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米澤唐吉調査事務所  作者: 早瀬 薫
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第八話 7

 困った僕は、ため息を吐きながらレイデンに電話していた。


 プルルルル、プルルルル、プルルルル、カチャ


「はい、レイデンです。お電話ありがとうございます。セイヤさん、こんにちは。今日は何にお困りなの?」

「自分の不甲斐なさにです……」

「ぶっ」

「ちょっとっ! そこ、笑うところですかっ!」

「ごめんなさい。あまりにも謙虚で、セイヤさんらしくないんだもの」

「いつもは自信満々の傲慢な馬鹿野郎なのに、とでも言いたいんですか?」

「そうですね」

「……」

「でも、セイヤさん、最初にお電話頂いた頃と比べると、随分感じが変わって来ていると思いますよ」

「どんな風に?」

「前はいつも人を馬鹿にしてたし、偏見の塊だったし、小さい子供にさえ容赦なかったのに、今はなんだか孵化した感じ」

「孵化?」

「ああ、一皮剝けた感じ」

「昆虫か爬虫類ですか、僕は……」

「ふふ、でも、紳士になりましたよ。前は、こんな話をしたら怒ってたじゃないですか」

「そうですね」

「今は全然怒ってないじゃない」

「それは褒め言葉ですよね?」

「そうです、褒め言葉です!」

「それで、今日の相談は、どうやったらうまく盗撮が出来るか、教えて頂きたいんです」

「はぁっ!? なんですか! その相談は!」

「それが調査事務所の仕事なんですよ」

「ああ、そうですか……、そうですよね……。セイヤさんも大変ですね……」

「ええ、大変です」

「尾行して写真を撮るんですか?」

「そうです」

「わかりました。どうやったら、うまく盗撮できるか聞いてみます」


 レイデンは、少し前に亡くなったばかりで、ちょうど生前探偵をやっていたという知り合いの霊がいて、その霊に聞いてみるから、二分程待っていて欲しいと言った。僕は、レイデンに言われた通り、大人しく待っていた。二分間待った後、レイデンは、「お待たせしました! 分かりましたよ!」と言った。


「その人はね、いつチャンスが訪れるか分からないから、ビデオは回しっぱなしにした方がいいと言ってるわ。それと、やはり、一人じゃ無理だって。二人以上で行動すべき。しかも、ペアを組むなら、男同士より男女のほうが、相手が警戒しないからいいそうよ。あと、脱いだり着たりできる上着を持ってたほうがいい。上半身の服が変わるだけで、相手はこっちを別人だ認識するから、尾行しやすくなるそうよ」


 僕はレイデンから、尾行のノウハウを伝授され、感謝の言葉を述べて、電話を切った。


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