第33話「激闘」
第34話になります!
拙い文章ですがよろしくお願いします( `ー´)ノ★
勇者ヴァーサスたちと信次・グロウの戦いが始まった。
「鉄壁のグロウ・・・アンタが相手じゃ最初から本気でやるしかねえな。」
「“猛撃”のモーガンか。元プラチナ冒険者。アンタら勇者パーティーの噂はよく聞いていたぜ、だけど俺も引くわけにはいかねえなッ!!」
巨体の男2人がぶつかり合う。
「うおおおおアァァァッ!!!」
「はああああァァァッ!!!」
モーガンは斧、グロウは盾を駆使して戦う。
フリージアはモーガンの援護。モーガンに強化魔法を付与する。
そしてモーガンの猛撃開始。
グロウは盾で攻撃を防ぐ。だが、衝撃が凄まじく、段々と足が地面にめり込んでいく。
「悪く思うなよ?これがパーティーでの戦い方だッ!!」
「さすが・・猛撃という名がつくだけはあるな。」
「盾で俺にどう勝つつもりだ?」
「・・・・こうやるんだよ!!」
グロウはモーガンの斧を盾で綺麗に受け流す。
攻撃を何度も盾で受けていたのはタイミングを見る為だった。
「ッ!?」
そして盾をモーガンの顔に押し当てブラインドにし、剣で足を斬る。
「ぐっ!!このッ!!」
モーガンが斧で振り払うが、グロウは後方へ回避。
大柄の男とは思えない程身軽に後方へジャンプ。
「モーガン!」
フリージアがモーガンを回復するために魔法を発動しようとする。
「回復する隙は与えんッ!!“風の加速”!!」
グロウの足に風が纏い、一気に加速。
その勢いのまま盾を構えてモーガンへ突っ込む。
「!!」
モーガンは高速で突っ込んでくるグロウを正面から受ける。
「ぐぐぐ・・・おおおおおァァァッツ!!!」
かなり後ろへ押しやられたモーガンだったがグロウの攻撃を受けきる。
だが、グロウは直ぐ次の攻撃に転じて盾で殴打。
モーガンは斧で攻撃を防ぐがすぐ後ろに崖の壁。
「!?」
「オラァァ!!」
盾の圧力と壁に挟まれモーガンは身動きが取れない。
盾による連続攻撃でついにモーガンは攻撃を喰らう。
「がッ!!」
モーガンの額から血が垂れ流れる。
「小僧、盾じゃ攻撃できないって誰が決めた?」
「・・・この野郎。」
一方その頃、
信次はヴァーサス・ナザレ・ベルサルクと応戦。
グロウとは離れた場所で戦っていた。
グロウを巻き込まない為である。
「喰らえッ!!」
ベルサルクの矢が間髪を入れずに飛んでくる。
信次は全て躱すが躱したところをナザレの魔法が襲う。
そしてナザレの魔法を処理しているところをヴァーサスが追撃する。
この三位一体の攻撃が信次を苦しめていた。
「ふう・・・。」
一人一人の力が強いからキツイな・・・。
てか、魔力も少なくなってきたし早めに決着つけないと・・・。
それは・・・あっちも一緒か。
剣と盾を装備し攻防一体型となったヴァーサス。
だが、度重なる強化魔法の付与により肉体に負荷を負っていた。
なので最初の頃より動きは鈍い。
そこをナザレとベルサルクがフォローに回る。
一気に勝負着けてグロウの助けに回らないと。
信次は急遽その場に立ちつくす。
「!?」
「なんだろう?」
「油断するなッ!!」
その瞬間、信次は爆発的な速さ、一瞬でベルサルクの間合いに詰めよる。
「!!!」
信次はベルサルクの腹部を殴打。
身につけていた防具を突き破り、拳が腹にめり込む。
「があああああああッ!!!」
たった一撃でベルサルクはダウン。気を失った。
「次は・・・。」
信次はヴァーサスのもとへ一瞬で移動。
「!!」
構えるヴァーサスに強烈な蹴りを喰わらす。
盾で防御したヴァーサスだったが、蹴りの勢いで後方へ飛ばされる。
「ぐっ!!」
ヴァーサスが蹴り飛ばした瞬間、信次は再度移動開始。
既にナザレの位置は特定済みだった。
「しまった!!」
高速で移動する信次。
