第29話「クエスト」
第29話になります!
拙い文章ですがよろしくお願いします!(^^)!
信次は魔法書奪還のためパルメダ王国に訪れる。
サタンが協力者と言っていた人物は魔人の1人のカナリアであった。
カナリアはパルメダ王国第一王女であることも発覚。
カナリアはパルメダ王国の現実に失望して魔人となった過去を持ち、国を再建しようと国の内側から改革を行うべく動いていた。
信次が追う魔法書はカナリアの兄、パルメダ王国・王位継承権第一位のアビ王子が持っている可能性が高いという事を知る。
そして信次は魔法書奪還のため、南部の町べリアへ向けて出発した。
「馬借りるぞ。」
「へいよ!どこまでだい?」
「べリア。」
「べリアは冒険者稼業する上で有名な町だからね!お兄さんも冒険者かい?」
「違う。」
「そうかい。でもべリアは観光には向かない町だよ?」
「いいから馬を貸してくれ。」
「へいよ!片道3000ソーロだよ!」
信次は馬貸し屋にお金を払い馬を借りる。
「こんな夜更けは気をつけなよ!魔物に襲われちまうよ!」
「・・・大丈夫だ。」
信次は馬を走らせる。
べリアまでは王都アンタリーゼから2日程。
それまでは別の町へは寄らずに野宿で過ごす。
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2日かけてパルメダ王国南部の町べリアに到着。
「ここがべリアか。」
べリアは大して大きくない町だが人で大変混みあっていた。
道歩く者のほとんどが背中や腰に物騒な武器をつけて闊歩する。
「冒険者の町か。魔人って気づかれなければいいけど・・。」
魔力を抑えていれば基本バレることは無い。
だが匂いで気付く特殊な者もいるので油断はしないようにする。
「ギルドってどこだ?」
信次は冒険者ギルドを探して町を歩く。
そして一際大きい建物を発見。
「・・・これか。」
・・・てか迂闊に入るのはどうなんだ?
そもそも俺は冒険者ではないし、入って大丈夫なのか?
信次はとりあえず建物内には入らずギルド近くの店に入る。
店先のラウンジに座り、片手に飲み物を持ちじっくり隻眼の鬼と思わしき人物が出入りするか観察する。
「ここによく来るってカナリアは言ってけど本当に来るのか・・?」
「誰が来るって?」
信次が振り向くとそこには大柄の髭面の男が立っていた。
信次はその男の顔を確認。
男の両目は健在のためすぐギルドの方を向いて観察を再開。
「おいおいおい!兄ちゃん誰かを待ってるのか?」
「別に・・。」
「いやいやいや!本当に来るのか?って言ってたじゃねえか!なんだ?クエストするパーティーでも探してるのか?兄ちゃん野良か?」
グイグイ来るなこのヒゲ男。
「どうだい?俺と一緒にクエスト行かねえか?」
「俺に構うな。」
「んなこと言うなよ~!一緒に行こうや!なッ!?なッ!?丁度1人欠けちまったんだよ。なんか見た目とは違って兄ちゃん強そうな感じするし!」
コイツ・・・案外見る目あるな。
「第一俺は冒険者じゃない。」
「何言ってんだよ!紋章着いてるじゃねえか!」
「紋章?」
右腕を見ると服に何か柄の入った腕章が着いていた。
「!?」
「その紋章は紛れもなく冒険者の紋章だ。しかも3本ライン!ゴールドの冒険者だ!」
この世界には依頼をこなして生計を立てている冒険者という職業がある。
その冒険者にはブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナという4つのランク付けがされている。
ブロンズが一番下でプラチナが一番上のランクだ。
その中で何故か俺についている紋章は中に3本ラインが入っている。
これはゴールドランクの冒険者という意味らしい。
「なんでこんなのついてんだ・・?」
・・・・いや?まてよ?
