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第六話 1
その日は、朝から不穏な空気が流れていた。その原因は、僕一人にあった。家中のみんなを不快にさせていることは分かっていたが、それでもそんな自分を抑えられなかった。
「森山さん、助手席に父が乗った車を母が運転していた時に事故に遭ったから、父は寝たきりになったんですか?」
朝食を給仕してくれていた森山の手が止まった。森山は、答えるのを躊躇っている。
すると、祖父の米澤唐左衛門が、「そうだ」と冷たく言い放った。
「そうですか。それをあなたもはる子お祖母さんも恨みに思ってたんでしょうね。だから、母さんが好きだった庭の桜の木を切り倒したんですか?」
僕がそう言ったのに、祖父は何も答えなかった。
僕は、祖父を睨みつけると、朝食の途中で席を立った。




