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転生した鏖殺姫は今日も仲間と共に楽しく暮らします  作者: 骸崎 ミウ
鏖殺の喰人姫
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幕間〜最愛の人に会う為〜

〜side日暮 雛〜



ニュースを見て私は目の前が真っ暗になった。



『○○○高等学校にて発生したガス事故により36名が死亡』



朝の何気ないニュース、その犠牲者の名前に私の大切な恋人、澪ちゃんがいた。



私と澪ちゃんが出会ったのはVR MMO RPGの『nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』でだ。



お父さんとお母さんにおねだりして買ってもらったフルダイブ型ゲームでダークファンタジーの世界観となんでもありな世界に興味を持った。



自由気ままにレベルを上げて楽しんでいた時、澪ちゃん……ルナティアちゃんに出会った。



ルナティアちゃんに出会った時、彼女は大怪我をしていた。なんでもPKをしていたら返り討ちにされたそうだ。私は手持ちのポーションで治療した。危険な人だとは思わなかった。ただ、なんとなくほっとけなかったからだ。



それから私とルナティアちゃんはフレンドになって一緒に冒険した。そのうち人数も増えてギルドを作り、リアルでも交流する様になった。



リアルのルナティア………天野 澪ちゃんはかっこいい女の子だった。背は低いけど均衡のとれた体つきにちょっと凛々しい顔立ち、短く刈りそろえた髪を見ていると男の子に見えた。いつも明るくてキラキラと輝いて見えた。



一目で私は恋をした。



…………私は同性愛者である。



生まれ持った気質だから自分ではどうしようもない。だというのに、それが周囲に理解され難いという、大きな悩みとなりやすい事柄だ。そうそう軽々しく明かせるようなものではないし、触れる側も躊躇するような内容でもある。



はじめは友人のままでも良かった。



けど、日に日に辛くなっていって、澪ちゃんを独り占めしたいという欲望が沸き上がってくる。



そして、私は勇気を出して告白した。すると澪ちゃんは自分のことを話してくれた。



いじめのこと、家族のこと、自分の本当の顔を。



全部話した後、澪ちゃんは『こんな自分でもいいの?』と聞いてきた。私は間入れずにいいと答えた。"ちゃんと話してくれた"それだけでも私は嬉しかった。



こうして私と澪ちゃんは恋人同士になった。



ギルドのみんなにも報告して『結婚』もした。マイルームの共有やら装備の共有やらそんな特典がついたけど私たちには関係ない。繋がりが出来ることに意味があるから。



その後、現実世界でも結婚を約束した。……………ニュースはその直後の出来事だった。



私は部屋に引き篭もって、泣いて泣いて声を出して泣いた。



胸が万力で締め付けられる様に痛くて、肺も焼けた様にヒリヒリして、頭の中がぐちゃぐちゃのドロドロになった。



泣き疲れて眠って、起きて夢じゃないんだと理解して泣いての繰り返し。ご飯も喉に通らなくて、憔悴しきっていた。



お父さんとお母さんははじめは心配してくれたけど、そっとしておくのがいいと判断したのか。何も言わなくなった。



その後、私の世界は灰色になった。耳も遠くなって、何を食べても味が感じなくなった。



nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』にログインすることもやめた。澪ちゃんがいないってことが嫌でもわかるから。



夜寝るのも怖くなった。夢に澪ちゃんが出てきて、私を置いてっちゃう悪夢を見る様になったからだ。



そんな毎日が続いた日、変な夢を見た。



邪神と名乗る少女がギルドのみんなにタコ殴りにされている夢だった。そいつが澪ちゃんを殺して異世界に飛ばしたんだと聞いた瞬間、私もその邪神を思いっきり殴った。



コイツのせいでッ!コイツのせいで澪ちゃんがッ!!



両手が血まみれになるのもお構い無しに殴っていたら邪神が話を聞いて欲しいと待ったをかけた。



殴り足りなかったけど、とりあえず話を聞くと澪ちゃんはあのガス事故……それに見せかけた勇者召喚に巻き込まれて死んじゃったみたいで、今は目の前の邪神の眷属になって『nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』のルナティアとして異世界に転生したみたい。



邪神は『君たちも来るかい?』と聞いてきた。



私は迷わず行きたいと答えた。



澪ちゃんにまた会えるなら私はなんでも捧げる。だからッ…………。



その後、少し遅れてみんなも行くと言ってくれた。



みんなの言い分をまとめると『元々、現実は楽しくなかったし、澪ちゃんがいなくってそれが顕著になった。そっちの世界に澪ちゃんがいるならみんなで行ったほうが楽しい』だ。



邪神はそれに納得した様ですぐに転生の準備をしてくれた。



…………………待ってて澪ちゃん。直ぐに会いに行くよ。


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