そういやこの服は新しく新調してもらったもの・・。
新調してくれたのはユリウス・・。
ユリウスには今回サタンに依頼された主旨は話している・・。
まさか・・・冒険者ギルドに立ち入る事を先読みして紋章を服につけたのか!?
しかもこの紋章縫ってある!せっせと縫ったのか・・・・母親か。
「兄ちゃんゴールドなら頼もしいぜッ!前衛は任せていいか?俺は回復専門だから後衛だ。」
何故すでに俺がパーティーに加わる前提になっている?
そしてコイツ、オーガみたいな顔つきしてるのに回復専門かよ。
「お待たー。」
ヒゲ男の後ろからぞろぞろと3人の人間が近寄って来る。
「おう!遅せえよ!何時だと思ってんだ!」
「あれ?この人だれ?新入り?」
「急遽パーティーに加わった仲間だッ!しかも・・ゴールドだぜ!?」
「え!?すごーーいッ!」
「いや、だから俺は・・・」
「今日どこ行く?」
「そうだな・・・今日は“ペシュイヤの森”にでも行くか。」
「最近狩場が少なくなってきたわよね~。」
「ああ、それも全部隻眼の奴のせいだ。」
「!!」
隻眼?今コイツ隻眼って言ったか?
「隻眼?」
「あれ?兄ちゃん知らねえのか?もしかしてここら辺の者じゃないのか?」
「・・・ああ。」
「隻眼っていうのはな、隻眼の鬼って通り名の冒険者のことだ。」
やっぱり隻眼の鬼のことか。
「アイツは強えことは強え。だが、狩場を荒らしまくるから同業者としては嫌われてるんだよ。」
「私もあいつ嫌~い。」
「てなわけで今日はペシュイヤの森へ行くぜ。」
こいつらからもっと情報を聞き出すか・・・。
「なあ、もっと隻眼のことを教えて・・」
「よっしゃーー!!今日も張り切っていくぜッ!!」
「おおーーー!!」
勢いよく店を出ていく男たち。
「ここに居ても直接会えるかわからないか。・・・とりあえずついていくか。」
信次は頭をポリポリ掻き、男たちの後をついていくことにした。
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信次たち一行が向かったのはペシュイヤの森。
べリアの町から然程遠くない森。
「そういや兄ちゃんの名前聞いてなかったな!俺の名前はグロウ!さっきも言ったが回復職だ!」
いや、そんな顔つきでしかもドヤ顔で回復職って・・。
「私はリーネ!補助魔法を得意とするわ!」
「俺はアスタロ。索敵魔法と罠作成が得意だ。」
「僕はラングリット。グロウと一緒で回復職だよ。」
「・・・俺はしん・・」
いや、ここで本名を名乗るのは安易だ。
「俺は・・・・シージン。武術も魔法も両方いける・・・・ん?」
このヒゲ男のグロウは回復。
女のリーネは補助。
長身のヒョロヒョロのアスタロは罠作成・・てか罠作成ってなんだ?
この小太りのラングリットは回復。
・・・・・・攻撃系がいない。
「前衛は俺だけか?」
「がっはっはっ!そうなんだ!うちのパーティーには前衛がおらん!いつも前衛は募集しててな!」
なんだこのポンコツパーティーは・・。
信次はグロウたちの紋章をそれぞれ確認する。
「!?」
グロウは2本ラインでシルバーランク。
それ以外は1本ラインでブロンズランク。
おいおい・・・最低ランクばかりじゃないか。
なんでこんなパーティー組んでるんだ?
