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第34話「追跡」

第34話になります!

拙い文章ですがよろしくお願いします(*'ω'*)

勇者ヴァーサスたちとの戦いに勝利した信次。

グロウたちと共に隻眼の鬼を追うべく街へ馬を借りに向かった。



「・・・・・。」


「・・・どうやら街にはまだ俺たちのことは知られてないらしいな。」


「そうね・・特に変わりないわ。」


「早く馬借りちゃおうよ。」



街に俺たちの情報が出回ってないところを見るとヴァーサスたちはまだ山で休んでいるということか。

まぁあれだけダメージを負わせたからな。

回復するにも時間がかかるか。



信次たちはさっそく馬を借り、街を後にした。

行先は隻眼の鬼と王子が向かっているというガルドニア帝国の国境。

モントビレの街から国境までは馬で3日程。

1日前に王子たちはモントビレを出発したので急げば間に合うかもしれない。

追いつくことを願い信次は馬を走らせる。



勇者との戦闘で大分時間喰っちまった・・・。

間に合えばいいんだが・・・。



「なあ、シージン。」


「なんだ?」


「どうして王子を追うんだ?理由を聞いてなかった。」


「・・・・最高位魔法に関する書物を持っている可能性があるからだ。」


「最高位魔法!?」


「ああ、俺は王子が本当に最高位魔法の書物を持っているのか確かめなければならない。」


「・・それは魔王の命令か?」


「命令っていうよりお使いだ。」


「お、お使い?」


「まあ、俺自身も前々から最高位魔法を求めてたという事もあるから引き受けた。」


「俺からしてみたら最高位魔法なんて恐ろしくて手を出そうとは思わないが・・・。」


「ねえ、どのくらい走るの~?」


「王子たちに追いつくまで。」


「ふひー。」



それから信次たちは馬を休ませるため休憩を挟み、また走りだす。

それを繰り返した。

そして・・・。



隻眼と王子を追跡して1日が経過。

信次たちはガルドニア帝国国境までを目指して山道を走る。

すると距離は遠いが、前方から砂煙が舞っているのを確認した。



「あれは・・・。」


「ありゃ前で馬が沢山走ってるな。」


「ということは?」


「行商人の馬車じゃあんな砂煙は立たねえ。かなり多くの馬が走ってる証拠だ。多くの馬を連れてるってことは・・要人と護衛やらを乗せてる馬が多いってことだな。」


「当たりだな。」


「それはまだわからねえが可能性はあるな。」



ガルドニア帝国国境までは残り僅か。

ついに信次は隻眼たちに追い付くことができた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


-- 信次たちの前方の馬車内 --


馬車内には隻眼の鬼とアビ王子が乗っていた。



「・・・・!」


「・・どうした?」


「後ろ・・・。」


「後ろがどうした?」


「・・・来てる。」


「来てる?何がだ?」


「数は1、2・・・全部で5。」


「なんだ敵か?」


「・・・そのようだ。どうする?」


「やってくれるか?」


「あいよ。」



隻眼は馬車の扉を開けて上に飛び乗る。

目を細めて後方から追ってくるものを確認。

そしてニヤリと不気味な笑みを浮かべた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



信次たちは王子たちを追う。



「シージン!結構距離が縮んできたなッ!」


「ああ。」



その時、信次は前方から嫌な雰囲気を感じた。

何かがこちらを見ている。

そして狙っている感じがした。



「・・・・!!」


「どうしたシージン?」


「お前たち!固まるな!バラバラになれッ!!」


「どうしたの?」


「早くッ!!」



次の瞬間前方からピカッと光り、レーザーのような放射物が飛んできた。

信次は咄嗟に魔法で盾を形成してレーザーを防ぐ。

だが、思ったより威力が高く、信次たちがいる一帯に衝撃が走る。



「きゃああああ!!」


「うわああああ!!」



衝撃によってリーネたちが馬から放り出された。



「お前たち大丈夫かッ!?」



グロウは何とか持ちこたえた。



「いててて・・・。」


「なんなのー!?」


「前からの攻撃だ。・・グロウ、俺が先に行く。グロウはリーネたちと一緒に居て後から来てくれ。」


「わかった。シージン、無茶はするなよ。」


「ああ。」



信次1人で先に前方に向かった。



いきなり攻撃を仕掛けてくるか・・・威嚇のつもりか?

