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5, 夜景を見ながら

「うわ~♪ 凄い夜景が綺麗です~」


 陽菜穂さんは最上階のレストランで窓際の席に座ると、窓の外に見える街の夜景に喜んでいた。


「ホントだ!凄い綺麗だ!」


 まさかボッチの僕が女の子を連れて、こんなお洒落なレストランに来る事になろうとは、今日の学校帰りにはまったく全然これっぽっちも予想だにしない事態となっていた?


 そしてテーブルの向こうには綺麗な夜景さえもくすんでしまう超絶美少女天使が座っている。


 こ、此れがリア充というものなのか!


 リア充死ね!って考えてたさっき迄の僕!全国一千万のリア充に謝るんだ!リア充最高!ヒャッホー!!!


 しかし……リア充はお金がかかるという事も分かった。ディナーセット、丸が一個多いよ(涙)。


 しかし天使のあの微笑みはプライスレスだ。天使様とのディナーなんてボッチの僕には一生に一度のイベントかもしれないから、うん、良しとしよう!!!


「八雲君?あの……」


「ん?」


「そんなに見つめないで下さい……」


「ご、ごめん。陽菜穂さんが余りにも可愛いかったから……」


「……(ポッ)」


「……(ポッ)」


 僕と陽菜穂さんが二人して顔を紅潮させてモジモジしていたら、コースのサラダとスープが運ばれてきた。




「久しぶりにサラダ食べたな」


「えっ? 八雲君は普段は何を食べているの?」


「だいたいがスーパーのお弁当かな?」


「そ、それってお野菜はちゃんと入っているんですか?」


「ん~、一口ぐらいは入っているかな?」


「お昼ご飯は?」


「購買のパンだよ。うちの学校は学食とか無いからね」


「お、お野菜はいつ食べてるの?」


「朝に野菜ジュース飲んでるよ?」


「…………」


「…………?」


「えへへ~(ニコニコ)」


「?」


「せっかくお隣に引っ越すんです」


「うん?」


「私、通い妻になります!」


 僕はラノベが好きだ。ネット小説も好きだ。だから恋愛小説も沢山読んでいる。


 勿論『お隣さんの美少女が』的な小説も大好きだ。


 どうやら僕にも順番が回って来たらしい?


 僕のターン。カードドロー!

 天使のカードゲット。

 スキル『降臨』でお隣の部屋に天使が降臨する!


 タイトルは『ボッチな僕と天使なお隣さんのヤンデレ生活』でいいかな?テヘ。


 だから僕は素直に言えた。


「宜しくお願いします (ポッ)」


 ◆


 流石に丸が一個多いディナーだ!メインのお肉とデザートはビックリするぐらい旨かった!のではないかと思うよ?後で陽菜穂さんに聞いてみよう。


 何しろ僕の正面には天使が座っていて、その可憐な佇まいに加えて、優雅に食事をする姿はまさに生ける芸術だった!


 メインのお肉も美味しそうなデザートも、目の前の生ける芸術的美少女天使には勝つことが出来なかった。


 だが僕は敢えて言おう!今日の食事は人生で一番美味しい食事であったと!




 僕らのテーブルには食器類は片され、食後のコーヒーが置かれている。


 勇気を出せ!勇気を出すんだ八雲!


 今ここで必要なのはボッチ道では無かった。僕に必要だったのは隣りの席で楽しそうに食事をしているリア充バカップルパワーだった。


 や、やれるのか!


 チッ!もう来やがった!


 やれ!やるんだ片山八雲!


「す、すみません……」


 僕は近くを通ったウェイトレスのお姉さんに声をかけた。


「写真お願い出来ますか?」


 うぉーッ!出来た!出来たよ母さん!五年ぶりぐらいに自分から人に声かけちゃったよ!




 僕は陽菜穂さんの隣りの席に移動した。


「ありがとう、八雲君。……写真…嬉しい……」


「う、うん」


 すると陽菜穂さんは掛けていた伊達メガネをそっと外す。


 スマホを持ってスタンバってたウェイトレスのお姉さんがピキッと止まった?


 隣りの席のリア充男もフォークでお肉を口に入れる直前でピキッと止まった?


 隣りの席のリア充男の後ろの席のリア充男もピキッと止まった?


 天使様の突然の降臨で辺りの時間が止まってしまったようだ。


「大丈夫なの、陽菜穂さん?」


「うん!大丈夫 (ニコ)」


 はうッ!(ドキドキばくばく)


 ニコッと微笑む天使様。僕の時間も危うく止まりそうになってしまった!


「で、では写真お願いします(汗)」


 僕の声でウェイトレスのお姉さんの時間が動き出す。陽菜穂さんは椅子を僕の方に少し寄せ、僕に少し寄り添ってきたよ?どひゃ~!