「今日は何の依頼を引き受けたんだ?」
冒険者のクエストは基本討伐。
魔物の討伐から同じ人間だが盗賊や山賊といった者の討伐もある。
魔物討伐だったら魔物を殺さないようにしないと。
「今日は・・・採集クエストだ!」
「・・・は?」
「今日は野イチゴをカゴ3つ分の採集クエストだッ!重労働になるが頑張ろうぜッ!!」
「おおーーー!!」
森に着くとパーティーメンバーが一定の距離を空けて野イチゴの採集を始める。
「・・・なあ?」
「なんだ?」
「冒険者のクエストって討伐とかじゃないのか?」
「討伐か・・・まあ俺たちは・・・」
「前方から魔物が接近してくる!!」
索敵魔法を使用してたアスタロが声を上げる。
「よーし!採集の手を止めて陣形を組め!」
グロウの掛け声のもと信次を1番前に置いて皆信次の後ろで構える。
そして信次以外の者はゴクリと唾を飲み込む。
「おいおい・・・。」
ガサガサと草薮から魔物が出てきた。
出てきたのはウサギのような魔物。
ウサギの魔物は野イチゴをムシャムシャと食べ始める。
「・・・どうするんだ?」
「キャ・・・キャーッ!!可愛いィィ!!」
「!?」
リーネが飛びつくようにウサギの魔物を抱きかかえる。
ウサギの魔物といえどサイズは普通のウサギよりも大きい。中型犬並みの大きさである。
「お、おい。いいのか?あれ?」
「グロースラビットは無害な魔物だ。倒す必要は無い。よーし!採集再開だッ!」
また一定の距離を空けて野イチゴを摘み始める。
どうも魔物の中には人畜無害なものも多く存在するらしい。
物好きな者は魔物をペットとして飼うこともあるそうだ。
信次たちは半日かけて野イチゴを摘み、カゴ3つ全て満帆になった。
そして森の中で休憩を取る。
「いやー!結構早く終わったな!」
「この時期は野イチゴの収穫に適してるからね。」
「余分に摘んだから帰ったらジャムでも作ろ〜♪」
とても能天気な彼らを見て信次は呆然とする。
「シージン、悪かったな。ゴールドのお前さんをこんなクエストに連れてきて。」
「別に俺が居なくても良かったんじゃないか?」
「まあ、そうなんだが・・いざって時に俺たちは戦えない。」
「まあ、全員後衛だからな。」
「それもあるが、根本的な部分だ。」
「?」
「俺たちは魔物とは戦えない。」
「どういう事だ?」
「俺たちは・・このパーティーの全員は昔、魔物に救われた過去を持つ。」
「!?」
「リーネは辺境の村出身でな、村が飢饉に見舞われて村人全員が飢え死にようになった時、1匹の魔物が現れて食料を村に恵んでくれたそうだ。アスタロは旅の途中で崖から転落。重症で死にかけていた時、魔物に助けられた。ラングリットは山賊に襲われていたところを魔物の群勢に助けられたんだと。・・そんなこんなで俺たちは魔物の全ては悪いものではない、出来るだけ危害を加えないって心に誓ったんだ。まあ、勿論中には凶悪な魔物もいる。それに対しては自分を守るために戦うさ。ただ、それは人間も同じさ。人間にも良い奴もいれば極悪人もいる。俺たちは魔物が全て悪だと決めつけている奴らが嫌いなのさ。だから俺たちは全員攻撃職じゃない。」
「グロウも魔物に助けられたのか?」
「ああ、俺もこいつらと同じだ。俺はもともと奴隷だった。苦渋の毎日だったよ。虐げられ、何度も死のうと思った。けど、そんな時魔物が来たんだ。その魔物は暴れて次々に奴隷を解放したんだ。考えられるか?魔物がだぞ?そして俺はその魔物にこう言われた。「抗え」ってな。・・そん時吹っ切れたよ。何諦めてんだって、こんな事で人生終わりにしていいのかってさ。」
正直魔物に対してこんな考えを持つ人間がいるとは思わなかった。
俺自身、魔物は仲間だと思ってる。ただ、ベヒモスのような魔物は俺も嫌いだった。
魔物にも良い魔物と悪い魔物がいる。それは人間も同じ事であり当たり前の事だ。
俺は人間は全て駆逐すればいいと思っていたが、グロウから話を聞いて心が揺らいだ。
カナリアが言っていたように邪魔な者だけを消す。
魔物に理解がある人間は残すって考え方もあっていいのかなと思う。
それに・・・
こいつらからは俺が人間に抱く嫌悪感が全然感じられない。
魔物に対して敵対心が無いからか?
