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第30話「隻眼の鬼を探して」

第30話になります!

拙い文章ですがよろしくお願いします(^^♪

信次はアイザックという情報屋に隻眼の鬼について聞くために宿に一泊した。

そして夜が明ける。


信次は朝からギルドへ向かいアイザックを探す。

だが、グロウから聞いた「派手な眼鏡」という特徴の男の姿はギルドには無かった。



昨日と同じようにギルド近くの店に寄り、店外のラウンジにて観察。

すると、



「シージン!」



グロウたちが信次の前を通りかかった。



「グロウ。」


「どうだ?アイザックから情報は聞けたか?」


「いいや、朝からギルドを探したが居なかった。」


「そっか。まあアイツも冒険者だしな。クエストに行ってるのかもな。・・・それよりどうだ?また俺たちとクエスト行かないか?」


「また採集か?」


「ガッハッハ!・・ご名答!」


「今日は大分遅いんだな。もう昼過ぎてるぞ?」


「今日の採集場所は近いところなの♪」


「夕方くらいには帰ってこれるからその時になったらアイザック居るかもしれないぜ?」


「・・・わかった。行くか。」


「よっしゃァァ!!気合入れていくぜェェ!!」


「おおーーーー!!」



・・・採集クエストでこの気合の入れ様はどうなんだ?



信次たちはクエストへ出発。

今回の採集場所はべリアの町から歩いて30分のところにある“ランゴの森”。



「で?今日の採集はなんなんだ?」


「今日は・・・・・キノコだ。」


「ランゴの森に生えてる“トリカブキノコ”は凄く美味しいんですよ。」


「トリカブト?」


「トリカブトじゃなくてトリカブキノコです。ああ!早く食べたいッ!」



ラングリットがウキウキしながら喋る。


名前的に本当に大丈夫なのかそのキノコ・・。

毒がありそうなネーミングだが・・。



「今が丁度トリカブキノコの旬だからな。沢山採ればその分報酬も出る。」



パーティーで喋っているとあっという間に目的地に着いた。



「よーし!いつも通り陣形組んで採集始めるぞー!」


「おおッ!!」


-------

--------------

---------------------



2時間程キノコ採集を行い、カゴ3つ分キノコでパンパンになった。



「いやー!沢山採れたなッ!」


「場所も近くだしお手頃よね♪」


「よし、帰るか!」



信次たちはべリアの町へ戻る。

時刻は夕方。


町へ戻ってきた信次たちは報告の為にギルド内に入る。

すると、



「シージン、シージン!」



グロウが信次の肩を叩く。



「アイツだ。アイザックがいるぞ。」


「!?・・どこだ?」


「ほれ、受付カウンターの横奥にあるテーブルの席に座ってる。」



その席にはたしかに派手な眼鏡をかけた男が座っていた。

見た感じインテリ系の男。



「グロウ。」


「ああ、いいって。クエストの報告は俺がやっとくから行ってこい。」


「わかった。」



信次がアイザックのもとへ近寄る。

そしてアイザックの向かい側の椅子に信次は座る。



「・・・・お前は?」


「アンタがアイザック?」


「・・・そうだが。」


「ちょっと聞きたいことがあるんだが。アンタ情報屋でもあるんだろ?」


「・・・・金はあるのか?」


「それは問題ない。」



アイザックは信次の紋章をチラッと確認する。



「・・・・ゴールドか。よし、何が聞きたい?」


「隻眼の鬼について。」


「隻眼の何について知りたい?」


「アンタは隻眼の鬼についてどこまで知ってる?」


「それには答えない。俺はお前が求めるものに対して教えるだけだ。隻眼の何が知りたい?」


「・・・じゃあ、隻眼の鬼が今どこにいるのか教えてくれ。」


「10万ソーロだ。」


「!?」



高ッ!場所を聞くだけで10万も取るのか?

ぼったくり過ぎるだろ。

こいつに値引き交渉できるか・・?

・・・いや、値引きは一切応じない感じのオーラを出してるから無理だな。

・・・しょうがない。



信次は10万ソーロをアイザックに渡す。

アイザックは金を数えて10万を確認する。



「よし。隻眼の鬼の居場所は・・・」


「ちょっと待て。」


「なんだ?」


「こっちは10万という大金払ってる。それでガセ情報なんか教えたりしたら・・・。」


「・・・俺は世界各地にパイプを持っている。それは俺が元商人だったからだ。俺はそのパイプから最新の情報を揃えて教えているだけだ。勿論、最新の情報を伝えた後、行ってみたらもうその場所には居ないってことはある。相手も人間だからな、常に移動するのは当たり前。だが、情報が有ると無いとでは雲泥の差だ。戦場では情報1つで戦況がひっくり返る。だから情報には価値がある。お前も隻眼の手がかりが何も無くて身動きが取れない、だからわざわざ俺に聞きにきたのだろう?」