・・・いや、思いっきり当てるつもりで狙ってきたから威嚇ではないな。

上等だよ。



「・・・・防がれたか。」


「やったのか?」



アビ王子が窓を開けて確認。



「・・・いや、防がれた。相手は結構やり手だぜ。」


「そうか、処理は任せるぞ。」



ヴァーサスたちとの戦闘から1日経ったお陰で魔力も少し回復した。

ここからは一気に距離を詰めてやる・・。


信次は馬から飛び降りて地面に着地したと同時に走りだす。

猛スピードでグングン王子たちが乗る馬車までの距離を縮める。



「1人こっちへ向かってる。・・速い。おい、お前たち戦闘準備だ。向かい討て。」


「はっ!」



王子が乗る馬車の周りを走っていた一部の護衛たちが後ろに向きを変える。



「邪魔だ。」



信次は散弾の雨(バレットレイン)を発動。

魔力弾の雨が護衛たちに降り注ぐ。



「ぐわああああああッ!!!」



護衛を一掃。

信次は駆け抜ける。



「ハハッ!やるな!」



ついに信次は馬車を近くで目視。

馬車の上に立つ人物を確認。



「長身で髪はボサボサ、赤の着物に・・・片目に眼帯。あいつが隻眼の鬼か。」


「どこのどいつかは知らんが明らかに敵意を持っている。そういう輩は・・・消す。」



隻眼の鬼が構える。

信次に向けていたのはバズーカ砲。



「バズーカ!?・・おいおい、この世界にバズーカなんてあったのかよ。そういう世界観じゃなかっただろうが。」



バズーカの発射口に段々と光が集まる。

そして勢いよく発射。


バズーカが地面に直撃し激しい衝撃と爆発が起こる。

だが信次はバズーカを見切って難無く躱していた。



「ハハッ!!この距離で躱すか!!」



隻眼はバズーカ砲にカードリッジの様な物をセット。

そして再度信次に向けて発射。



「その程度なら難無く躱せるぞ。」



信次は砲撃を再度躱す。



「王子!この先には()()があったよな~?向かってくれ!」



王子は馬車の中にいるのか・・。



「おい、あそこへ向かえ。」


「ははっ。」



王子は隻眼に言われた通りに馬車の進路を変更。



「どこへ行くつもりだ?ここで止める。」



信次は速度を上げようとしたが隻眼がバズーカ砲を連発。

隻眼は信次を狙っている訳ではなく信次の周りをランダムに砲撃。

さらにまだ馬車の周りに残っていた護衛たちが信次に向かって魔法を連発。

そのせいで下手に動けなくなってしまった。



「ちっ!足止めのためにバンバン適当に撃ってやがる。」



王子を乗せた馬車はそのまま進む。

すると山を下った先に演習場が広がっていた。



「到着だ。」


「ここは・・?」


「ここは我が国の演習場だ。」



馬車から王子が出てくる。

王子は栗色の長髪で常に人を見下しているかのような目つきの悪い人物。



「貴様は何者だ?何のために来た?」


「アンタが王子か。」


「私が狙いか?だとしたら不届き者は死罪は免れんぞ?」


「俺は別にアンタに興味は一ミリも無い。俺が追ってきた理由は只1つ。・・・最高位魔法の魔法書を貰いにきただけだ。」


「魔法書だと?・・・・ということは貴様、魔族か?」


「・・・ああ、魔王に言われて来たんだよ。」


「魔王サタン!?・・・くくく、はっはっは!まさか魔王の遣いが来るとはな・・。」


「で?魔法書を渡してくれるの?くれないの?」


「・・渡す訳がないだろう。こちらもやっと見つけたものだ。」


「見つけたっていうか奪ったものだろう。」


「そうだ。魔物が見つけてくれたお陰で楽に手に入れることができた。」


「うちの魔物たちをやってくれたのはアンタじゃないだろう?」


「勿論だ。私は一国の王子。魔物ごときに自分の手を汚す訳がない。処理をするのは私の護衛たちだ。」


「なあ、王子。もうコイツ殺っていいか?」


「好きにしろ。只、あまり時間はかけるなよ。」


「おい、お前たち。()()持ってこい。」


「はっ!」



隻眼の指示で数人の護衛たちがどこかへ走りだす。



「・・お前本当に魔物か?なぜ人間に化けてる?」



この世界の奴らって絶対最初に魔物が人間に化けてるって思うんだな。



「別に化けてない。」


「化けてない?・・・てことは・・ハハッ!お前!魔人か!!」


「魔人・・だと!?」



