいやがるんだな。
それにしても、どうやら癒子が目立っているようだな。
「待ちやがれ!」
俺達に気が付いた男達が、俺と真野が入ってきた路地のルートに入ってきた。
ここまで追いかけてくるのか、まぁ、いい、入ってきてくれたのは好都合だ。
「掛かったな、ここは俺の方が有利だ!{ストーム}」
俺は狭い路地の方に向けて、ストームを放った。
狭い範囲だし、一般の奴も居ない、この状況なら問題ないからな。
「うわぁ!」
その攻撃を回避できる筈も無く、路地の中に入ってきた連中は吹っ飛んだ。
でも、やはり一撃で仕留めることは出来ないんだな。
「このまま逃げるぞ!」
「分かったよ!」
そして、俺達はその路地の中に入っていき、何とか逃げだせた。
やっぱり、街にはシルバーバードの息が掛かった奴がかなり居るんだな。
そうなると、出来るだけ目立たないように動かないとな。
「癒子、出来ればポッケの中に入っていてくれ、頭の上は目立つからな」
「分かった、狭いけど我慢する」
「悪いな」
癒子は俺のポッケの中に入っていった、結構狭そうだが、仕方がないよな。
「よし、このまま街に出るぞ」
「分かった」
「うん」
そして、俺達は路地から出て、目立たないように歩くことにした。
走ると目立つからな。
「ちぃ、例の2人組は何処だ?」
「情報が少なすぎるな、なんで頭に妖精を乗せてるって言う情報しかないんだよ!」
やっぱり街の中で走り回ってる連中は俺達を探している奴か。
それにしても、やっぱり頭に癒子を乗せているのは目立っているよな、当然だけど。
「おい、あの店に入るぞ」
「どうして?」
「上だ、さっき襲ってきた奴が空から探してる」
「・・・本当だ、じゃあ、入ろうか」
俺達は近くの店に入った、そこは運が良いことに食事処だった。
ラーメンか、この世界にも出てきたんだな。
「へい、何をご注文で?」
「醤油ラーメンで頼む」
「私も、と言うからーめんって聞いたことないし」
「へい、10ゴールドです!」
「ほら、10ゴールドだ」
「毎度!」
ラーメン店の店主はゴールドを受け取ると奥の厨房でラーメンを作り始めた。
何か良い匂いがするな、こりゃぁ、楽しみだ。
「へい、ラーメンお待ち!」
「よし、食うか」
「美味しそう!」
俺達は美味しそうなラーメンを食べ始めた。
かなり美味いな、明美のラーメンの方が美味しい気がするけど。
やっぱり、明美のラーメンの味付けの方が、俺に合ってるのかもな。
「美味しそうな匂い」
「ん?」
ラーメンの匂いに釣られ、癒子がポケットから顔を出した。
やっぱり美味しそうな匂いには反応するんだな。
「妖精! じゃあ、こいつだ!」
「げ! マジかよ!」
後ろに座っていた男達に、癒子の姿を見られてしまった!
あぁ! もう! 何でこんなに数が多いかな!
「クソ! 多すぎだろうが!」
「待ちやがれ!」
「むぐぅ! けほけほ」
「真野!」
いきなりの事で、真野が驚いて、咳き込んだ。
ヤバい、真野が捕まっちまう!
「捕まえたぜ! このガキ!」
「けほ! ご飯の時に! 邪魔するなぁ!」
「ぐげぇ!」
「ごふ!」
真野は襲いかかってきた2人の男女の腹に一撃入れ、意識を吹っ飛ばした。
あいつ、容赦ないな。
「さぁ、これで食べられる、修介も食べようよ」
「あ、あぁ・・・分かった」
そして、俺と真野はラーメンを食べた。
「私も食べたい」
「あぁ、じゃあ、1本な」
「おぉ!」
癒子はその小さな口で、ラーメンの麺をすすった。
そして、その1本の麺を食べ、お腹を膨らませた。
やっぱり、体が小さいと食べられないんだな、あまり。
「おいしぃ! お腹いっぱい!」
「1本だけで満足か、まぁ、手のひらサイズだし、仕方ないか」
さて、ラーメンも食い切ったし、そろそろ移動するか。
「親父さん、美味しかったよ」
「お、おう、また来てくれよ」
ラーメン屋の親父さんは少し引きつった笑顔でそう言ってくれた。
まぁ、うん、店内で派手に動いたからな、こんな顔をするだろう。
「じゃあ、先を急ぐぞ!」
「うん!」
そして、俺達は目立たないように街を移動した。
どうにも俺達の顔は思ったより割れていないようだし。
と言っても、今日はあまり派手に動かない方が良いかな、騒ぎを何度も起こしちまったし。
さて、今日はこの街のかなり隅っこの方の宿で休む事にした。
「うーん、普通に宿で休めるんなら、色んな場所を移動することなかったかもね」
「そうだな、まぁ、ここならしばらくの間は大丈夫だろう」
「そうだね、あまり目立つ場所じゃなかったし」
「さて、癒子、出てきて良いぞ」
「ぷはぁ、うーん、苦しかったなぁ、やっぱり広い方がいいや」
「だろうな」
癒子はポケットから出て、色んな場所をウロウロ飛び始めた。
やっぱり、広い方が良いんだな、そりゃあ、当然だろうけどな。




