被虐の堕天使
〜sideアリシア〜
………………私は何を見ているのだろうか。
先程、異形の化け物とルナティアとの戦いが終わり、その異形の化け物が『七大罪龍』の1人だという事でルナティアに連行されてきたのだが…………
「ハァッ、ハアッ、ハフーッ、あぁ………お、お姉様っ、の愛らしいお尻で潰していただけるなんてっ、私は前世でどのような善行を積んだのでしょうか………!さ、最高ですわっ!」
「黙れ白豚。お前は満足に椅子としての役割すら全うできんのか?」
「はぅんっ!?も、もっと罵ってくださいませぇ………」
真っ白な軍服ドレスを着た雪の様な髪を持つ女性が四つん這いとなり、その上にルナティアが座っているという光景を見せつけられいる。
「……………なぁ、これ一体どういう事だ?」
私はズキズキと痛む頭を抑えながら聞いた。
「ん?あぁ、そうじゃな。ほれ立って自己紹介せい」
ルナティアはそう言うとスパンッと女性の尻を叩いた。
「ニャフンッ!はいわかりましたっ!」
女性は嬉しそうな悲鳴をあげるとにゅるんっと思わず引いてしまう様な動作で立ち上がった。
背は私と同じくらいでナザールほどではないにしろはっきりとした体格の持ち主だ。足元まで伸びた雪の様に白く長い髪を1つに括っており、どこか狐を思わせる風貌だが、目元に真っ黒な目隠しを付けており、顔全体はわからなくなっている。
服装は真っ白で豪華な装飾のある軍服ドレスに白いズボンを着ており、その装飾はただ豪華で下品な物ではなく彼女の品格を底上げする様な物である。
背中には地につくほど巨大な純白の翼と闇を切り取った様な翼があり、頭には黒い光の輪とねじ曲がった角が生えており、腰からは茨の様な長い尾が生えていた。
「お初にお目にかかります……、私は"色欲龍"ティアムンク・ヴァルプルギスナハトと申します。そしてッ!お姉様ことルナティア・フォルターの忠実なる豚奴れ『バチコンッ!』ッイヒィーーー!!」
バチコンッという音が鳴ったかと思うとティアムンクは妙な悲鳴と共に弓なりに背筋を伸ばしその場にへたり込んだ。その時、尻を上に突き出す様に倒れ込んだ為か随分と間抜けな格好になっている。
「すまんアリシア。この馬鹿が変なことを口走ったから止めた。………別に心配することではない。コレはそういう性質だからな」
ルナティアはそう吐き捨てると厚底のブーツでティアムンクの突き出た尻を蹴飛ばす。するとティアムンクは恍惚とした表情でビクビクッと
身震いした。
「えっと、そのーー、ティアムンクちゃんは保有スキルに『被虐快楽』と『痛覚変換』というのがありまして…………痛みや罵倒を受けるとそれに応じてステータスが上昇するんですよ。しかも本人もそういったプレイが好きで………その……」
「この白豚は一切の不純物がなく救いようの無い真正のドMじゃ」
リュウエンが顔を真っ赤にさせて説明している横でルナティアはそう言った。
「まぁ、コイツにとってこれもご褒美にしかならんがのっ!『ズバゴンッ!』」
ルナティアはそう言って金属でできたハリセンでティアムンクの尻を叩いた。
……………………明らかに常人がくらうと骨が砕けるレベルの威力だが大丈夫か?
