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転生した鏖殺姫は今日も仲間と共に楽しく暮らします  作者: 骸崎 ミウ
鏖殺の喰人姫
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転生して〜2

「さぁ、さぁ、さぁあ!!楽しい楽しい食事の時間じゃよぉ!人間(ヤマザル)共ッ!!きひ、ひひ、ひひひひひひひひッ、アッハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」



荒地に充満する()()()()()()()()に私は口から流れ落ちる涎を拭おうとせずに狩りに向かった。



何のことだかわからないといった顔をしている肉の塊(人間)に私は固有スキルの《暴食の骸》を発動させる。



すると私の頭は闇に包まれて巨大な化け物になり、3メートルはあるであろうその顎を開放させて肉の塊(人間)がいる地面ごと抉り取った。



咀嚼すると生暖かくてとろみがあり非常に甘い血と歯応えのある肉の感触がきて、同時にこの世のものとは思えない絶叫が口内に響いた。



《暴食の骸》は『nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』において最強格の七つの大罪シリーズのスキルの1つだ。



効果は"あらゆるものを喰らう"というかなり大雑把なものだが、いい変えればなんだって食べれる様になるということだ。しかも、食べれば食べる程ステータスが上がっていき、最終的に手がつけられなくなるのだ。



私の場合、《食人(カニバリズム)》という人間種を食べるとHPとMPが回復するという効果を持つスキルを所有しているため、相性抜群だ。



(ふむ……意外といけるのぉ。肉の弾力も良くて噛みごたえが良いし、血も食欲をそそるのぉ。これは称号の影響かの?)



一口目を終えた私は《深淵魔法》の初歩魔術、《生態感知(ソウルビジョン)》を使って周りを見渡した。すると不思議と人間とそれ以外の種族がはっきりとわかった。



「随分とおるのぉ、これでは喰べる前に逃げられてしまうではないか。よし、ならば」



私は食事のサポートを呼ぶべく《眷属召喚》を行った。



赤い魔法陣が展開されてそこから出てきたのはメイド服を纏った銀髪の美少女だった。



肩まで伸びた銀髪をポニーテールにしており、少し吊り目気味の青い瞳を携えた顔は人形の様に整っている。肌は病的に白く、心なしか周りの空気が冷え込んできた。



「ブラッドメイド長、ミラ。ただいま参上いたしました。何か御用でしょうか主様」



銀髪のメイド………ミラは私に向かってひざまづいてそう言った。



「久しぶりじゃのぉ、ミラ。元気にしておったか?」



「はい。私を含めた妹達もいつでも主様に召喚されてもいい様に万全な状態で待機しておりました」



彼女は私が契約している《魂喰いの王ソウルイーター・ロード》と呼ばれるアンデッドだ。ちなみに美少女メイド服は私の趣味である。



《眷属召喚》とは魔術師系の職業を持つ者なら誰でも入手可能だ。モンスターと契約する際には1人で倒さなければいけないが、それでもこのスキルはボスモンスターまで契約できるというチート物だ。



「そうか、ではミラよ、命令(オーダー)じゃ。この場にいる人間共を全員生かして捕らえ、我に献上しろ。それ以外の種族には手出ししてはならん。死体は……人間のなら喰ってよし」



「仰せのままに。マイロード」



私の命令(オーダー)を受けたミラは立ち上がると天に向かって咆哮を上げた。それは生き物が発するには歪で身体の内側を抉る様な不快な咆哮だった。



これが、人類史に残る最も残虐な戦争、『血骸の狂宴』の始まりの合図であった。



***



ミラの咆哮は戦場に響き渡り、変化をもたらした。



荒地一帯に断続的な地鳴りが発生し、その地鳴りは複数個しかも何かが掘り進んでいる様に聞こえた。



そして、ある程度大きくなり一瞬の静寂の後、大地が爆ぜた。



ヘドロの様にどす黒い何かが間欠泉の如く吹き出し、荒地を黒一色に染め上げる。



そして……………



『ーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!』



声の無い怨嗟と呪詛の籠った咆哮が戦場を包み込んだ。



ルナティアが転生した世界に於いてアンデッドは2種類いる。



スケルトンやリッチといった魔王軍に属する知性有しアンデッド、屍人種と本能で行動するアンデッド、ビースト種だ。特に後者は魔王軍でも手を焼く厄介者で一体でも発見されればすぐさま討伐隊を組まれる。



そんなビースト種でも『出会ったら死』と呼ばれる奴が2体いる。魂喰いの王(ソウルイーターロード)屍龍(デスドラゴン)だ。



そして、今その戦場には多種多様の獣の骨にヘドロの様な闇を纏わせて暗い眼窩に青白い鬼火を燃やしている10体の魂喰い(ソウルイーター)と20メートルを超える黒い骨のみの2体の竜……屍龍(デスドラゴン)が現れて一斉に咆哮を上げた。



「おぉ!!いいのぉ!いいのぉ!最高じゃ!」



ルナティアはいつの間か用意されていたテーブルと椅子に座り、お茶を楽しんでいた。



「それでは主様。しばしお待ちくださいませ」



「うむ。あまり急がなくても良いからなミラ」



ミラはルナティアに向かって見本の様な礼をすると自身も本来の姿へと戻った。



30メートルはある骨の狼の様な巨体に闇と錆びついた鎖を纏わせ、深淵の底を思わせる暗い眼窩に4つの金色の鬼火を燻らせたその姿はまさしく死と恐怖の体現である。



『我らが主の勅命であるッ!!この場にいる人間を1人残さず我らが主に生きたまま献上せよッ!!人間以外は決して襲うではないぞッ!!』



『『『『『ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!』』』』』



絶対なる上位者からの命令。本能で行動するビースト種が唯一従う物だ。



自分達の王である魂喰いの王ソウルイーター・ロードの命令を受けた暴食の獣達は咆哮を上げて狩りを始めた。

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