「・・・わかった。聞こう。」


「隻眼の鬼が今居る場所はべリアの町からさらに南に下った場所にある“モントビレ”という街だ。」


「モントビレ・・。あとアビって奴は隻眼と一緒にいるのか?」


「アビ?・・ああ、パルメダ王国の王子のことか?」


「ああ。」


「5万ソーロだ。」


「は?」


「追加料金だ。」


「はあ?」


「当たり前だ。お前が聞きたい情報は隻眼の居場所だったはず。それに加えて王子の所在も聞きたいとなると追加料金が発生するのは当たり前・・だろ?」



コイツ・・・・。



信次は5万ソーロを席に強く叩きつける。



「悪く思うな。情報も大事な商品。これも商売なんでな。俺は金さえ払えば人間だろうが魔物だろうが情報は売る。」


「いい性格してるな。」


「ふふ、それは商人にとって褒め言葉だ。それで、王子の所在に関してだが・・・アビ王子は隻眼と一緒に行動を共にしてる。」


「そうか。」


「他に何か聞きたいことはあるか?」



ニヤッと薄ら笑いを浮かべるアイザック。



「もう要らんわ。このぼったくり商人が。」


「こりゃまた酷いことを言うもんだ。・・まあ、結構払って貰ったし、特別にタダで1つ良い情報を教えてやる。」


「?」


「隻眼と王子が向かっている先はガルドニア帝国だ。」


「ガルドニア?」


「モントビレからさらに降下、つまりパルメダ王国の下に位置する国に向かっている。」


「それはなんでだ?」


「おっと、それ以上は言えないな。それ以上聞くなら料金発生するが・・?」



信次は既に15万ソーロを支払っている。

手持ちの金殆どを情報を買う為注ぎ込んでしまった。



「もう金無いからいい。」


「ではまたお金が貯まったらどうぞご贔屓に。」



こいつムカつくな・・・。



信次はアイザックから離れる。

隻眼に関する最低限の情報は手に入れた。



「ここからさらに南か、今日中に出発した方がいいか・・。」


「シージン!」



グロウが信次を呼ぶ。



「どうだった?良い情報は掴めたか?」


「・・まあ、最低限のはな。今日中に出発しようと思う。」


「そうか・・何処へ行くんだ?」


「モントビレ。」


「!?」


「・・どうした?」


「かぁ〜ッ!つくづく俺たち縁があるなッ!」


「どういうことだ?」


「俺らもモントビレに向かうんだよ!」


「・・はあ?なんで?」


「いや〜さっきクエスト完了の報告しに行ったらよ、俺らの今までの功績を称えて良いクエストを回してくれたんだよ!」


「良いクエスト?」


「そう!シージン見て見て!!」



リーネが信次にクエスト依頼書を見せる。



「・・マツガタケ採集?」


「そうなの!超高級キノコのマツガタケ!その採集クエスト!!」


「一本の相場が5千ソーロのマツガタケ。そのクエストを特別に回してもらったのさ。」


「へぇ。」


「リアクション薄いなッ!!マツガタケだぜ!?一攫千金狙えるんだぜッ!?」


「採集場所はモントビレから少し離れた山らしい。」


「マツガタケ・・ああ、今から想像しただけでヨダレが止まらないよ・・。」



グロウたちの興奮が止まらない。



「少しでも多く採集するために今日夜から出発しようって話してたところなんだ。シージン、お前も行き先が同じなら一緒に行こうぜ!」



たく、いつでも元気だなこいつらは・・。



「ああ。行くか。」



信次はグロウたちとモントビレへ向かうことに決めた

べリアの町で夕食を済ませ、馬車に乗って出発。

グロウが馬車を運転。


べリアからモントビレは5日程の道のりだ。

道中は休みながらのんびり進んで行く。



5日・・・・隻眼たちがガルドニア帝国へ向かってなければいいが・・。



少し不安な気持ちになる信次。

そして・・・


-------

--------------

---------------------


ようやく信次たちはモントビレに到着。


パルメダ王国の最南部に位置するモントビレ。

山々に囲まれているこの街は国境が近くにある関係上、商人等の行き来が盛ん。

又、自然豊かで景色も素晴らしいと評判の為、多くの観光客で賑わっている。



「やってきましたーーー!モントビレ!」



リーネは馬車から降りると元気よく声を上げる。



「クンクンクン・・・、もう良い匂いがする・・。」



街から漂う美味しそうな食べ物の匂いを嗅ぐラングリット。


モントビレは山の幸が豊富で街のいたる所に屋台がある。

信次たちの前に重い荷物を運ぶボロボロの服を着た者たちが通る。



「奴隷か・・。」


「ああ。ここも奴隷を使って成り立っている街だ。」


「クソばかりだな・・。」


「そうだな。・・だけど全ての奴隷が苦渋を味わっているとは限らない。」


「?」


「奴隷を買う人によっては奴隷を暖かく迎える者もいるってことだ。」


「そんな奴いるのか?」


「ほれ、あそこ見てみろ。」



グロウが指をさした先には一軒のお店。



「あそこの店員たちの肌は黒いだろ?パルメダ王国は黒い肌を持つ人種じゃない。という事はアイツらは他の国から連れて来られた異国の人間だ。証拠に腕に奴隷紋が刻まれてる。」


