84/126
第七話 7
山本道代は、たった今、交通事故の示談交渉を任された顧客との打ち合わせを終えたが、次の顧客との予定まで時間が空いたので、マツ婆ちゃんと交信しようとしていた。神崎美波は、素行調査を依頼されたターゲットの尾行をするため、事務所を留守にしていた。
山本道代は、唐吉の母親のことが気になっていた。しかし、目を閉じ呼びかけても、マツ婆ちゃんは現れない。「お祖母ちゃん、どこに行っているんだろう? 昼間は忙しいんだろうか? 幽霊にも忙しいとか忙しくないとかあるんだね」とぼやいた。
仕方がないので、パソコンを立ち上げ、常木美也子の店がある城ヶ崎海岸駅周辺のネット地図を見ていた。
「この辺には、絶対何かあると思うんだよね」
山本道代は、そう独り言を言いながら地図をクリックし、何かを感じ取ろうとしていた。城ヶ崎海岸付近をあちこち検索して、気になったのは、ヨットハーバーの城ケ崎マリーナと富戸港と城ヶ崎灯台だった。この三か所で絶対何かあったはずだと思い、瞑想してみたが、ぼんやりとした映像しか浮かんでこない。
「やっぱり、唐吉と話しながらじゃないとダメか……」
山本道代は、残念そうに呟いた。




