第24話「プリネラの意地」
第24話になります!
拙い文章ですがよろしくお願いします(゜∀゜)
本戦1回戦第15試合目、プリネラの戦いが始まった。
「子供に私が負ける訳ないでしょ!」
「だから子供じゃないって言ってるでしょうが!!この乳だけ女!!」
「乳だけ!?」
「そんな重いものぶら下げて何が良いんだか。」
「むきーーっ!あんたみたいなぺったんこよりマシよ!」
「むきーーーーっ!!」
「"・・・あの・・・試合始まってますが・・・。"」
プリネラとマルバスは開始の銅鑼が鳴ってからその場で言い争っていた。
「なあ、プリネラと戦うあの小さいのは?」
「あれは第11部隊隊長マルバスです。」
「なんの魔物なんだ?」
「マルバスの種族はグレムリンです。」
「たしか第11部隊って魔法に特化した部隊だった・・よな?」
「はい、その通りでございます。」
「グレムリンって魔法が強い種族なのか?」
「グレムリンは魔法は使いますが強いって程ではない種族でございます。」
「じゃあ隊長ってことは・・。」
「はい、マルバスは才能に恵まれ、且つ並々ならぬ努力で現在の隊長の地位まで上りつめました。」
やっぱり才能あっても努力はするんだな・・。
それでちゃんと隊長になるんだからすごいな。
「プリネラも魔法を得意とするし、この戦いは魔法勝負か。」
「そうですね。どちらの魔法が上か・・・。」
信次たちが冷静に話している最中も舞台の上では魔法ではなく口で言い争いが続いていた。
「だから何度も言っているでしょ!あたしは子供じゃないの!わかる!?こう見えても軽く30は生きてるのよ?あんたみたいな乳だけ発育良いお子ちゃまとは違うのよ。」
「30!?以外!!でも・・30生きてるのにその身長に・・・胸って。」
「むきーーーっ!あたしはグレムリン族!うちの種族はみんなこうなのよ!!あんたの種族だって本当は同じようなもんでしょーが!」
「そうだけど私は違うし~♪」
「この突然変異体めーー!・・・・ま、まあいいわ。今は試合。あんたとあたしの格の違いってものを見せてやるわ。」
「私だって魔法には自信あるわよ?」
「・・・あたしは魔法特化の第11部隊隊長だぞ?」
「!!」
マルバスは突如両手から火属性魔法を放つ。
プリネラも咄嗟に反応して火属性魔法を放ち相殺。
しかしプリネラの前に居たはずのマルバスは既に居なかった。
「上!!」
上空に飛び上がったマルバスは土属性の魔法を発動しており、上に視線を逸らしたプリネラの足に絡みついて動きを封じる。
「!!」
「“火炎の雨”!」
プリネラの頭上から火炎の雨が降り注ぐ。
「“土の監獄”!」
プリネラは自身に土の球体を覆い防御。
「“土の針”!」
球体の中で魔法を発動。
球体の外側からマルバスに向かって土の針が複数本伸びる。
「こんなもの!」
横に旋回し土の針を回避・・・しかし、
プリネラの操縦によって針たちがマルバスに向かっていく。
「げげっ!?」
プリネラは球体の中から魔力探知でマルバスの位置を把握。
マルバスの魔力を追いかけるように針たちを操縦していた。
「やるね~。でも!“突風の刃”!」
風の刃が土の針を切り裂く。
「あのマルバスってやつ・・・プリネラと属性もろ被りだな。」
あと体に羽あるし、姿も被ってる・・。
「ええ、火・土・風の3属性扱えること自体恵まれていて凄いのですが、ただ・・。」
「“稲妻”。」
マルバスの指先から稲妻が迸る。
稲妻はプリネラの土の監獄へ飛んでいき爆発。
「ちょっ!?雷って!」
プリネラは一足早く抜け出しており被弾せずに済む。
「マルバスは火・土・風・・そして雷の4属性を扱えます。」
「4属性!?」
「ちょっと!雷も使えんの!?ズルいわよ!!」
「それがあたしの授かったものなんだかしょうがないでしょー。」
マルバスは笑みを浮かべる。
「“突風の矢”!」
プリネラはマルバス目掛けて5本の突風の矢を放つ。
しかし、矢はマルバスには届かずに打ち消されてしまう。
「!?」
「“雷の衣”。」
バチバチとマルバスの体を雷のオーラが纏う。
矢は雷のオーラに触れて消されてしまった。
「そんなのあり!?」
「いくよ!」
そう言うとマルバスは上空からプリネラに向かって飛んでいく。
あの雷を纏ってる体に当たったらマズイわ。
防御を展開して回避しつつ私の攻撃を当てる!