 パシャ


 一生の宝物が出来ました (ムフ)。



 しかしここで周囲の視線が集まっている事に気がついた。陽菜穂さんも少し顔色が悪い……。


「陽菜穂さん、時間も遅いしそろそろ帰ろうか」


 陽菜穂さんの手を取り


「陽菜穂さん、また僕の手だけを見ててね」


「……はい (ポッ)」


 お会計は困った時だけ使用してよいクレジットカードで済ませて、なんとかレストランを脱出し、エレベーターの踊り場まで来れた。


 人が来る気配もないので、少しだけボッチパワーをチャージする。陽菜穂さんを軽く抱き寄せ道訓を唱える。


「我が心は陰の如く。我が身は空の如し。其が心陽成るも、其が身は空と同じ。我が心は陰の如く。我が身は空の如し。其が心陽成るも、其が身は空と同じ…………」



 ◆◇◆◇◆

【ちょっとだけ陽菜穂視点】


 八雲君が連れてきてくれた夜景の見える素敵なレストラン。何処の席も大人のカップルだらけ。私達もカップルに見えてるかな?見えてるよね♪ (えへへ)


 美味しい! 凄く美味しい! お料理の味は緊張していていまいち分からなかったけど。

 だって私の前には憧れの八雲君がいて一緒にお食事をしているんだもん。それだけで幸せ。それだけでお食事が凄く美味しくなる。


 誰かと一緒にお食事するのも久しぶりだな……。嬉しい……。嬉しいよ八雲君 (ポッ)。


 食後に八雲君がお店の人に写真をお願いしてくれた。

 憧れの八雲君との初デート記念写真。萌えます!(ムフ)


 だから私はメガネを外した。一生に一回しかない初デートの記念写真だから。


 メガネを外した瞬間から感じる周りの視線……。大丈夫。大丈夫。大丈夫だから頑張れ私!


「大丈夫なの、陽菜穂さん?」


 八雲君が心配してくれる。嬉しいよ。


「うん!大丈夫 (ニコ)」


 写真は取り終えたけど……、周りの視線が私を苦しめる。少し目眩がして気持ち悪い……。楽しい筈なのに……、凄く楽しい筈なのに……。


 やだ、やだよ~、こんな時に倒れたり、嘔吐とかしたら、八雲君に嫌われる……。絶対やだよ~(涙)。


「陽菜穂さん、時間も遅いしそろそろ帰ろうか」


 八雲君が席を立つと私の手を握ってくれた。


「陽菜穂さん、また僕の手だけを見ててね」


 あっ……。八雲君……。


「……はい (ポッ)」


 優しいよ~、八雲君は私を見ててくれた……。私が恐くならないように手を差し伸べてくれた。


 私は私の手を握ってくれる八雲君の手だけを見てお店を出た。


 エレベーターホールに来たら八雲君が私を抱き寄せたよ?えっ?えっ?


 八雲君は八雲流ボッチ道道訓を唱えている。私にパワーを注入してくれているんだね(ポッ)。


「ありがとう…… (ポッ)」


 私はそう言って、私も八雲君を抱きしめた……。



 ◆◇◆◇◆


「我が心は陰の如く。我が身は空の如し。其が心陽成るも、其が身は空と……!なっ!くッ!ま、負けない……うひょ~!…煩悩退散、六根清浄、煩悩退散、六根清浄……」


 エレベーターの踊り場で陽菜穂さんを軽く抱き寄せ道訓を唱えていた僕に強敵が現れた!


 僕が陽菜穂さんを軽く抱き寄せたのには恥ずかしいってのも有るが、更に半歩踏み込んだ場合、陽菜穂さんの危険ゾーンに侵入してしまうためだからだ!


 しかし陽菜穂さんから半歩踏み込み、僕を抱きしめているよ?


 なッ!僕の魂いが楽園ヘブンにパラダイブしてしまう!


 くッ!陽菜穂さんのデンジャラスゾーンは想像以上の破壊力だ!二つの小山が躊躇なく僕をプッシュプッシュしている!


 集~中~!!!


 …………無理でした。気持ち良すぎます。


 僕は回避スキルを使って陽菜穂さんから離脱に成功した!ヤバい!激ヤバいよ陽菜穂さん (ポッ)。


 そうして陽菜穂さんにボッチパワーを注入した後に、僕らは帰路についた。






面白いとか続きが気になると感じて頂けた方

&もう少しお付き合いして頂ける方、ブックマークや評価ポイントお願いします。


感想も頂けると嬉しいです。


宜しくお願いします~(//∇//)


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