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第5話「刺客」

第5話になります!

拙い文章ですがよろしくお願いします( ^ω^ )

宿を見つけて一泊。

宿泊代は500ソーロだった。


翌日早朝さっそく馬車乗り場へ行き、馬車に乗る。

行先はエルザート王国の王都“ラフィリム”。

王都へは馬車で3日かかる距離らしい。

その間一緒に乗っている人間たちと共に過ごさなければならない。


---

------

----------


感情を抑えながら3日間耐え、ついにラフィリムへ到着した。



さすが王都。

カリオンとは比べ物にならないほど大きく、人も行き交っている。

円状に高い外壁が建ち並んでおり、王都の中心部にある大きな城が王城。

その周りにあるのが城下町だ。


馬車を降りて城下町を歩く。

歩いていると人間の他にもエルフ、ドワーフといった種族もいることが確認できた。


信次はさっそく王立図書館へ向かった。

カリオンの街とは違い、街中の至る所に立て看板があり、図書館どこにあるのか一目で分かる。

信次は看板が指す方向へ足を進め、暫く歩くと到着。


王立図書館の外観に圧倒。

想像していたよりも建物は大きく、立派だった。


まるで神殿のような雰囲気の建物・・。

これが王立図書館か・・。


中に入ろうと入口付近まで近づいた時、信次は気付く。

入口付近で人の列ができていた。


どうも中に入る為には入館証的な物が必要らしい。

勿論入館証なんて持っていない。

どこかで貰えるのか?


情報を集める為、一度酒場に向かった。


酒場は昼間っからでもとても活気に溢れていた。

本当にうるさい。人間が多くいて気持ち悪くなる。

そこは我慢して情報を集める。



「なあ、図書館に入るためには何が必要なんだ?」


「なんだあんた、王国出身じゃないのかい?」


「ああ。」


「王国出身なら“国民手形”を見せれば入れるよ。それ以外は入館証を発行する必要があるね。」


「その入館証はどこで手に入る?」


「図書館近くにある発行所にいけば作ってもらえる。ただ、発行するには色々審査あるみたいだぜ。」


「どういう審査だ?」


「さぁ?俺は国民だから必要ないからわからないね。」



他の人間にも聞いてみた。



「入館証の発行には審査があるみたいだが、どんな審査があるかわかるか?」


「審査なんて知るか!それより一緒に呑もうぜ~!!」



別の人間に聞いてみた。



「入館証の審査?・・ああ、あれは身体検査を行うのさ。」


「身体検査?」


「そう。ただの身体検査じゃないよ?そいつに悪い経歴があるかないか、人間に化けた魔物かどうかまで分かっちまうらしい。」


「どうやったらそんなのわかるんだ?」


「なんでもそういう固有魔法の使い手が検査してるらしいよ。」



そいつは厄介だ。

そんな魔法を使用できる奴がいるのか。

俺が行ったら魔人とバレるかもしれない。

発行所に行くのは止めた方がいいな。

別の方法を考えるとするか。


酒場を出て図書館に入る方法を考える。

長い時間考えたが、魔法を使用するしかないか。

影潜伏シャドーダイブ”を使えば他の入館者の影に潜って入ることが可能だ。

ただ、問題なのが図書館に魔法探知の結界があるかどうかだ。


ユリウスが言っていた。

「魔力を探知する結界が張られてた場合、即バレますぞ」と。


ここにあるのは王立図書館っていうデカい建物。

魔法探知の結界が張られても不思議じゃない。

もう少し様子を見るか・・・。



◇◆◇◆◇◆◇◆



-- 王都ラフィリム西地区 --



「くんくんくん・・・くんくんくん・・・。」


「どうだ?臭うか?」


「臭うね~。魔物臭がプンプンするよ~。」


「方角は?」


「あっちの方!」


「中央区の図書館の辺りか。・・・行くぞ。」


「あいあいさー!」



◇◆◇◆◇◆◇◆



さて、どうするか・・・。

もう他の入館者から入館証を奪えばいいのではないか?