隻眼は嬉しそうな表情をしたが逆に王子は驚愕の表情を見せる。



「魔人を見るのは初めてだッ!!魔族でも最高位の存在!ハハッ!!」


「隻眼・・・結構イカれた奴だって聞いてたが、その通りだな。」


「俺は強い奴と殺り合うのが好きでたまらないんだよ!そこら辺の人間や魔物じゃ物足りないと思っていたところだったんだッ!!」


「ふう・・・とりあえず魔法書は返してもらうぞ。」


()()が来るまで楽しませてくれよッ!」



隻眼は2本の刀を抜いて構える。



「いくぜぃッ!!」



真正面から信次に突っ込む。

信次は闇魔法剣(ダークソード)を生成し隻眼に対応。

隻眼の二刀流による高速剣技が炸裂。

手数が多く、次から次へと相手が反撃する間を与えない。


・・だが、信次にとって隻眼の攻撃は特に問題は無かった。

勇者ヴァーサスと比べて圧倒的に遅いからだ。


信次は隻眼の全ての攻撃を難無く受けきる。



「!?」


「・・・・・。」


「さすが魔人ってところか・・・。俺の攻撃に対して全然動じん。」


「・・もういいか?あのさ、お前がどんなイカれた奴だったとしても魔法書を返してくれればいいだけなんだが。」


「ハハッ!おいおい、そんな寂しいこと言うなよ。これからが本番だぜ?」



隻眼は先ほどと同じように構える。



「“突風の刃(ガストスラッシュ)”!」



2本の刀をその場で振り抜く。

信次目掛けて剣先から風の刃が放たれる。


信次は飛んでくる刃を躱す。

しかし、次から次へと風の刃がどんどん飛んできた。



「ヒャッハァァァーーーーッ!!」



信次は飛んでくる刃を全て躱す。



「そんな連発してたら魔力がすぐ枯渇するぞ?」


「なんだ?気遣ってくれるのか?」



隻眼は懐からカプセル状の薬のようなものを取り出す。

そしてそれを飲み込んだ。



「フゥゥゥッ!!」


「魔力が回復した?・・・今のはポーションみたいな物か。」



隻眼は先ほどと同じように飛ぶ斬撃を繰り返す。



「同じことやっても無駄だ。」



信次は斬撃を躱しながら隻眼のもとへあっという間に移動。



「ムッ!?」



信次が隻眼を殴りつけようとした時、隻眼が笑う。



「!?」



隻眼の右手には既に刀は無く、刀を握っていた右手には銃が握られていた。

そして銃口を信次の顔に向ける。



誘われた!?



隻眼は拳銃の引き金を引き、ドンッと大きい音が鳴る。



「・・ナニッ!?」



超至近距離からの発砲を信次は顔を捻り頬をかすめたが躱した。

そして信次は隻眼の腹を殴りつける。



「グホアッ!!」


「!!」



隻眼は後方へ吹っ飛ばされた。

だが直ぐに立ち上がる。



「・・・防具か。」


「おーおー、自慢の防具がたった一撃でおじゃんだ。」



隻眼は着物の中に着けていた防具を外す。



「次は守ってくれるものは無いぞ。」


「もういいんだよ。」


「?」



すると隻眼の後ろから何かを取りに行っていた護衛たちが駆け寄ってくる。



「お待たせしました!」


「丁度いいタイミングだ。」



ガチャガチャと隻眼に何かを取り付ける。



「なんだそれ・・・。」



背中に大きい機械を背負い、両腕にはバズーカ砲よりも細い物を取り付け、足にはブースターのような物を取り付けていた。



だからこの世界観に合ってないんだって・・・。



「まだ試験運用中のものだが・・・・果たして魔人に対して有効かどうか・・・。」



遠くで見ている王子が呟く。



「ハハッ!いくぜッ!!」



隻眼は両腕を信次に向ける。

そして両腕の機械からレーザーが放たれた。



「!!」



信次は横に回避。

2つのレーザーが地面に着弾すると大きな爆発が起きる。



「おいおい・・威力が半端ないな。」


「ハハッ!もっといくぜェェッ!!」



レーザーを放った機械は使用したカードリッジを自動的に外して新しいカードリッジを自動で装着。

隻眼は引き金を引いて第二射。



「ちっ!」



また信次は横に回避。



「なんなんだあの機械は・・。」


「こりゃ楽しいぜェェェェッ!!!」



隻眼の笑い声が演習場に高らかに響き渡る。

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