「“土の障壁”!」
プリネラはマルバスが突っ込んでくるタイミングを見計らい、雷属性に有利な土属性の壁を生成。
「土は雷を通さないわ!」
「知ってる。・・でも威力が高ければ相性悪くても問題ないよ!“稲妻の強弓”!」
強烈な雷の弓矢が壁を粉々に砕く。
「きゃああああ!!」
プリネラは壁を生成して回避の準備をしていたが弓矢の速度が速すぎて回避が間に合わなかった。
「"ヒットォォォォ!!!マルバスの魔法がプリネラにヒット!!これは強烈な一撃だぁぁ!!"」
しかしプリネラはすぐに態勢を立て直して上空へ移動。
「“双子の竜巻”!!」
「これは予選で見せた魔法・・・だけど。」
マルバスは両手を広げる。
「“無風”。」
マルバスが魔法を発動させると、プリネラが放った竜巻がみるみるうちに静かになり、そして消えた。
「えっ!?」
プリネラは驚いた表情を見せる。
「クガン、今のはなんだ?」
「あれは“無風”といって、風を無風に変えることができるマルバスの固有魔法でございます。」
「ということは・・。」
「はい。プリネラ殿の風魔法はマルバスには通用しません。」
固有魔法はその者のみ扱うことができる魔法。
誰にでも固有魔法は有る訳ではなく、希少な魔法である。
「あたしには風魔法は効かないよ~。」
「そんなのあり・・?」
「どうする?」
「そんなの・・・風無しでやってやるわよ!」
プリネラは舞台に降りる。
「“土巨人の拳”!」
マルバスの両脇の地面から大きな腕が現れる。
「!!」
そして大きな両腕はマルバスを叩きつけた。
だが、マルバスは後方に回避。
「そこっ!“地面の拘束”!!」
プリネラはすかさず魔法を発動。
マルバスの足元の地面が変形し拘束する。
「まだっ!“土の監獄”!!」
拘束したマルバスを球体で包み込む。
「“火の矢”!!」
普段より数倍の魔力を込めて発射。
強烈な火の矢が真っすぐ飛んでいく。
「・・・“火の矢”!!」
マルバスは球体の内側から魔法を放つ。
マルバスが放った矢は土の監獄を突き破った。
共に放ったのは同じ魔法だったがマルバスの方が断然強く速く、プリネラが放った矢を飲み込む。
そしてそのままプリネラの元へ飛んでいく。
「きゃあああああ!!!」
激しい轟音を響かせ爆発。
プリネラは吹っ飛ばされ舞台に落ちる。
「・・う・・・。」
「あなた、センスは素晴らしいわ。その若さでその豊富な魔法の種類。だけど・・・まだまだ経験不足だし、なによりあたしとあなたとでは魔力量に差があるわ。」
「これが隊長か・・。」
「さすが魔法特化の第11部隊隊長・・・。伊達ではないですね。」
プリネラも他の魔物と比べて魔力量は多い。
だが、あの隊長はそのさらに上を行っている。
こればかりは年月の差ってやつがでてるか・・・。
だけど・・・。
「・・そ・・そんなことわかってる・・。」
プリネラが必死で立ち上がる。
「あなたと私じゃ差があることなんてわかってる・・・。」
「じゃあもう諦めなって。」
メルがあんなボロボロになってまで戦ってた・・・。
あんな戦いを見せられて・・・。
なんか差をつけられちゃったなって思っちゃったのよ・・。
だから・・・。
「だからこそ・・・」
メルと一緒にあの人と共に並んで歩んで行きたい・・・。
あの人の傍で一緒に戦えるために・・・。
「ここで私自身の限界を超えてあなたに勝つっ!!」
「簡単に諦めてはくれないのね。」
