『ワールドエネミーと魔物の差異』著者:魔物生物学者カール・フリード
第2章抜粋
ワールドエネミーというのは巨大で魔法を使い、長距離を移動する存在である。広義的には竜が入るという見解もあるが、わたしの意見はそれとはまったく異なる。
そもそもワールドエネミーと魔物は在り方が根底から違うのである。たしかに竜は巨大で魔法を使う。しかし基本的には長距離を移動しない。巣を持ち、伴侶を持ち、子供を持つ。
ワールドエネミーとは全く別のあり方をしている。
迷宮の外の魔物、いわゆる外的魔物は生物だ、という言説で語られるさいに必ずといっていいほどあげられる定義に自己複製能力がある。
迷宮外に生息する魔物は自己複製能力、つまり繁殖能力を持つ。
その定義で見ればワールドエネミーは生物ではない。巣を持たず、伴侶を持たず、子供を持たない。そもそも同じ種が存在しない。
己の中に存在する何かしらの指針によって行動する。機械的でありながら生物的なその姿は、神話的ともいえるだろう。魔物の一種とみなされているワールドエネミーを神と同列に語るなど不遜に過ぎるが、研究者の端くれとしてそう例えざるをおえない。
―――――――――――――――――
ワールドエネミーを生物以外の存在。つまりは嵐や酸性雨に近いと考察している。ワールドエネミーは災害だ。移動する先に街があり壊滅したという話は何度もある。
彼らの進行を邪魔してはならない。というのはこの世界に住む住民であればだれもが知っている基本的な知識だが、一部地域では異なる言葉が言い伝えられているという例が存在している。曰く、……………であると。
―――――――――――――――――
―において発生した魔物の大量発生は――が原因と考えられており―――――
……
……
……
……
……
同時多発的におきた高難易度魔物の発生も一連の災害と認定。