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第五話 13
香月由美が帰った後、僕は、一人で窓辺に佇み、空を見上げていた。外はもうすでに真っ暗だった。北極星が見えることを期待したのに、空には何も浮かんでいなかった。
僕は、真っ暗な夜空を眺め、「祖母はもう亡くなっているんだ。彼女が母に何をしたのか、もう知ることはできない……」と独り言を言った。
すると次の瞬間、平林真奈美が突然目の前に現れ、ずかずかと事務所の奥の戸棚に向かって歩き、戸棚の扉をガラッと開けると、僕が隠し持っていた団子を桜の花びらの形をした皿に乗せ、「ほら、遠慮せずにお食べ」とほうじ茶と一緒に出してくれた。
「なんで僕の気持ちが分かるんですか?」
「そんなの、顔を見てりゃ分かるよ。あんたは、団子を食べてると心が休まるんだろ?」
「すみません、ありがとうございます」
「いいってことよ」
そう言うと、平林真奈美は去って行った。
第六話へ続く




