2, 天使ですか?
玄関にはシャワーで濡れた長い髪の毛の女の子が立っていた。小さな顔に、二重瞼の大きくて可愛い瞳、整った鼻に、薄いピンクの小さな口は優しい笑みを浮かべている。
白いブラウスに水色のフレアースカートがびっくりするぐらいに似合っていて、身丈は150㎝ぐらいの超絶可愛い女の子。
「天使ですか?」
「アハハ、面白いですね八雲君は」
「どなた?」
「陽菜穂、菱川陽菜穂です」
「…………? クラスメイト?」
「違うよ(ニコニコ)」
「中学校の友達?」
「違うよ(ニコニコ)」
「小学校?」
「ううん(ニコニコ)」
「幼稚園?」
「ううん(ニコニコ)」
「……じゃあどこ?」(マジどこ!)
「ユーチーブだよ(ニコニコ)」
「はい?」
「ユーチーブの八雲君、素敵すぎですよね~」
ユーチーブか~。流石に分からないよね~。
って初対面じゃん!
しかし僕がユーチーブに出ているのは去年のいじめシンポジウムで発表している映像ぐらいのはずだが……。
「いじめシンポジウムの?」
「うんうん(ニコニコ)」
あの時僕は壇上で、中学時代のいじめ体験と克服に至る内容を発表していた。あれが素敵か?
「じゃあ、会うのは初めて?」
「八雲君に会いたくて東京から引っ越して来ましたぁ」
元気に右手を上げる陽菜穂さん?
ストーカーなの? 追っかけなの? ヤンデレ?
「さぁさぁ、こんな所ではなんですから、どうぞどうぞ上がって下さい」
「は、はい」
僕は陽菜穂さんに進められ部屋に上がって行った。だって僕の部屋だもん?
一先ずダイニングのテーブルで向かい合わせでクッションに座る僕と陽菜穂さん?
ニコニコしている陽菜穂さんは超絶美少女天使だ。僕の心臓はさっきからドキドキが止まらない。
「ひ、陽菜穂さんは何で僕の部屋にいたの?」
「鍵が空いてたから(ニコニコ)」
「そっか、鍵が壊れてたからね」
違うよね?
「いやいや、それでも入っちゃ駄目だよね?」
「無用心だから八雲君が帰って来る迄お留守番してました(ニコニコ)」
「あっ、そっか~。ありがとう」
「どういたしまして~(ニコニコ)」
………………。
何か違うと思う人は手を上げて下さ~い。はーい。僕違うと思いまーす。
「で、でもなんか不可思議くないかな?」
「ホントはお隣に引っ越して来たんだけど、お部屋の明け渡しは今後の日曜日なんだって(ニコニコ)」
「そ、そうなんだ」
「うん。だから日曜日までは八雲君のお部屋でお世話になるんだ~。えへへ」
「へぇ~~~……。えーーーーッ!」
えっ、えっ、誰が決めたの?いつ決めたの?
「ひ、陽菜穂さん? 流石にそれは不味くないですか?」
「何でですか?」
『?』顔で首をコテンって傾げる陽菜穂さんも芸術的に可愛いすぎるゥ!
「だ、だってさ、今さっき会ったばかりの男の人の家に泊まるって…………どうなの?」
「大丈夫ですよ。だって私達は高校卒業したら結婚するんですよ? す、少しは、は、恥ずかしいけど……、や、八雲君となら…………、ネッ(ポッ)」
………………。
ヤンデレだよ!
生ヤンデレだよ!
人生初めて見たよ生ヤンデレ!
僕の知らない所で僕達は結婚の約束をしていたみたいだよ!
「で、でもさ、僕達出会ったばかりだよね?」
「わ、私は八雲君のユーチーブ、何回も何回も、それはもう何回も見ました!私の憧れの人なんです!恋に時間も距離も関係ありません!……だから……」
マジですか?陽菜穂さんの中の僕はそんなに凄い人なんですか?
「だから結婚して下さい!」
翔んだ!
僕の魂いは元気よく大空に羽ばたいて行きました。さようなら僕の魂い、来世で会おう!
僕が魂いが抜けたのか如く呆けていると、陽菜穂さんは僕の手を取り、陽菜穂さんの小指と僕の小指を絡ませてきた。
「ほら、赤い糸がこんなに絡まって、もう解けないね(ポッ)」
僕は僕の小指に絡まる陽菜穂さんの細くて柔らかくて可愛い小指を見ていたら、何だかホントに赤い糸が有るように見えてきた(ポッ)。
「でも、お風呂は恥ずかしいから覗かないで下さいね(ポッ)」
「は、はい(ポッ)」
こうして僕達はなし崩し的に日曜日迄の共同生活を送る事になってしまった。
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