でもその入館証に身分を証明する事が書いてあったらダメだ。


図書館近くのベンチに座り考えていた。

その時、



「!!!」



上からナイフが勢いよく数本投げつけられた。

気付いて咄嗟に躱したが、何が起きたのかわからない。

上を見ると建物の上に2人の人間が立っていた。



「ごめ〜ん!上手く躱されちった~。」


「気にするな。ただの牽制だ。」



なんだこいつらは?

猫耳の女にロン毛の男。

2人とも白いコートを羽織っている。

明らか俺に向かってナイフを投げてきた。

・・・魔人ってバレたのか?



「人間に化けた魔物よ。上手く王都に入り込んだようだが・・・貴様を排除する。」


「排除しちゃうよ〜!」



魔人ではなく、魔物だと思っているらしい。

だけどまだ魔法も使ってないし、痕跡も残してないはず・・・。

なんでバレた??



「貴様がどこへ逃げようが無駄だ。アリアが持つ嗅覚には魔物の臭いを見分けることが出来る。」


「へへーん!どうだ〜、凄いでしょ〜?」



あの猫耳女のせいか。

もうバレてるならしょうがない・・か・・。



「“魔法の弾丸(マジックバレット)”。」



信次は猫耳女めがけて放つ。



「うわっ!!・・・あぶな〜!」



猫耳女アリアは間一髪回避する。



「・・牽制だよ。」


「むきぃ~!あいつマーキュの真似した~!!」



信次はもう一発魔法の弾丸(マジックバレット)を放つ。

しかしアリアは再度間一髪躱す。


躱されたか。

・・だが、態勢は崩した。


信次は連続して魔法を発動。



「“散弾の雨(バレットレイン)”!」



散弾の雨(バレットレイン)魔法の弾丸(マジックバレット)を散弾銃のように一度に何発も放つ魔法だ。



「げげっ!!」


「“風の盾(ウインドシールド)”!」



風の盾がアリアの前に出現し散弾を防ぐ。



「マーキュありがと〜。」


「この魔物、魔法をある程度は使用できるらしい。しかも希少の闇属性か・・・。アリア、気を引き締めてかかるぞ。」


「あいあいさー!」



「なんだなんだ!?」


「戦い!?なにが起きてるんだ!?」


「逃げろーー!!巻き込まれるぞー!!」



今までの戦いで周りが大騒ぎになっている。

応援が駆けつけるのも時間の問題か。

・・・せっかく王都まで来て魔法書を探しに来たのに邪魔しやがって。



「アリア、私が前に出るので援護を頼む。」


「あいよー!」



男がそう言うと剣を抜き、一直線に向かって来た。



「はっ!」



男が剣を縦横斜めと振るが、信次は全て躱す。



「“地面の拘束(グラウンドバインド)”!」



アリアが土属性魔法を発動。

足元の地面が変形し信次の足を拘束する。



「“火の弓矢(ファイアアロー)”!」



すかさずアリアが後方から火属性魔法を放つ。

だが、魔法は使わず力だけで拘束を破り、火の弓矢も難なく躱す。



「うそん!?」



躱したところを狙ってすかさず男が切りかかってくる。

しかし動きは読んでるのでこれも躱す。



「何っ!?」



人差し指を男の顔に向け、魔法の弾丸(マジックバレット)を放つ。

だが、男は咄嗟に顔をずらして間一髪で避ける。

しかし、完全に避けることは出来ず被弾。

男は後ろに下がる。

男の顔から血が垂れていた。



「マーキュ!!」


「はぁ、はぁ・・、こいつはただの魔物ではない。」



この2人・・人間にしては動きは早い。

俺のいた世界だったらこいつらは化け物だな・・。

異世界だとここまで人間のスペックって違うものなのか。

・・・でも、



「どうすんの?まだやる?」


「なに?」


「・・・正直、あんたたちじゃ俺は倒せないと思うけど。」



鍛錬で魔物100匹を同時に相手した事もあったから2人相手は楽勝だった。

実際、この2人に関してどの程度の力量があるのかは察しがついた。

正直、今すぐ殺せるレベル。



「魔物が目の前にいて、引く事は許されん。民の安全を守るのが我ら王都護衛団の務め。」



王都護衛団?

警備隊みたいなものか?



