第六話 13
新宅正司と神崎美波は、山本道代の車にココを乗せ、蛯原莉子にココを返すために、二人で東京に向かった。二人が東京へ向かった後、僕は、常木美也子に話を聞くため、山本道代とみやこ食堂を訪れた。時刻は既に、午後五時を過ぎていて、後一時間もすれば、再び店が混雑する時間に差しかかろうとしていた。
みやこ食堂の暖簾をくぐると、常木美也子が笑顔で僕達を迎えてくれた。まだ、夕食には少し早い時間で、店にはほとんど客がいなかった。彼女は、「夕飯がいいかい? それともコーヒーがいいかい?」と訊き、僕達二人は揃って「コーヒーで」と答えた。
「それで、どういうご相談なんですか?」
山本道代が口を開いた。
「あのね、ほんとにアタシ、困っててね、実は旦那を捜してるんだよ」
「え?」
「一年前から家に帰って来なくなったんだよ」
「そうなんですか……」
「アタシを殴る蹴るして、警察に逮捕してくれと頼んではいるんだけど、埒が明かないから捜して欲しいんだよ。あちこちで借金しては、請求書だけこっちによこしやがって、ほんとに卑怯なヤツなんだよ。もう絶対許さない。捕まえてケリを付けたいと思ってる。だから、見付けて警察に突き出して欲しいんだよ。お金は幾らでも払うからさ。人捜しは、アンタたちの十八番だろ? 犬を捜せたんだから、人間だったら簡単だろ?」
そう言われて、僕は呆然とし、ただただ沈黙していたが、山本道代は「わかりました! お引き受けします!」と元気良く笑顔で答えた。
僕は、驚き、思わず山本道代の横顔を凝視していた。




