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余計なこと

作者: 赤い公爵

ガヤガヤガヤ、夕方東京のはずれにある工業高校、私はここで物理、数学を教えている。

「せんせー、わかんねーよ、機械の使い方だけわかればいいよ」「仕事の後でつかれてんだよねむてーよ」「声でかいな、あねごのいかずごけ」

」またかい、おいしっかり頭で考えな。だれがいかずごけだい。私はもてもてだったんだ、こんないい女ほっとくわけないだろうが・・・」


 いかずごけかまあそうかもね。父とはもう小学生のころから音信不通、ずっと母と生きてきた。からだを母が崩して付き添ってきて去年なくなった。やっと第二の青春。働きながら、大学にもいった、幸い夜間でも大好きな数学を勉強できる大学があつた。都会のビルの中の大学一見殺風景だけどあたたかい人か多かった。

昼間部の子にはやたら持てた。きっと私が自慢じゃなく大人の女に見えていたのだろう。昼間の部の子とも夜間の子とも付き合いはするけどづづかず、卒業。あっという間に母とともに、年月だけ過ぎていった。火星は何回太陽の周りをまわっただろう。望遠鏡で何回ながめたことだろう。星が巡るように、教えた生徒は毎年旅立っていく。

 だれも私の心に踏み込んでこなかった。いや踏み込まなかったのはわたし。いや学生の時踏み込んでほしかった人がいた。ぎりぎりまで踏み込んできて、立ち止まる。きたいもたせんなばかやろう。

 ふと同窓会であったらまたふみこんできやがった。きたいもたせんなばかやろう。でも星のめぐるようにわたしの道筋をわかったうえで、やさしくかすってきたあの人。別れのいい札口はあたたかいおもいにつつまれた。

 あの大学はいいよな。あなたみたいな人がいたから、息子も入学させたいよとかいいやかったのは。よ・け・い

 「おい、いかずごけはまけないわよ、しっかりかんがえろ。いのこりだてめーら」

一瞬の暖かさが過去からつながる、それだけで私は生きていける。星空に照らされながら。

でもいいたい きたいもたせんなばかやろう

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