こいつらには俺が魔人であることを話すか?
・・・いや、そんなことまで話す必要は無いか。
「グロウたちはなぜ冒険者に?」
「勿論生活の為だ。あとは無闇に無害な魔物を狩る奴らから守るためにやってる。」
「あのウサギのような?」
「ああ。依頼でも無いのに狩る奴らは許せねえ。そうさせないように無害な魔物が多く生息している地域を中心に依頼を受けてるんだ。」
「だから採集クエストか。」
「ガッハッハ!その通りだッ!」
こいつらの冒険者ランクが上がらないのもそれが理由だろう。
「お前、人間なのに良い奴だな。」
「人間なのに?」
「ああ!な、何でもない!こっちの話だ。・・・グロウ、隻眼の鬼の話聞いてもいいか?」
「隻眼の鬼?別に構わんが。」
「隻眼の鬼って奴の名前や外見なんか知ってたら教えて欲しい。」
「・・・それを聞いてどうする?」
「ちょっとそいつを追っててな。」
「まさか・・アイツと同類ってことは無いよな?」
グロウが信次を鋭い目つきで睨む。
「そんな目をするな。俺は魔物の全てが全部悪いものではないって言ってるお前たち側だ。」
「そっか!ガッハッハ!ならいい!」
「んで、隻眼ってどんな奴なんだ?」
「ただのイカれたクソ野郎だ。・・隻眼の鬼の名前は正直わからん。背格好は長身で髪はいつもボサボサ、赤色の着物を着てる。そして両脇に帯刀。つまり二刀流剣士だ。ランクはゴールド。他のパーティーの依頼を邪魔して手柄横取りするわ、魔物だけでなく人間も普通に殺しまくってるぶっ飛んでる奴さ。素行の悪さでランクはゴールドで止まってるが、プラチナに匹敵すると言われる程実力は確かだ。」
「ギルドにはよく来るのか?」
「ん〜、そういえば最近見てねえな。」
「いつくらいから見てない?」
「大体3ヶ月前くらいからだな。」
カナリアの兄貴が出て行った頃と時期が合うな。
やはり一緒に行動してる可能性が高いか。
「最近隻眼が来なくなって嬉しいんだが、他の奴らがな・・。」
「他の奴ら?」
「隻眼にあてられて荒らす奴が増えてきたんだ。そのせいでいざこざが絶えない。ギルド内は結構殺伐とした雰囲気になってるぜ。」
「そーそー!私あの雰囲気嫌いッ!」
「僕はなるべく目を合わせないようにしてるよ。」
他の3人が話に加わってくる。
「まっ、俺らはいつも通りやってればいいんだよ。・・・そろそろ戻るか。」
「あーい!」
野イチゴを積んだカゴを背負って信次たちはベリアへ戻る。
日もとっくに暮れて夜。
グロウたちは依頼完了の報告をギルドに済ませる。
「ほれ、報酬は山分けだ。」
信次はグロウから報酬の取り分1000ソーロを受け取る。
「んじゃ飯でも食いに行くか!シージンも来いよ!」
ギルド近くの飯屋で夕食を食べる信次たち。
「グロウ、お前たちは明日も採集クエストやるのか?」
「ああ。」
「採集クエストだけで稼げるのか?」
「稼げねえな。盗賊退治だとか人間相手のクエストがあれば報酬も良くなるが・・・丁度帰ってきやがったな。」
「?」
「シージン、あれ見てみろ。」
グロウがあごで示した方向にはギルドがあった。
「!?」
そのギルドの前には6~7名の人間が集まっている。
集まっていた者全て着物と片方に眼帯をつけていた。
「着物に眼帯、あれ隻眼か!?」
「隻眼の野郎を真似してる奴らだ。」
「真似?」
「森で話したろ?隻眼にあてられて狩場を荒らす奴が増えたって。あいつらがそれだよ。・・・隻眼の野郎はなんか妙なカリスマ性を持っててな。あいつらも隻眼がやってることがカッコイイとか思ってんだろうよ。くだらねぇ。」