「あひぃっ。今の、凄いとこ来ましたっ!お姉様からのご褒美っ最高ですわぁ…」
……………大丈夫な様だ。
「あ、そう」
そっけないルナティアの返事に、ティアムンクはぶるぶると感じ入ったように震える。ルナティアの目が死んだ魚の目の様になって来ている。
「…………なぁ、そろそろ我の心が限界なんじゃが?誰か変わってくれんか?」
悟りを開いた様な清々しい笑顔でルナティアはハリセンを差し出してそう言った。
「何故ですのぉ!?私は既にお姉様の仕打ちにしか喜びを見出せない身体になっております!他の輩にされるくらいなら舌を噛み切る所存でございますの!!」
グワッと勢いよく立ち上がり、拳を強く握り締めてそう訴えるティアムンク。ハァハァと荒い息を吐きつつ、恍惚の表情を晒しているその姿は確かに変態だ。
「…………………もう、やだぁこの変態」
ルナティアはティアムンクの力強い訴えにその場に座り込んで項垂れてしまった。
「というかルナは『加虐快楽』持っておるやろ。相性ばっちりやないか」
とここでバルザックが呆れた様にそう言った。
『加虐快楽』………字面からして『被虐快楽』の正反対のスキルだろうか?だとするとルナティアは相手を虐めることでステータスが上昇するわけか。
「アホ言え。我の『加虐快楽』はこの変態にはうんともすんとも反応せんわ」
「じゃあ、何なら反応するんや?」
「そりゃあ、リュウエンをベッドの上で襲って一昼夜喘がせることじゃ。そうすれば我のステータスは軽く10倍になるぞ」
「ちょっと何言ってるのルナちゃん!?」
さらりとそんなことを言うルナティアにリュウエンは顔を真っ赤にさせて怒った。
「別におかしいことではないじゃろリュウエン?お前も随分と喜んでおったじゃないか」
ルナティアはそう言って立ち上がり、一気にリュウエンとの間合いを詰めて、包み込むように抱きしめた。
「ル、ルナちゃん?」
「リュウエンは柔らかくてあったかいのぉ。それに桃の様ないい匂いもする。こうして近くにいるだけで心が落ち着くのじゃ」
「そ、そう?でもルナちゃん、急にどうしたの……っぅん」
ルナティアはリュウエンを逃がさないと言わんばかりに自身の尻尾をリュウエンの尻尾に絡めて両手でリュウエンの腰を抑えている。そのルナティアの表情は発情して薄赤く火照っている様に見えた。
「なぁ、リュウエン。……キス、しようか」
「ま、待ってルナちゃん、みんなが見てるしっ、恥ずかし……んむっ!?」
ルナティアはリュウエンの静止も聞かずに強引に彼女の唇を奪った。突然のことで私たちは硬直し、リュウエンは反射的に唇を閉じることで防ごうとしている。
「ふふ、反抗的じゃなぁ。リュウエンは」
ルナティアは一時、唇を離してそのあどけなさが残る眠そうな顔に嗜虐的な笑みを浮かべてそう言った。そして、リュウエンを拘束する手を少し緩めて彼女の尾の付け根辺りから掴み、少し引っ張った。
「ふぇっ…!?……んむう………………あむ……んん……………」
リュウエンがその刺激に叫んだ隙にルナティアは彼女を蹂躙する。リュウエンの顔から徐々に理性が抜けていき、ふにゃふにゃと蕩けさせてる。
「おいティア!?お前、ルナになにしたんやぁ!?思いっきり発情してるやないか!!」
バルザックは突然始まった2人の情事に顔を赤くしながらおそらく原因だろうティアムンクに向かって叫んだ。
「私はスキルを使ってお姉様の内なる欲望を助長したまでですわ。しかし………ここまでなるとは予想外でしたわ♪」
「言っとる場合か!!リュウちゃんもマジでやばくなっとるぞ!早うスキル止めんかッ!」
「それは無理ですわね。私のスキルはあくまで助長。あとはその身に宿る欲望という名の獣をハッスルさせるだけですわ!!」
バルザックの叫びにティアムンクは鼻息荒くそんなことをのたまった。
そうしている間にもルナティアとリュウエンは倒れ込み、そのまま続きを始めようとしていた。
「こんな場所で駄目だよ!やるなら部屋に戻ってよ2人共!」
「…とりあえず、止めるぞ!」
ナザールとスルースは慌てて2人の情事を止めに入り、続いてバルザックも止めに入った。
混沌を織りなす執務室から静かに出た私は寝室に向かい、眠りにつく。
………………多分、悪い夢か何かだろう。
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ティアムンク・ヴァルプルギスナハト
種族:天骸厄龍
カルマ:クリフォト
職業:執行官
レベル:100
HP:12万
MP:4.6千
称号:背信者・堕ちた龍・闇を喰らいし者・神殺し・同族喰い・人食主義・厄災・人類の絶望・被虐の女王・呪眼を極めし者・バイオマスター・血塗れの悪夢・七つの大罪 《色欲》
加護:邪神の加護・死災龍の加護
【固有スキル】
龍の金剛体・龍眼・呪眼【麻痺・石化・激毒・恐怖・崩壊・氷結・炎化・捻れ・即死】・龍滅魔法・反転魔法・龍化・侵食・痛覚強化・調教・精神汚染・威圧・色欲の魔香
【スキル】
翻訳・アイテムボックス・双銃術・指揮・深淵魔法・精神魔法・死霊魔法・改造魔法・侵食魔法・調合師・バイオテクノロジー・食人・被虐快楽・痛覚変換・眷属召喚 ・物理ダメージカット【上】・魔法ダメージカット【上】
頭部:『断罪の証』【未来予測】
胴体1:『穢れなき愛国心』【幻影】
胴体2:『追想の懐中時計』【時間操作】・【破壊不能】
メイン武器:『対殲滅454カスールオートマチックバレット13式』【ミリオンカーニバル】・【破壊促進】
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ティアムンクの見た目と性格は初期の方で既に決まっていました