あっという間にナザレが潜伏している場所へ到着。
「ウソッ!!?」
突然現れた信次に恐怖で顔が引きつるナザレ。
「ひっ!い、いや・・・。」
信次はナザレの頭を小突いて失神させた。
「これで邪魔が居なくなったな。」
信次はヴァーサスのもとへ戻る。
「魔人・・・ナザレを殺したのか?」
「・・・どうだろうな?確かめてみろよ。」
「貴様ァァァ!!!」
ヴァーサスの魔力と重圧が跳ね上がる。
「俺の魔力も残り少ないし、グロウたちが心配だから早く決着つけてやる。」
「こっちのセリフだァァァ!!!」
ヴァーサスが剣に魔力を込める。
信次は体を纏う黒い霧全てを一点に凝縮、小さくまとめる。
「“稲妻の聖剣”!!」
ヴァーサスは渾身の一撃を信次に向けて放つ。
斬撃は地面をえぐり、轟音を響かせて信次へ飛んでいく。
信次は黒い霧を凝縮させて球体に変化させる。
そしてヴァーサスに狙いを定め、
「“魔法の弾丸”。」
黒い弾丸を放つ。
黒い弾丸は真っすぐ飛んでいき、ヴァーサスが放った雷の斬撃と衝突。
一瞬にして斬撃が打ち消された。
そしてそのまま弾丸はヴァーサスのもとへ飛んでいき、
「!!?・・・・・が、がはッ・・」
ポタポタと血が地面に垂れる。
口から血が溢れ出すヴァーサス。
信次が放った弾丸はヴァーサスの鎧を突き破り、腹に穴をあけた。
さらに弾丸はヴァーサスを貫いた後も山々を次々に貫き飛んでいった。
「魔人に・・私が・・・やられる訳には・・いか・・・ないのだ・・・。」
信次はヴァーサスに近寄る。
「暫く寝てな。」
そのままヴァーサスは倒れる。
信次は勇者ヴァーサスに勝利した。
「さて、早くグロウのところへ戻らないと。」
直ぐ移動しようと思った信次だが、自身で思ったよりも消耗が激しく動きが鈍くなっていた。
リムドの修行から今までで大分溜める器も大きくなってストックしてたのに、この戦いだけで魔力がほぼ空になっちまった・・・。
勇者とその仲間、かなり強かったな。
こっちの味方になってくれれば頼もしいんだけど、敵だと厄介この上ないな。
俺もまだまだ強くならんとダメだ・・・。
信次は急いでグロウのもとへ戻る。
その頃、グロウとモーガンは熾烈な戦いを繰り広げていた。
どちらも一歩も引かずに戦う。
互いに血だらけだった。
「はあ、はあ、はあ・・・たくしぶとい奴だな。」
「はあ、はあ・・それが俺のスタイルなんでな。」
フリージアは2人の戦いに支援はせず固唾をのんで見ていた。
そこへ、
「まだやりあってんのか。」
「!!?」
フリージアの横に信次が現れた。
「ま、魔人!?」
突然横に現れた信次に動揺するフリージア。
グロウたちも信次が来たことに気付く。
「シージン!」
「魔人!?・・・・てことは・・・嘘だろ・・・。」
「じゃあヴァーサスたちは・・・・・。」
フリージアの顔が青ざめる。
「・・・まだ息はある。急げば間に合うんじゃないか?」
「!?」
信次がそう言うとフリージアは浮遊の魔法で飛んでヴァーサスたちのもとへ向かった。
「シージン、やったか・・。」
「で?そこのアンタ、どうする?グロウとやってる最中だけどまだやる?」
「2対1か・・・やめたやめた。ヴァーサスに勝った魔人としぶといオッサン相手じゃ分が悪いぜ。・・・・なあ魔人、なぜヴァーサスたちを殺さなかった?」
「殺して欲しかったのか?」
「そういう事を言ってるんじゃねえ。魔族ってのは人間を殺すもんだろ?」
「・・・だから言っただろう。俺は別に手当たり次第危害を加えている訳じゃない。俺が本当に手当たり次第やってるならとっくに街をいくつも破壊している。俺は街では普通に飯食って寝てたりしてるぞ。」
「お前は人間の・・・味方なのか?」
「バーカ!なわけ無いだろ!味方だったら魔人になってないっつーの。俺は・・・俺を信じてくれる奴の味方なだけだ。」
