表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
米澤唐吉調査事務所  作者: 早瀬 薫
10/126

第一話 10

 その後の僕の人生は、悲惨だった。山本道代と付き合う以前よりも、女嫌いが加速していた。女などこの世からいなくなればいいと思い始めていた。女がいるから、余計なトラブルが増えるんじゃないか、いなけりゃもっと世の中は平和なはずと信じて疑わなかった。

 イラつくことはまだあった。最近ではあまり気にならなくなっていた加賀美佐助の妨害に、終始悩まされるようになっていた。彼は僕の発表するリポートに、重箱の隅を楊枝でつつくように、毎回難癖を付けた。加賀美佐助と同じく法科に所属する山本道代とは、受講中に何度も顔を合わせたが、お互い素知らぬふりをした。そんな味気ない大学生活を送っていたにも関わらず、いや、味気ない大学生活だったからこそなのかもしれないが、僕達三人は、大学三年生で、見事三人とも司法試験予備試験に合格し、その後の司法試験にも難なく三人とも合格した。

 三人ともこのまま同じ道を歩むのかと思われたが、僕と山本道代は検察官を目指し、加賀美佐助は裁判官を目指した。加賀美佐助は、司法修習を受けている間も、執拗に僕に嫌がらせを続け、修習期間が終わる頃には、「何故、お前は裁判官を目指さないんだ? お前なら絶対裁判官を選ぶと思っていたのに!」と叫んだ。その彼の言葉を聞いて、彼によってもたらされた悪夢は、やっと終りを告げるのだ、と僕はほっとしていた。

 それから、二十年の歳月が流れた。僕は、相変わらずの日々を送っていたが、つい先日、漸く決心し、長年務めた検察官を退職した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