「だけどあいつら・・。」


「ああ。笑顔だろ?おそらく・・あそこ、店内を歩いている白肌の親父。あれが店主だろう。」



その店主は奴隷たちに気さくに話しかけていた。

それに対して奴隷たちも笑顔で元気よく答えている。



「なんか想像したのと違うな・・。」


「普通に一般人を雇用するには沢山の費用がかかる。だけど奴隷に関してはそれが必要ない。必要最低限の食料を与えてればいいからな。商売をするには奴隷はうってつけなのさ。この国では奴隷を虐げる奴らの方が大半だ。只、奴隷と上手く共存していく人間だっている。本当の家族の様に接してくれる奴だっている。奴隷になったとしてもそんな人と巡り会えたのなら幸せなのかもな。」


「・・・奴隷制度を廃止にしたらどうなると思う?」


「・・・そうだな。まず暴動が起きるな。この国は奴隷で成り立ってるし、良く思わない人間の方が多い。奴隷が居なくなったら下手すればこの国自体滅びるかもしれんな。」


「そうか・・。」


「んじゃ俺らはさっそくクエストに行ってくるからよ。じゃあなシージン。無茶はするなよ。」


「ああ。運んでくれてありがとな。」



信次はグロウたちと別れる。



「さてと・・・こんな人が多い中隻眼と王子を探す・・か。」



信次はまだ隻眼たちがこの街にいることを信じて手当たり次第探す。

探している中で路地裏などの人が来ない場所、見えない場所で奴隷が働かされていた。



「なにもたもたしてやがるッ!!早く運べッ!!」



先ほど見た奴隷たちとは違い、雇い主に暴力を振るわれ虐げられていた。

嫌悪感が膨らむが相手にしている場合ではないので信次はそのまま通り過ぎた。


正直、俺自身として奴隷制度は気分が悪い。

だけどそれに対して俺が口出すことではないと分かってる。

関係ないからだ。

だからこの国の行く末がどうなるのかなんてどうでもいい。


だけど・・・グロウたちのような人間は生き残ってほしいと思う。

あれだけ人間を嫌って信用してなかったのにな・・。



その後も信次は隻眼たちを探す。

だが一向に見つからない。

しょうがないので聞き込みをすることに決めた。

手当たり次第に聞き込みをすると・・



「隻眼?・・・ああ!たしか眼帯してる怖そうな人なら見たことあるよ。」


「どこで見た?」


「街角に“眠り姫”って名前の宿屋があるんだが、その路地で見かけたな~。」


「そうか。助かる。」



信次は“眠り姫”という宿屋を探す。

場所の聞き込みをして暫く歩くと宿屋の看板を見つけた。



「ここか。」



信次は店内に入り、受付の女性に確認する。



「ここに眼帯をつけた男が泊まってないか?」


「ああ!そのお客様なら昨日出ていかれましたよ?」



一足遅かったか・・・。



「どこへ向かった?」


「それはわからないです。」



アイザックが王子たちはガルドニア帝国に向かっていると言っていたな。

1日前にここを出発した・・・。

・・追いつくか?



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


-- モントビレ入口前 --



「この街から嫌な気配感じるな・・。」


「という事は?」


「ああ。この街に魔族が混じってる。かなり魔力を抑えているようだが・・・魔族の魔力の質というのは我々人間とは異なる。」


「相変わらずよくそんな細かい魔力の質を感じられるな。俺には全くわからん。」


「ヴァーサスは特殊なのよ。アンタは脳筋だから分かんないのよ。」


「んだとこの野郎。ナザレ、お前は分かるのかよ?」


「わかんない、てへぺろ。」


「何がてへぺろだ。全然可愛くねえんだよ。」


「キィィッ!何よモーガン!アンタ顔面偏差値10のくせにッ!」


「ああッ!?」


「よさないか二人とも。」


「まあまあ、二人ともお腹空いてるから気が立ってるんでしょ?・・飴食べる?」


「要らんわッ!!腹空かしてるからじゃねえよ!てか飴で腹膨れるか!」


「どうするのヴァーサス?今すぐ魔族のところへ向かう?」


「そうだな・・。何故魔力を極限まで抑えているのかは分からないが、魔族は敵だ。早めに討伐する。・・行くぞ。」



勇者ヴァーサス一行が馬を走らせる。

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