「信じる奴の味方・・・か。くくく、だっはっはっはッ!!魔人とは思えねえセリフだなッ!!」
「なッ!?」
「まあいいわ、・・・今回は見逃してやる。次は容赦しねえからな魔人。」
モーガンはそう言うとフリージアと同じ方向、ヴァーサスたちが倒れている方角へ歩きだした。
「何が見逃してやるだ。見逃したのは俺だろ。」
「シージンッ!!ボロボロじゃねえかッ!!」
「グロウ、お前も人の事言えないわ。・・・・あ、そうだった。」
信次は奥へ歩いて行き、リーネたちが入っている殻を守っていた九頭の大蛇を消す。
そして殻も消した。
リーネたちが出てくる。
「グロウ!シージン!」
「無事・・・ではないな。2人とも傷だらけだ。」
「終わったの?」
「ああッ!終わったぞ!!俺とシージンの勝利だッ!!」
「本当に勇者パーティーに勝った?す、凄い・・・・。」
信次はリーネたちに近づき、
「グロウ、リーネ、アスタロ、ラングリット・・・巻き込んでしまってすまなかった。」
信次は全員に謝る。
するとグロウが信次の背中を思い切り叩く。
「なーに言ってんだよシージンッ!!・・・・仲間だろ?」
「そうよ!私たち仲間なんだから!・・ってグロウ以外は何もしてないんだけどね。」
「冷静に考えてみたら魔人と仲間って・・・・凄いな。」
「シージン、僕を食べたり・・しない?」
「するか!」
「魔人であるシージンと仲間って言ってるんだから私たち、もっと強くならなきゃダメだよね・・。」
「今回実際一緒に戦えたのはグロウだけだし・・。」
こいつらには生きて欲しいから実際戦わなくてもいいんだが。
「がっはっはっはッ!!今から急に強くなれるもんじゃねえよ!全員で少しずつでいい・・強くなろうぜッ?なっ?」
「うん。」
「でも、これからどうするんだ?俺たち勇者たちと相対したから反逆者ってことになるが・・。」
「そうだな・・・もうこの国にはいられないな・・・。」
たしかにこれからグロウたちをどうするか・・。
魔王城へ連れて行くのは・・・・無理だな。
人間の仲間ができたなんて報告できないし・・・。
とりあえず・・・。
「とりあえず考えがまとまるまで待ってくれ。」
「まあ、そうだな。俺らもどうすべきか考えるか。・・・そういやシージン、隻眼はどうするんだ?」
「そうだった・・・・。隻眼と王子を追わないと。」
「ま、私たちはシージンについていくよ。」
「ついて行くって軽く言うけどな・・・。」
「ねえ、シージンとグロウの怪我は?2人とも傷だらけだよ?」
「俺は再生能力で自然に治るから大丈夫。」
「俺は山下りながら治癒魔法するから平気だ。」
そういや最初会った時に回復専門って言ってたな。
それ本当だったのか。
「とりあえず下山しながら考えるか。」
そして信次たちは山を下り始める。
グロウは歩きながら風属性の治癒魔法を使って回復していた。
下山して1時間。
信次たちは山を下り終えた。
そして信次は今後のグロウたちのことについて何も考えがまとまらなかった。
「ふわぁぁ、疲れたぁ~。」
「これからどうしますか?」
「とりあえず移動に必要な馬を借りにいくか。・・・シージン?」
信次は下を向いてブツブツ喋りながら考えをまとめようとしていた。
「シージン!」
「!!・・・・どうした?」
「どうしたじゃねえよ。俺らはこれから馬を借りに行く。シージンも馬必要だろ?」
「あ、ああ・・。」
「だがな~、勇者たちが既に街に俺らのこと言いふらしてなければいいんだが・・・。」
「みんな悪い・・・。まだお前たちをどうすればいいのか考えがまとまらない。」
「なーに言ってんだよッ!!俺らはもう後には引けない立場なんだ。先に進みながら考えればいい。とりあえず街へ向かおうぜ?」
グロウは信次の肩をポンポンと叩く。
信次たちは馬を借りるべく街へ向かった。