「諦めてたまるもんですか。これは・・・私の意地よっ!!」
「・・・いいね♪」
立ち上がったプリネラの勇姿を見て観客は大盛り上がり。
「"まだ戦いは終わらなぁーーーい!!さあここからどんな戦いになるのか!見ものだぁ!!"」
「・・・じゃあいくよ?」
「いつでも来なさい!!」
両者構えをとる。
「“落雷”!」
マルバスが雷属性の魔法を発動。
プリネラがいる一帯の上空から雷が落ちる。
だがプリネラは咄嗟に回避。
「“雷鳥の猛追”!」
鳥の姿をした雷の集合体がプリネラ目掛けて飛んでいく。
「“土の障壁”!」
プリネラは土の壁を次々に生成。
しかし、雷鳥の勢いは弱まらず、壁を次々と破壊して突き進む。
考えろ、考えろ、考えるのよ私!
真正面からやり合っても今の私の力じゃ勝てない・・・。
プリネラはリムドに教えてもらったことを思い出す。
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「自分より格上の魔法使いと対峙した時、何をするべきか?」
「ええ、近接タイプのメルとの修行も凄く勉強になる。けど私と同じ魔法使いで、しかも私より格上との戦闘になった時どうすればいいのかなって。」
「まぁ力量が明らかに格上の場合は本当は逃げた方が得策じゃが、逃げる状況でなく、何とか打開せにゃならん場合もある。」
「ふむふむ。」
「そん時は頭を使え。考えるのじゃ。」
「考える?」
「そもそも魔法使いは頭が良くないとダメじゃ。魔法とは知ってる通り頭でイメージし、イメージしたのを魔力で具現化したもの。距離や速度、威力も自身がイメージし計算して放つ。じゃから常に頭を使う。それが自身より格上だった場合は尚更。そういった時はいかに相手の裏を取ることが出来るのかが勝敗に関わってくるぞ。だから考えろ。必死に、勝利への突破口を見出すのじゃ。」
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頭を使え!考えるのをやめるな!
活路を、突破口を見出すのよ!
「しぶといね。それじゃあ・・もう一羽出すよ!」
マルバスはもう一度“雷鳥の猛追”を発動しプリネラに向けて飛ばす。
2羽の雷鳥がプリネラを追う。
上空へ逃げても雷鳥は追尾してくる。
「追ってくる!?まさか・・。」
「操縦を使えるはあなただけじゃないってことよ。」
2羽の雷鳥がついにプリネラを捉える。
「きゃあああ!!」
激しい電撃がプリネラの体を走り、その衝撃で舞台に落ちる。
「"これもクリーンヒットォォォ!!!"」
「どう?これでわかった?今のあなたではあたしには勝てないの。」
「・・・・ま・・・だ・・・。」
「!」
「・・まだよっ!!“落とし穴”!」
マルバスの真下に穴が開き、マルバスが落ちる。
「なっ!?・・このっ!」
落ちたが羽を広げてすぐ上昇して抜ける。
だが、穴から抜けた直後に上から業火球が降り注ぐ。
「小賢しいね!」
プリネラの業火球を業火球で相殺。
「“突風の矢”!」
矢がマルバスに向かって飛んでいく。
「あたしには風は効かないって言ったよね?“無風”!」
無風によって風の矢が消失。
マルバスはそのまま地面に着地しようとする・・・しかし、
「“落とし穴”!」
再度落とし穴の魔法を発動しマルバスを穴に落とす。
「また!?」
先ほどと全く同じ状況となった。
マルバスは飛び上がり、そこに業火球を放つ。
