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約束を果たす為に〜1

魔王城の中は案外明るくて清潔感で満たされていた。



私は鼻歌を歌いながらアリシアの元に向かう。すれ違う人の共通点は全員が人間でないこと。私の知る魔族や獣人、悪魔などが沢山いた。



私はアリシアの気配がする1番豪華な扉を開けると既に執務作業をしているアリシアがいた。



「よう!良い朝じゃなぁ!」



「部屋を入る際にはノックしろと教わらなかったのか?」



正論を言われたが気にすることではない。



「教わったが急を要する故に必要ないと思ったのじゃ。昨日来たばかりで悪いが、もうすぐ我が番がこの世界にやってくる故向かうに行くのじゃ」



(つがい)?それはまだ早くて1ヶ月も先の話ではなかったのか?」



「なんかアホな女神が我にぶつける為にイスチーナ様に干渉したお陰で早まったみたいじゃ」



「それは一大事でないかッ!?」



私がサラッと言うとアリシアは慌てた様子で席を立った。



「まぁ待て。案ずることはない。イスチーナ様が言うには我ら『七大罪龍(セブンズドラゴン)』は神殺しの権能を有している上にかの女神との相性は最悪。加護どころか洗脳のせの字すらかからない悪相性ぶりじゃ」



「……………お前たちは一体何者なんだ?」



アリシアは酷く疲れた様子で椅子に座り直した。



その直後、とてつもない威圧と共に窓の外が紅蓮に染まった。




***




〜sideアリシア〜



それは唐突であった。



ルナティアの話で朝から疲労に苛まれていると威圧を含んだ魔力波と共に外が紅蓮に染まった。



「ッ!?なんだ!?」



窓を開けて外を見るとそこには異常な光景が広がっていた。



空が大地が植物も建物も全てが紅蓮に染まり、空気が熱に侵された様に熱くなっていた。



「陛下ッ!!先程、魔導通信よりアストラス大火山より巨大な火柱が立ち上がり、謎の超大型飛行生物が現れたと連絡がありましたッ!!」



開け放たれた扉からバロメッツは息を切らしてそう報告した。



「それが今の異常事態の元凶か……。おい、ルナティア。これはまさか……………ルナティア?」



元凶を知っているであろうルナティアに聞こうとした時、私はルナティアの異変に気づいた。



視線を窓の外に固定して、その見開いた十字の紋章の入った黄金の双瞳からは止め処なく大粒の涙がこぼれ落ちていた。



「ーーーーーーーーーーーぁあッ、リュウエンッ、リュウエンッ!!やはり、最初はおぬしじゃな!愛しき我が妻よッ!!アッハハハ!!」



ルナティアはその顔を歓喜に満たして叫んだ。



「あぁ、もちろんだ!今すぐ向かうぞ!待っておれリュウエンッ!!」



ルナティアはそう叫ぶと私が開けた窓から飛び出した。そして、ある程度地上から離れると光に包まれた。



その光が晴れるとそこには異様な姿の竜がいた。



体長は優に百メートルを超え、自ら光を発している様に見える銀色の鱗に十字の金眼、その細い身体を覆う様に纏わりついている骨の外鎧、身体と大差ない大きさを誇る4対の翼は血を塗りたくった様にドス黒く鞭の様に細く長い尾は山を一巻きしてもお釣りがくるぐらい長かった。



そして極め付きは胸に当たる部分に赤い瞳と口の様なものがあった。



はじめてルナティアと出会った時……いや、ルナティアがこの世界に降り立った際に感じた恐怖と絶望の感情を纏わせた魔力を撒き散らしていた。




彼女は先日、自らのことを『神に牙を剥いて奈落の底に落とされた天龍』だと言った。その歪で神々しい姿を見て私は彼女の言葉は正しかったと実感した。



ルナティアは4対の翼を大きく羽ばたかせると轟音を上げてアストラス大火山へと向かった。

ルナティアの龍化のイメージはモンハンのバルファルクとミラルーツを合体させた様な見た目です

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