「・・・あっそ。俺には関係ないや。」



信次は後方にいるアリアに向けて魔法の弾丸(マジックバレット)を放つ。

今回の魔力出力は最初に放ったのとは比べ物にならない程だ。



「えっ・・?」


「!!」



魔法の弾丸は一瞬にしてアリアの腹部を貫く。

ぽっかり穴が空いた箇所から血が溢れ出る。

そしてアリアはそのまま倒れた。



「アリア!!・・貴様っ!!」



マーキュが剣を振ろうとしたので剣を持っている腕を目にも止まらぬ速さで切断。



「がはっ!!ああぁぁぁ!!」



マーキュは痛みで叫ぶ。

トドメをさそうとしたが、



「マーキュ殿ーーー!!アリア殿ーーー!!」



応援が駆けつけてしまった。

全て相手にするのは面倒臭いのでこの場を離れる判断をして離脱。



「ま、待てーー!!追え!追えーー!!」



応援に駆けつけた護衛団が追うも信次の速さに追いつけるはずがなく、一瞬にして見失った。



「マーキュ殿!!大丈夫ですか!?」


「わ、私よりアリアの方を優先して治療を頼む・・。アリアの探知能力は無くてはならないものだ・・。」


「はっ!」



治療を施すべくアリアのもとへ衛兵が向かう。

マーキュも腕が切断されて重傷であり、すぐ治療が必要である。



「・・中位以上のポーションはあるか?」


「申し訳ございません・・。只今、中位以上のポーションを持つ者はおらず・・・。」


「くっ、まずは止血しなければ・・・。」


「僕が治療するよ。」



マーキュのもとへ1人の男が現れた。



「エルキオット!いい所に来てくれた。まずアリアの方を頼む。」


「大丈夫、大丈夫。アリアの方はメルキが見てる。止血するからじっとしてね。」



治癒魔法をかけ、マーキュの止血が完了した。



「すまない。助かった。」


「マーキュがこんなあっさりやられるなんてびっくりだよ。相手の魔物はそんな強かったの?」


「・・・報告しなければ。あれはそこら辺の魔物のレベルではない。」



マーキュは立ち上がり、王城へ向かう。

一度後ろを振り向き、アリアが治療を受けているのを見て再度王城へ足を向ける。



◇◆◇◆◇◆◇◆


-- 王都ラフィリムから離れた郊外 --



信次は護衛団を撒いた後、一休みしていた。



「あのアリアって猫耳女の持つ鼻。あれは厄介だな。他にも同じ嗅覚を持つ奴がいたら又バレるな・・・。」



魔力は抑えていたのに臭いでバレるとか・・。

どうしようもなくないか?

顔バレしてるし、ここでの魔法書は諦めた方がいいのか?

・・何かいい方法は無いか?



◇◆◇◆◇◆◇◆


-- エルザート王国王城 会議室--


マーキュの緊急の呼び出しを受けて現状集められる各護衛団の団長・副団長、王直属近衛騎士団の副団長が王城内にある会議室に集まっていた。


〜呼び出し参加の面々〜

近衛騎士団・副団長:カリム

第一護衛団・団長:マーク

第三護衛団・団長:バルフォイ

第三護衛団・副団長:ギャン

第六護衛団・団長:ザッカー

第七護衛団・団長:プリズナ

第七護衛団・副団長:エルジオ

第九護衛団・副団長:メルキオット・エルキオット



「マーキュ!君とあろう者が片腕を無くすなんて!無残だ。」


「油断・・してたのか?」


「アリアちゃんもやられたっていうじゃな~い。何してんのよ。」


「至急の用ってなんだよ?俺は忙しいんだ。」


「皆様に緊急で集まってもらったこと感謝します。」


「んで?お前はどこのどいつに腕持っていかれたんだ?」


「はい・・。実は・・。」



マーキュは今回起きた件を全員に説明。



「貴方の剣とアリアちゃんの魔法のコンビの良さはよく知ってるわ。だけどそれでも軽くあしらわれたと?」


「はい・・。」


「普通の魔物1匹じゃこいつらは倒せない。だとすると上位の魔物か?」


「これは私の憶測なのですが、実際対峙してみて感じたのが、人間に化けた魔物・・・という感じはしませんでした。皆様の知っての通り、アリアの鼻は魔物を見分けます。しかし、私があの者の中から感じたものは魔物とは何か別の・・。人間であって人間ではないような・・そんな感じがしました。つまり・・」