その業火球に対して業火球で相殺。
そこを突風の矢で射抜こうとするが直前で無風によって矢は消される。
それを何度も繰り返した。
そして舞台は穴だらけになる。
「しつこいっ!!」
マルバスは雷のオーラを纏い一気に放電。
業火球を爆発させる。
「来た!“土巨人の拳”!」
「!!」
タイミングを見計らっていたかのようにプリネラは地面から大きな腕を生成しマルバスを殴りつけた。
殴りつけられたマルバスは穴の中に飛ばされる。
「このっ!」
舞台が地鳴る。
雷のオーラを纏ったマルバスが地中を掘り進んで地上へ出てきた。
「!!」
マルバスが地上へ戻ってきた時、プリネラの周りには沢山の大きな炎の塊が浮かんでいた。
「今までで大分魔力使ったはずなのに・・まだそんな力があるなんてね。でも、もう限界じゃない?」
「はあ、はあ・・・そうね。もう、これが最後になるわ・・。」
「これがあなたのとっておきってわけね。」
「“業火の流星群”!!」
舞台全体に炎の塊が流星の如く降り注ぐ。
そして操縦で無数の炎の塊を操りマルバスへ向けて落とす。
プリネラの鼻からポタポタと血が垂れていた。
「限界だ!序盤から魔法を連発し、ここに来て高位魔法を放ち、高位の操縦まで使ってる!嬢ちゃんの許容範囲を超えてしまっている!」
バリアードが焦った表情になる。
「ここで・・・・今の私の限界を超えるっ!!」
「限界なのにまだ高位魔法を使うなんてね・・・。やっぱりあなた良いわ!!」
マルバスは深呼吸し、両手を大きく広げる。
両手に雷を集中。
そして両手を合わせて大きな鎚を形成。
「“雷神の鎚”!!」
向かってくる炎の塊に真正面から鎚をぶつける。
凄まじい轟音を響かせ鎚からは大量の雷が放出。
放出された雷は他の炎の塊を砕き爆発。
「やあぁぁぁぁっ!!」
マルバスは力一杯鎚を振り抜きマルバスへ向かって落ちてくる炎の塊を全て破壊した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
「ふう・・これであなたの最後のとっておきは終わったわね。あたしの勝ち!」
(いかに相手の裏を取るかが勝敗に関わってくる・・)
「はぁ、はぁ・・全力で向かってくれて・・・ありがとう。おかげで・・裏を取れたわ。」
次の瞬間、マルバス後方の穴から1つの炎の塊が勢い良く飛び出してくる。
「!!」
その穴はマルバスが掘り進んで地上に開けた穴。
プリネラは操縦で1つの炎の塊を穴の中に入れてタイミングを見計らって飛び出させたのである。
「(しつこい位に無数に穴を開けて落としてたのは、あたしにわざと舞台と穴を貫通させるため!?)」
「・・あなたなら必ず真正面から向かってくると思ったわ。」
「(全てはこの一撃を食らわせるために!?)」
マルバスは突如出てきた炎の塊との距離が近すぎて反撃の態勢が取れなかった。
「操縦で大量の炎の塊をマルバスに向けて飛ばし、且つその中の1つを穴に潜ませていた・・。なんという繊細な技術・・・。」
クガンが驚いた表情を見せる。
そして後方から飛び出して来た炎の塊がマルバスに被弾。
その瞬間、大きな爆発が起きる。
場内は静かになり、皆が固唾を飲んで戦況を見つめる。
爆発による煙が晴れると・・・
マルバスは立っていた。
反撃は出来なかったが咄嗟に防御魔法を展開。
完璧な防御では無かったが致命傷には至らなかった。
「・・く・・そ・・惜しかった・・な。でも・・一本取れた・・。」
