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転生した鏖殺姫は今日も仲間と共に楽しく暮らします  作者: 骸崎 ミウ
平和?な日常
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宴会

時系列が少しばかり戻ります



第28話の前の日ですかね。

魔王城のとある一角に巨大な工房がある。そこでは魔王軍の中でも変わり者達が集結して日夜魔導具の開発及び修理、解析を行っている。



ちなみにそこは私の職場だ。



今日もバロメッツさんに依頼された魔導具の修理に取り掛かろうとして……



「開けろぉ!デト○イト市警じゃあ!」



ドアを壊す勢い……というかぶっ壊して入ってきたのはバルザックだった。



「去れ」



『ドパンッ!!!』



私は手元の調整済みマスケット銃でバルザックの上半身を吹き飛ばす。すると辺り一面に血ではなく水が撒き散らされた。



「ーーーーなんや!?いきなり撃つとかどうかしとるやないか!!」



水はもぞもぞと動いてバルザックの半身に集結して元の姿へと戻り、バルザックはプンスカと抗議した。



バルザックの固有スキル 《龍の流水体》は水さえあればどこでも無傷で復活できるという規格外な代物だ。しかも、全身を復活させるのに必要な水の量はペットボトル1本分と随分とエコである。



「ヌシが来たということはまた厄介事であろう?嫌じゃよそんなの」



「ウチは日本酒が飲みたいんや!だから麹作る発酵機作れ!」



「おい、人の話を聞けや。というか何故命令するんだ」



そう、バルザックはいつもこんな感じで周りを巻き込んでいく。



主な例を挙げるなら………………。



・『可愛い狸の子を拾って来たぞ!』→ブチギレた化け狸の大軍勢に三日三晩追いかけ回された。



・『山に行くぞ!』→ワールドボスである超超巨大な化け蟹と戦闘。(その化け蟹はカグラの召喚獣となった)



などだ。



つまり、それは必ずとんでもないことに発展するというわけだ。



「なんだ騒がしい!!一体誰だ!!」



と奥から工房長のガルムトさんがやってきた。ガルムトさんは典型的なドワーフで鍛治職一筋の大ベテランである。



「あぁ、すまぬガルムト殿。我の友人が馬鹿な事をしでかそうとしておるのじゃ」



「馬鹿とはなんだ!日本酒を作るのは馬鹿な事ではないやで!」



「ニホンシュ?なんだ酒か?」



バルザックが日本酒と言うとガルムトさんが食いついた。



「そうや。ウチらの故郷の酒や。甘い風味に透き通る喉越しっ!最高な酒や!その日本酒の決め手となる麹ちゅうもんを作る魔導具をルナに依頼していたんや」



「おいルナティア。お前が受け持っている修理の仕事、全部俺に寄越せ。お前はすぐにその魔導具の製作に取り掛かれ」



「はぁ!?」



まさかの裏切り。いや、裏切ってないか。



「なんや?オヤジも飲みたいんか?」



「当たりめぇだろ。酒は俺たちドワーフにとって命の源なんだよ。できたら飲ませろ」



「ええよええよ!酒盛りは大勢おる方が楽しいからな!」



ガハハッとオヤジ臭く笑い合う2人。それを私は冷めた目で見る。



「なんやルナ、まだ渋っておるんか。しゃーない、助っ人呼ぶか。おーい説得頼むでー」



そうバルザックに呼ばれて出てきたのは甚平姿のナザールだった。…………………そういえば、ナザールは酒好きだったけ。



「…ルナティア」



「嫌じゃ」



名前を呼ばれたが私はキッパリと嫌だと告げる。



「…やれ」



「嫌じゃ」



「…………やれ」



「い、いや「やれ」……………はい」



結局、ナザールの無表情且つ凄まじい威圧&眼力により私は屈服した。…………………帰ったらリュウエンに慰めてもらお。




***




〜sideアリシア〜



バルザックがルナティアに強制的に作らせた発酵機なる物で作ったニホンシュが振る舞われた。



バルザック曰く、日頃の感謝の印だそうだ。その結果、城内は宴会ムードとなった。



「ねぇ、リュウエン……。私、また負けちゃったよ………お姉ちゃんにまた負けちゃったよ……」



「そうだねぇ。でも、少し耐えれたじゃない。成長している証拠だよ」



「……………そうかなぁ?そうなのかなぁ?えへへっ、リュウエン、大好きぃ」



「はぐっ!?ーーハァーーハァ、や、やばい。かわいすぎるッ」



少し離れたところで古風な喋り方ではなくなったルナティアがリュウエンの理性を削っていた。



「にゃははははは!!にゃははははは!!あー、たのちくなってきたなぁ!にゃはははは!!」



「あはははは!!いいないいなぁ!!宴会はやっぱこうでなくてはなぁ!」



普段の凛々しい姿とは似ても似つかない大声で笑うナザールと普段とそんなに変わらないバルザック。



そんな賑やかな光景が目の前にあった。



ニホンシュというのは実にいい物だ。喉越しがよくてほんのりと甘い。いくらでも飲めそうだ。



そうして宴会は夜がとっぷりと耽るまで続き、その後、城の者のほとんどが二日酔いで寝込み、一時騒然となった。

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