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その後の宴

『万竜の祝宴』が無事に終わり、その後の祝宴(人サイズ)が始まった。



文字通り山の様な肉や果物や魚介類といった様々な物が所狭しと並んでおり、そのどれもが一級品の品々である。



「さぁ!ウチらが苦労して取って来た美味いもんや!たんと食え!」



「ほとんどナザール様が狩って(わたくし)達は解体と荷物持ちでしたが」



「おいそれ言わん約束やろティア。…………まぁ、とにかく。それでは!ルナとリュウちゃんのこの世界での正式な婚約を祝して乾杯ッ!!」



『『『乾杯ッ!!』』』



宴はバルザックの音頭で始まった。



「むがむがむがむがむがッ」



「…………………」



一心不乱にアイスエイジマンモスのステーキに食らい付いているスルース。山の様にあるステーキは徐々に減っていっている。そしてその隣には正装姿のアリシアが黙々といちばん美味しい霜降り肉をステーキの山から的確に取って食べている。その顔は真剣だ。



「つーか、俺らも食っていいのか?こういうのもアレだが、俺ら部外者だぞ?」



とアダマンキングクラブをがっついていたガゼルがそう言った。



「別に構わんよ。祝い事は大勢で楽しむのが良いし、それにガゼル殿達は警護にあたってくれたのじゃろ?それのお礼じゃ」



「そうだぞガゼル。つべこべ言わずに食え。ここにあるのは一生に一度ありつけるかどうかわからん超高級食材ばかりだぞっ」



「………………お前は図太くなったな」



と口いっぱいに霜降り肉を食べて目をキラキラさせているアリシアにガゼルは呆れた表情を見せた。



「図太くならなければやっていけない事に気がついたんだ。……さて、次は星喰(アースイーター)だ」



と生き生きとした顔でそんなことを言い出すアリシア。



…………私、アリシアがこんなに生き生きとしているの初めて見た気がする。



「………ま、そう言われちゃあ、俺達も食いまくるしかねぇな」



ガゼルはそう言ってまた別の場所へと移動していった。



「よお新郎!食っとるかいな?」



と後ろからバルザックが声を掛けてきた。



「あぁ、食っておるよ。というかよくこんなに集められたのぉ」



「なんかナザールがイスチーナ様に依頼を受けてこれだけ集まったんや。みんな普通のよりデカくて大変やったわ」



「おぉ、そうじゃったのか」



「ま、これで宴のやつも揃えることができてよかったわ。……………というかルナ、髪の色変わってるよな?それも婚約のせいか?」



バルザックの言う通り、私の髪は銀一色から緋色が混ざったものに変わっている。リュウエンも似たような感じで彼女の灼髪には黒い髪の毛がメッシュ状に混ざっている。



「おそらくのぉ。リュウエンも似た様な感じじゃったし、まぁ気にすることでもなかろう」



「まぁ、確かにそうやけど」



「るぅな〜〜てぃ〜〜あぁ〜〜」



とバルザックと話してると何故かベロベロに酔ったナザールが私に抱きついて来た。



「ちょ、姉上!?なんで既に酔っているんじゃ!?」



「あー………ナザールの奴な、1番強い酒を樽で飲みまくっておったんや」



「るなぁ〜〜……お前は、お前はほんとに、ほんと〜〜によくやったなぁ。かわいいよめさんもらえてほんと〜〜に良かったなぁ!!いいかぁ!!旦那っていうのはぁ!!いつでも妻を守ってやるんだ!!わかってるかぁ!!!」



と顔真っ赤にしてそう大声で叫ぶナザール。ナザールは昔から酒には強いが一度酔うと手が付けられなくなるくらい暴走するのだ。今の様に。



「あぁ、もう姉上鬱陶しいわ!わかっとるから少し離れんか!」



「やだぁぁぁ!!!せっかくの妹との宴だからぁやだぁぁ!!!」



「うっさいわ!!耳元で騒「ルナちゃ〜〜んッ!!」ッグフ!?」



私がナザールを引き剥がそうとしていると同じく酒で酔っ払ったリュウエンが私の腹に突っ込んで私諸共吹き飛んだ。



「な、なんじゃ、リュウエン……き、急に、突っ込んで」



「ルナちゃ〜〜ん♪えへへ♪大好きだよぉ♪」



「ーーーーーーーーー」



腰から生えた尾をふりふりと揺らして、へにゃっとした笑顔で私に抱きついて甘えた声で言うリュウエンに対して一瞬だが、苦言やらなんやら思考がすべて吹っ飛んだ。



「ルナちゃ〜ん………良い匂いだねぇ〜〜」



「ーーーッスゥーー、…………リュウエン、少し待て。少しだけ離れてくれ。今、襲いかかりそうになったから少し離れてくれ。一旦落ち着かせてくれ」



「………??別にここでもいいじゃん?何が駄目なの?」



私の懇願にリュウエンはとろんっとした目で不思議そうに首を傾げた。



「ッスゥーーーーー…………… (落ち着け。) (落ち着くんだ私ッ)



またもや私の性欲が暴発しそうになる。



「なんだぁ??姉である私を置いて○○○(ピー)やる気かぁ〜??」



と今や酔いで完全に普段のイメージがぶっ壊れているナザールがどデカい酒樽を持ってやってきた。



「ちょっと姉上は黙ってくれんか!?というかまだ呑むんか!?」



「呑まなきゃやってられないでしょうがぁ!!!」



と文字通り浴びる様に酒を呑んでいくナザール。



「ルナちゃん!やろうよやろうよぉ〜!!」



そう言って服を脱ぎ始めるリュウエン。



「ちょっと待てッ!?ここで脱ぐなッ!周りの目があるじゃろが!?いいから落ち着けェェ!!!」




……………こうして非常に疲れた宴は終わった。



ちなみに料理はほとんどスルースに食われた。

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