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勇者ではない勇者  作者: ダンディ


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1話

「リネシア!」


僕はそう言って同じ村の女の子に声をかける。

僕の名前はシン、アトランティス大陸最北端に位置するガネーシャ村の村長の息子だ。


「なに?シンさん」


彼女はそう言葉を発したと同時に後ろを振り返る。太陽に照らされた艶のある黒髪は風に攫われるかのようにたなびいており、満面の笑みを浮かべながら太陽をバックに何とも形容し難い神聖なオーラを放ちながら平原の丘の上で僕を見下ろしていた。


「俺さ成人したら冒険者になる!!だからお前もこい!!」


今振り返ってみれば子供の戯言に過ぎず聞くに絶えないような誘い文句であったが、同い年である彼女は精神年齢的に成熟をしていなかったからか或いは僕の情熱に満ちた瞳に魅了されたかその数奇な運命を共に歩む選択をしてしまった。


時は流れた。彼女と丘の上で交わしたあの約束から10年が過ぎた僕とゆうなは15歳となり、晴れて成人となった。


「母さん行ってくるよ」


大粒の涙を流す母さんは嗚咽をしながらも苦い笑顔で僕を送り届けてくれた。僕には夢がある。それは勇者となって100年前から人類と戦争状態にある魔王を討伐することだ。しかしその夢の一部は叶わないものになってしまった。何故なら勇者はもう既に誕生していたのだ。神の祝福を受けた人間それを皆は勇者と呼んだ。しかし僕は祝福されなかったんだ、でもリネシアはこういってくれた。魔王を倒した人が真の勇者だと。いつもの丘の上に立ち旅の仲間の到着を待つ、


「シンくんごめん!待たせちゃったかな」


はにかんだ顔で僕の顔色を伺うように覗き込んでくる彼女は、僕と一緒に魔王を討伐する仲間として一緒に旅に出ることになっている。ちなみに1時間の遅刻だ、彼女は大層村の者達に人気であったようで別れの言葉を受けていたらこのような時間になってしまったらしい。


「大丈夫だよ、さあ行こう僕達の冒険が待っている!!」


一斉に駆け出したいところであるが何やら背中が軽い。


「ごめんちょっとリュックサック忘れた。」


僕は怪訝そうな彼女の表情を横目にそそくさと家にもどる。


「この度は大変申し訳ありませんでした。」


「荷物忘れるとかばかじゃん」


彼女はそう言いつつも此度の遅刻があった故かそこまでの追求はなかった。


「ちなみにシンくんこれからどこに行くの?」


未定である。


「とりあえずーアトランティス大陸北端のティスラ王国に行こうか。」


アトランティス大陸には東西南北の4方向に非常に大きい国が隣接している。

国力は基本は拮抗しているが魔物の進行を受けている東には戦力が集まっており若干の強国となっている。アトランティス大陸の東側には地続きの魔王大陸というものが存在する。実際にはそこもアトランティス大陸ではあったのだが魔王の進行によって徐々に押され魔族と人類の区別をするために魔王大陸と名付けられた。魔王大陸の面積はアトランティス大陸の1.5倍程でありかなりの大きさを誇っている。人類がどれほどのを侵攻されたかという目に見える証拠となっている。


「えーでもティスラ王国に行くにはやっぱりあそこを通らないとだよね、」

リネシアが不安そうな顔をで僕を見つめてくる。彼女がなぜそのような表情をしているのかと言うとガネーシャ村とティスラ王国の間には馬車で言っても5日はかかる大森林が生い茂っており凶悪な魔物も住み着いているという噂が広がっているからだ。一般人が通ると抜ける頃には骨になっているという有名な話がある。これはガネーシャ村の子供が大森林に足を踏み入れないようにするための警告のような役割を持っていた。しかし一般人であっての話だ。


「大丈夫だよ僕達はもう冒険者だ。ちゃんと訓練もしたし力を合わせればくぐり抜けれる!」


僕がそう言うと彼女は少し不安が取れたのか魔法書を開き始めた。


「歩きながら読むなよ、」


僕が少し引き気味に言うと


「大丈夫大丈夫歩いてないから!」


彼女がわけのわからないことを言うのはいつものことである。ふと足元を見ると少し浮いてる気がする。

「どらえもんかよ」


「どらえもん、?」


「あ、いや気にしないでくれ、というか浮遊魔法なんて宮廷魔術師レベルじゃないかどうやって習得したんだよ、」


「あーやってこーやってぶりってしたらできた!」


身内贔屓を差し引いても僕が思うに彼女はかなりの才能を持っている天才だ。いやはや羨ましい限りである。本人は自覚がないのがたちが悪い憎めないやつだ。


「訳がわかんねえよ」


そう軽口を言いながら大森林別名死の森に足を踏み入れるのだった。

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