みんな、クリスマス
今日は12月24日。クリスマス・イブです。みんながクリスマスを楽しみにしている、そんな時。だけどそんな日に、むしろそんな日だからこそ困っている人もいる様子。では、その人たちのクリスマス・イブを私と一緒に、少し見てみませんか?もしかしたら、良いものが見られるかもしれませんよ。
え?私が誰かって?そんな事どうだって良いじゃないですか。あなたは私について回ればよいのです。さぁ、行きましょう。あのソリに乗ってください。
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ここは、とある女性が暮らす一軒家。今は眠っていますが先程までなにやら悩んでいたようですね。どうやら明日のクリスマスに彼氏に渡すプレゼントを包むラッピングが出来なかったようです。確かに、今は深夜ですからお店は閉まっていて悩むのも仕方ないでしょう。だから、これは私が贈る「プレゼント」。
ここを、こうして、こう……と。
さぁ、ラッピングの完成です。まぁプレゼントと呼ぶには少々物足りないですが。そうですねぇ、ならこれを……いえ、こちらは彼氏さんの方におわたししましょうか。そうですね、それがいい!それでは、彼女さん“メリークリスマス”
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さて、ここはとある国のお城。もちろん王様でもクリスマスを楽しみます。しかし、王様の望むプレゼントとは何でしょう?とりあえず枕元へ向かうことにしましょうか。
「おや、あなたは……。」
なんということでしょう。王様に見つかってしまいました。まぁ、それならそれでかまいませんね。
「あなたが望む物はなんですか?」
「儂が望む物?そんなものは一つにきまっている。……国民の倖せだよ。」
「それは私には、どうにもできませんね。他には?例えば……ケーキなんかどうでしょう?」
「さっき十分すぎるほど食べたよ。それに、どうにもできないなんてことはない。こんな何もかもが満ち足りた王城から早々に出ていって国民にプレゼントを配り歩けば良いのさ。」
「分かりました、王様。その望みを叶えましょう……それでは、メリークリスマス。」
さぁ、行きましょうか。王様の望むプレゼントをこの国にもたらす為に。まぁ、それが私の仕事ですがね。
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さて、ここはクリスマスでとても大忙しなケーキ屋さんです。パティシエの人は毎日ケーキを作りすぎて悩みがあるそうです。なんでも、自分のためのケーキが作れないんだとか。なんとかしてあげたいですね。
というわけでここのプレゼントはこれにしましょうか。え?どうしてさっきからプレゼントを置いているのかって?さっきもいったでしょう。……それが私の仕事ですから。さぁ、さっさと次の家に行きましょう。朝までここにいて枕元のプレゼントを見たときの顔を見るのも良さそうですが、それよりも時間内に仕事を終える方がもっと大切ですから。仕事の量?そうですね、いま1時なので……あと3時間、といったところでしょうかね。さぁ、急ぎましょう!あぁ、忘れるところでした。パティシエさん「メリークリスマス」
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では、ここの家にもプレゼントを置いていきましょうか。といってもこの家に渡すプレゼントは大したものじゃあないんです。ほら、先ほどの女性を覚えていますか?あの女性の彼氏さんですよ。彼女と過ごす為の場所を提供するお手伝いをしようと思いましてね。えっと……あぁ、有りました有りました。これです、このチケットですね。これで彼女と二人で明日過ごすことができるでしょう。最初は彼女さんに渡す予定でしたがこの男性から誘った方がよいでしょう。彼女さんはプレゼントを渡すのでさえ悩んでいたのですからあなたも大いに悩んで彼女さんと素敵な一夜をお過ごしください。それでは「メリークリスマス」
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ようやく私の担当する区域では最後の家ですよ。
この家は……あぁ、この少女ですか。名前は……ゆうこちゃんでしたかね。欲しいプレゼントは“クマのぬいぐるみ”でしたか。キッチリ可愛いクマのぬいぐるみを選んできましたよ。折角ですから隣で寝ているように置いておくとしましょう。それではゆうこちゃん、「メリークリスマス」
さぁ!終わりました!私もクリスマスを楽しむと……おや、机の上にあるこのお手紙は何ですかね?
読んでみましょうか。
「さんたさんへ
ぷれぜんとはくまのぬいぐるみをください。
あと、こうえんにいるゆきだるまにこのてぶくろをぷれぜんとしてあげてください。
お願いします 。 ゆうこ」
てぶくろ……あぁ、これですか。この手袋を公園にいるゆきだるまにプレゼントすればよいのですね。……分かりましたよ。サンタクロースとして良い子のお願いを断るわけにはいけませんしね。
さぁ、最後の仕事ですよ。
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さて、この手袋をプレゼントする雪だるまはどれですかねぇ。見たところ5体はいるようですけど。
まぁ、一体一体聞いて回りましょう。え?誰にって?決まっているじゃないですか。……雪だるまに、ですよ。私はサンタクロースですから雪だるまとだってお話しできるんですよ。
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「あなたを作ったのはゆうこちゃんですか。」
(いえ、ちがいます。)
「では、あなたがゆうこちゃんに作られた雪だるまですか?」
(いや、ちがう。)
「では、あなたは?」
(残念ですがちがいます。)
「では、あなたですか。」
(……えぇ。自分がゆうこちゃんに作られた雪だるまです。)
ようやく見つかりましたね。全員に聞かずに済みましたよ。
「あなたを作ったゆうこちゃんからのプレゼントですよ。受け取ってやってください。」
(それはそれは、ありがとうございます。……とても暖かそうですね。)
「それはもう。暖かいとおもいますよ。……溶ける程に。」
(……。)
「サンタクロースとしてプレゼントの受け渡しを頼まれたので手袋は渡します。でも、この手袋を着ければ君は溶けると思いますよ。」
(……雪だるまとして、どんどんどんどんと少しずつ小さくなるくらいなら、作ってくれた子の暖かい想いで一気に溶かされればそっちの方が……満足なんですよ?)
「それは良かった。」
(ところで、手袋を着けてもらえませんか?私は雪だるまですから動くことが出来ないのですよ。)
「あぁ、それもそうですね。」
じゃあ、あなたも手伝ってくれますか?左手の方を着けてやってください。……あぁ、そうそう。そんな感じです。
「さぁ、できましたよ。」
(ありがとうございます。……あぁ、暖かい。その証拠にほら、もう少しずつ溶けてきている。この分だと明日の朝にはもう消えているでしょうね。ですが、不思議なほどに私は溶けることが嫌じゃないんですよ。きっと、彼女の、ゆうこちゃんの優しさがそうさせるのでしょうね。それではサンタクロースさん。「メリークリスマス」)
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さぁ、帰りますよ。そろそろ夜が明けます。え?泣いてなんか……いませんよ……?これはあれです。雪が目に入ったんです。あぁ、あなたへのプレゼントはもう置いてありますから安心してお帰りなさい。それでは「メリークリスマス」
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明くる朝、街はクリスマスです、。
カップルは、遊園地で1日を過ごしたあと素敵な聖夜を迎えました。
パティシエの枕元には、大きなケーキの入った箱が置かれていました。
少女は、以前から欲しかったクマのぬいぐるみを手にいれました。そして、それを持って今日も雪だるまを作ります。
そして、王様はそれら国民を見て満足げに言いました。「メリークリスマス」