第七話 10
翌日の早朝、まだ寝ていた新宅正司を叩き起こし、東京へ向かった。電車の中で、急に携帯が鳴った。名前を確認すると、坂崎雄二からだった。僕は急いでデッキに向かい、電話に出た。
「米澤さん、常木ですが、浅草や上野のパチンコ店で若い女と一緒に遊んでいたと目撃情報が上がってます。どこでその情報を仕入れたのか知りませんが、流山組の若手連中も上野方面を探っているようです」
「そうか! やっぱり、あの辺りが怪しいんだな」
「そうですね。目撃されたのは、一度や二度じゃないらしいですから、当たりでしょう」
「分かった。俺もあの辺を探ってみるよ」
坂崎雄二からの情報で、やはりレイデンの情報は正しいと確信した僕は、新宅正司と共に向島へ向かった。向島は、隅田川を挟んだ浅草の対岸にあった。向島の花街組合のホームページで確認したら、組合に加入している料亭は十軒だった。僕と新宅正司は、一軒一軒料亭を回って、芸者の行方を探した。
二十代で、頭の上で髪をまとめ、普段着は全身真っ黒か真っ白という情報は大いに役立ち、すぐに探していた女性は見つかった。レイデンは彼女のことを浅はかと言ってはいたが、男を匿っているせいか、多少は警戒心があるらしく、僕と新宅正司のことを流山組の組員でないかどうかしきりに気にしていた。しかし、僕が弁護士の身分証明書を見せると、ほっと安心したようだった。念のためと思い、日弁連に身分証明書を発行して貰っておいたのだった。
芸者宅に赴き、常木彰浩が部屋の中にいることを確認した後、坂崎雄二に電話し、岩倉敬造と共に逮捕しに行くように促した。
後日、常木彰浩を無事に逮捕できたと坂崎雄二から連絡があった。しかし、芸者のアパートの前で流山組の若手と鉢合わせになり、危うく拳銃で打たれそうになったが、僕に教わった空手の技で、瞬時に拳銃を奪って、岩倉さんを守ることが出来たと嬉しそうに報告してくれた。