「あいつらなら隻眼が今どこに居るか知ってるかも。」
「やめときな。」
「?」
「あいつらは知らねえよ。形から真似してる奴らだ。隻眼と知り合いでも何でもない。要は憧れて真似してるだけだ。」
「そうか。」
「・・・なあシージン、お前がなんで隻眼の野郎を追ってるかはわからねえし、理由は聞かねえよ。只、アイツに関わるのはやめとけ。ろくなことにならんぞ。」
「なんだ、俺の心配してるのか?」
「バ、バカヤロッ!し、心配してる訳じゃねえよ!あの・・その・・あれだ、シージンが悪い方向に行かないようにだな・・」
「それを心配してるって言うんでしょー。」
横からリーネが割り込み、笑い声が飛び交う。
「だけど俺はどうしても隻眼を追わなきゃならない。グロウ、詳しい情報を持ってる奴知らないか?」
「・・アイツなら知ってるかもな。」
「誰だ?」
「名前はアイザック。シージンと同じゴールドの冒険者であり、あらゆる分野の情報を持っている情報屋としての顔も持つ男だ。金さえ払えば教えてくれるって話だぜ?」
「でもアイザックの情報料ってたしか凄く高かったような・・・。」
「高い金を払ってもガセ情報ってこともある。」
「もし隻眼の情報を持っているのなら金払ってでも聞いてやる。」
「そうかい。アイザックは基本夜はこの町には居ねえ。昼間にでもギルドに行ってみるんだな。」
「そいつの特徴は?」
「派手な眼鏡をかけているからすぐわかるさ。」
「わかった。ありがとうな。俺はもう今日は宿に泊まりに行く。」
信次は席を立ち、店を出ようとする。
「シージン!・・今日はありがとうよ!また良かったら一緒にクエスト行こうやッ!」
「絶対行こ~ね♪」
「・・・・ああ。それじゃあな。」
明日はアイザックという情報屋に隻眼の鬼について聞く為に宿へ向かう。
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-- パルメダ王国・王城 --
信次が宿に泊まっている中、パルメダ王国・王城に一人の男が帰還していた。
その男は黄金色に輝く綺麗な鎧を着こなし、悠然と城を歩く。
その男の後ろには4人の男女がぴったりついてゆく。
そんな男たちの前にパルメダ王国・国王が出迎える。
「おお、帰ってきたか。」
国王がその男の帰還を喜ぶ。
「ミルドラス=メオ=ヴァーサス、長期に渡る遠征を終え、只今帰還致しました。国王陛下。」
「うむ、長旅ご苦労であった。疲れたであろう、当分休暇を取るとよい。」
「国王陛下、アビ王子はおられますか?」
「アビ?アビなら随分前に城を出たぞ。アビがどうかしたのか?」
「・・・いえ、少し確認したい事がございまして。・・でありましたら私はアビ王子を追ってすぐに城を立とうと思います。」
「も、もう行くのか?」
「はい。国王陛下自らこんな夜遅くに出迎え頂き感謝致します。」
「お前が帰ったてきたと報告を受けてな、顔を出さない訳にはいかんだろ。なにせヴァーサス、お前さんは我が国の宝・・・・勇者なのだからな。」
「有難うございます。」
この一部始終を物陰から隠れて見ている者がいた。
それはカナリア。
「(ヴァーサスたちが帰ってきた?・・・しかもアビ兄様を追っている?このままだと加藤信次と鉢合わせになる可能性があるわ・・・。)」
「それでは国王陛下、失礼致します。・・いくぞ。」
勇者ヴァーサス一行はアビを追うため城を出る。
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・・・そして夜が明ける。




