9, 僕が出来る事
ご愛読ありがとうございます。平日は0~2話ぐらいのリリースを予定しています。遅筆スミマセンm(__)m
転校生の陽菜穂さんを職員室まで連れて行った後は、ホームルーム前の喧騒な教室で、僕は机に伏せって早くも熟睡体制に突入していた。久しぶりの徹夜で、激しい眠りへの誘惑に既に白旗を僕は上げていた。
「八雲君、もうすぐ先生来るよ」
僕の斜め前方の席に座る楓さんが僕の眠りを妨げてくる。チラリとそちらを伺うが、僕はボッチフィールドを全開にして腕枕に身を委ねた。
教室の扉が開き先生が入ってきたようだね……。まっ、いいか。腕枕気持ちいい~。
担任の篠原先生は、多分二十代の美人先生だ。綺麗な声が僕の耳に届いたのは転校生の案内があったからだ。
「転校生の菱川 陽菜穂さんです。席は二列目の後ろのせ……、片山君!片山君起きなさい!」
僕はぬへ~と頭をあげる。陽菜穂さんは同じクラスになれたんだ。ホッと一安心。
「菱川さんの席は、一番後ろで朝から寝てる片山君の隣の席になります。時村さん、菱川さんの事、宜しくお願いします」
陽菜穂さんの席は、僕の隣、楓さんの後ろとなった。
俯きながら席に向かって歩く陽菜穂さんをクラスメイトが見ているが、陽菜穂さんは無事に席までたどり着く。
黒縁メガネに三つ編みオサゲの地味子スタイルの陽菜穂さんに、周囲の反応は薄い。特に盛り上がる男の子もいなかった。
「(ぼそっ)同じクラスになれたね」
「(ぼそっ)うん」
陽菜穂さんが席に着くと早速、楓さんが後ろを向いて挨拶をしている。
「菱川さん、宜しくね」
「は……はい……」
僕と逆隣の女の子も陽菜穂さんに声をかけている。名前は…………なんだっけ?一年の時も同じクラスだった気がする……。楓さんとは仲が良くて……、よくだって、だってって言う子?『だって子』さんだっけ?
因みにだって子さんは肩までのショートカットで瞳はややつり目だけど整った顔立ちの綺麗な女の子だ。
僕は超ねむねむモードのまま一限目が始まり、半目半寝で気怠るけに頬杖を付きながら何とか乗り気った。
八雲流ボッチ道は必要最低限の情報を見聞きする事を生業としてる。だから半寝状態でも必要最低限の授業内容は見聞きし、ノートもとっている。僕って器用だよね!
業間休みでは陽菜穂さんの周りに女の子が数人集まっている。大丈夫かな?
二限目が始まり僕は陽菜穂さんの様子を伺うと顔色が少し悪く、負のオーラを感じる。このままだと午前中は持たないなと思い、さてどうしたものかと半寝状態で思案していて二限目が終わった。
「陽菜穂さん、楓さん、ちょっといいかな?」
少し元気がない陽菜穂さんはコクって頷き、楓さんは……。
ん?
目をまん丸くしているよ?
「や、八雲君から声をかけられた……」
楓さん、僕だって声をかける事も有りますよ。昨日だって5年ぶりぐらいでウェイトレスのお姉さんに声かけましたよ?
僕は陽菜穂さんと楓さんを連れて教室から職員室へと向かった。
◆
僕は職員室に入ると担任の篠原先生のところ迄行った。
「篠原先生」
「!#※♭§!!!」
篠原先生は相変わらず僕の顔を見てビックリしている。
「か、片山君!先生の背後に気配消して立つのは禁止って言ったよね!」
「あれ?今のも気が付きませんでした?」
「全く気が付かなかたったわよ!やめてよ!心臓止まるわよ!……えっと……で、どうしたの?」
篠原先生は僕の後ろに陽菜穂さんと楓さんがいる事に気が付き真面目な顔付きになった?
「先生と楓さんに相談したい事がありして」
◆
場所を指導室に移し、篠原先生と向かい合わせで僕ら三人は着座している。
因みに三限目の体育は遅刻する事を篠原先生が担当先生に連絡してある。ラッキー!
「ちょっと陽菜穂さんの事で相談がありまして……」
「陽菜穂さん……? あ、ああ、菱川さんの事ね(ニコニコ)」
「ん?先生?なぜニコニコしているんですか?」
「片山君が先生に相談って初めてよね。それに片山君が他のお友達を名前で呼ぶのは時村さん以外で初めて聞いたから(ニコニコ)」
「そうですか?」
「他に名前で呼んでる子いる?」
「う~ん……、食パン君? だって子さん?」
「「誰よ其れッ!!?」」
楓さんからも突っ込まれたよ?
「で、どうしたの?」
「先生と楓さんに陽菜穂さんのフォローをお願いしたいのですが」
「なるほどね(ニコニコ)」
篠原先生は納得顔だ。少なからず陽菜穂さんの事は聞いているのだろう。しかし何故かニコニコ顔継続中です?
「八雲君、どういう事?」
楓さんは『?』顔で聞いてきたが、先生から説明が入った。
「片山君は菱川さんの対人恐怖症を心配してるのね」
陽菜穂さんは俯いて聞いている。
「対人恐怖症ですか?」
楓さんは相変わらずの『?』顔で聞いてくる。
「菱川さんの事は、理事長から話を聞いているわ。だから席順も無害な片山君の隣で、前に時村さん、逆隣に月岡さんにしていたの」
月岡さんって誰?
「ンフフ~♪ でも片山君から相談くるとは意外だったな~(ニコニコ)」
「先生、菱川さんは……?」
「時村さんには、ちゃんと説明しておいた方が良さそうだけど……、菱川さん、いいかな?」
陽菜穂さんは俯いたままコクりと頷いた。助かります。
流石にクラスで僕一人ではフォロー出来ない。特に女の子間のコミュニケーションは失敗するとヤバいらしい事が、多くのラノベ小説が語っている。
「月岡さんにも聞いてもらった方がいいかな。時村さん、月岡さんを呼んで来てちょうだい」
「は、はい」
「あの~、月岡さんって誰ですか?」
「「ハぁ~」」
僕の問いに先生と楓さんがため息ついたよ?
「八雲君、菱川さんのお隣に座っている女の子だよ」
お隣の女の子?
「あ、ああ、だって子さんの事か!だって子さんって言ってくれないと分からないよ?」
「「だって子さんじゃ私達が分かりませんッ!!!」」
何故か怒られたよ?
ふと陽菜穂さんを見ると俯いたままだけどクスクス小さく笑っていた?
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