「魔人・・か。」


「!!!」


「魔人!?おいおい、魔人ってのは数百年に1人生まれるかどうかだぞ?王都に現れたのが魔人だとすると世界で確認されてる魔人はこれで魔王含めて()()()ってことか!?」


「・・それは非常にマズイ状況ですな。既に東の大陸で魔人が暴れ回って国をいくつか滅ぼしたと聞いてます。」


「そんなのがこの国に居るとなると一大事だ。早く対策を考えねば。」



会議室がザワザワと騒がしくなる。



「「お前ら落ち着けー!!」」



一際大きい声で周りを静める。

静めたのは王直属近衛騎士団の副団長カリム。



「これは由々しき事態だ。だが、相手がまだ魔人と確定したわけではない。まずは私から王へ報告しに行く。そこから後程各部隊に伝令するので各部隊へ戻り暫し待て。」


「はっ!」


「では解散!」



集められたメンバーは解散し、各々所属する所へ戻って行った。



「おい、マーキュ。」


「エルジオか。」


「なあ、お前が感じたのは魔人ってのは本当か?」


「ああ、あれは別次元の存在だ。護衛団が束になっても勝てるかわからない。」


「マジかよ・・。となると、あれの出番って訳か。」


「・・・勇者か。」


「目には目を・・歯に歯を・・か。」



◇◆◇◆◇◆◇◆



-- エルザート王国王城 王の間 --


王直属近衛騎士団の副団長カリムは事の顛末を王と大臣たちに報告。

カリムの報告によって当然の如く王の間はざわつく。



「王よ、いかがなさいますか?」


「うーむ・・。王都に現れたのが魔人だとしたら厄介である・・・。副団長カリムよ、勇者を起こし、討伐向かわせよ。この国を仇なす悪は全て滅するのだ。」


「はっ。仰せのままに。」



カリムはそう言うと王の間から退室する。



「勇者を使うか・・。こればかりはあまり気が乗らないが・・・・致し方無い。」



◇◆◇◆◇◆◇◆



-- 王都ラフィリムから離れた郊外の森林 --


先ほど居た場所よりさらに離れたとこにある森林。

そこに信次は居た。



「ここなら魔法使っても大丈夫か。さすがに探知されないだろう。」



城を出る際、ユリウスから貰った物がいくつかあり、その中に通信機らしき物がある。

これは自身の魔力と相手の魔力を使用して遠く離れた場所からでも会話ができるという物。

つまり電話だ。なんでもテレパシーの魔法を応用して作られたとか。

とりあえずユリウスに電話してみる。



「・・はい、加藤信次様。ユリウスでございます。」



繋がった。

この電話は使用する魔力も微弱だから負担も少ない。



「今日エルザート王国の王都に行ったんだが。」


「おお、既に王都まで行っていらっしゃるとは。いやはや行動がお早いですな。」


「まあ、訳あって今は王都から離れてる。んで、ユリウスに聞きたいんだけど猫耳生えてる人族っているのか?」


「猫耳?・・ああ、亜人種の一種“猫耳(ミーア)族”ですな。身体能力に優れ、耳が発達しているので色んな音を聞き分けることができる種族と聞きます。」


「音?臭いではなく?」


「おそらく臭いを嗅ぎ分けるのはその者の特殊体質でしょう。」



なるほど。

じゃああの猫耳女と同じ能力を持っているやつは多くはいないということか。

だったらまだ王都に潜入できるな。



「加藤信次様。何か問題でも起こりましたか?」


「・・・いや、大丈夫だ。問題無い。」


「そうでございますか。お気をつけて下さいませ。それでは。」


「ああ。」



ユリウスとの通話を終え、もう一度王都に入ることに決めた。

ここまで来たならどうしても最高位魔法の手がかりが欲しい。

その為には王立図書館へ入り込む必要がある。

方法は何個か考えたので実践するのみ。



そうして信次は再度王都ラフィリムへ向かうのであった。

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