プリネラはフラフラな状態で立っていたが、ついに力尽きて倒れる。
「危なかった・・。あと一瞬反応が遅れてたら・・どうなっていたのやら。」
「"プリネラ戦闘不能ォォォ!!したがって勝者は・・・第11部隊隊長、マルバスゥゥゥゥ!!!"」
わーッと歓声がわき起こる。
「救護班!早く彼女に回復を!」
マルバスが救護班を呼び立てる。
「魔力を使い切ってる!このままだと危ないから体の治癒より先に魔力の回復を優先して!」
「は、はい!」
救護班はその場で倒れているプリネラに魔力を分け与える。
「凄い戦いでした・・。メルの嬢ちゃんといい、プリネラの嬢ちゃんもあそこまで戦えるとは・・。さすが加藤信次様の従者でありますな。」
「俺の従者だからとは関係ない。メルもプリネラも自身で強くなろうと思っていたからだ。」
「嬉しそうですね。」
「・・・そうだな。」
信次はそう言って席を立つ。
プリネラは救護班が魔力を分け与えてくれたお陰で若干フラフラだが立てるようになった。
「救護室へ向かいましょう。」
「大丈夫、一人で行けるわ・・。」
プリネラは一人で舞台から降りる。
「凄い試合だったー!!」
「よく頑張った!!俺は感動したー!!」
「カッコ可愛いかったぞーー!!」
観客席からプリネラに対して多くの賛辞の言葉が飛び交っていた。
それを聞いてプリネラは嬉しそうに手を振って退場した。
そして救護室へ向かうために歩いていると、
「・・あ・・信次様。」
信次が迎えに来ていた。
「お疲れ。」
「・・あはは、負けちゃった。」
「見ていたよ。」
「私もまだまだだな〜。」
信次はプリネラに近寄って頭を優しく撫でる。
勝った時は「頑張った」「良かった」という言葉はかけられるが、負けた時その言葉はただの慰めにしかならない。強くなろうとして負けたプリネラに対して今ここでかける言葉はたった一つ・・・。
「・・・もっと強くなろう。そして次は勝とう。」
「・・・・うん。・・悔・・しい。」
プリネラは試合の緊張から解き放たれ感情が溢れ出る。
悔しそうに唇を噛み締め涙を流す。
信次は黙ってプリネラの頭を胸に抱き寄せる。
「プリネラーーーー!!」
後ろから勢い良くプリネラに抱きつく者がいた。
メルである。
「メ、メル!?」
「凄かったのですぅ!!プリネラ凄かったのですぅ!!」
メルは何故か泣いていた。
「なんであんたが泣いてのよ。」
「だって、プリネラがあんな頑張ってたのを見てたら涙が止まらないのですぅ。」
「たく、涙と鼻水拭きなさいよね。」
「うん。」
メルはそう言うとプリネラの服で鼻をかむ。
「ちょっと!なんで私の服でかむのよ!!」
プリネラに笑顔が戻る。
「お取り込み中ごめんよ〜。」
プリネラたちの前に現れたのはマルバス。
「いやー、いい戦いだったね!まさかあなたがあそこまでやれるとは正直思わなかったよ!」
「ここには何しに?」
「魔人様もいらっしゃることだし、率直に言うよ?・・プリネラ、あたしと一緒に11部隊に来ないかい?」
「!?」
「あなたの才能を見込んで一緒に戦ってみたいと思ったの。どう?あなたはもっと鍛えればもっと高みへいける。」
マルバスの突然の部隊への勧誘。
信次とメルはプリネラの顔を伺う。
「その誘い・・・悪いけど断るわ。」
「!」
「私はもっと信次様とメルと一緒にいたい。・・ううん、一緒に居たいってことだけじゃなく、一緒に強くなっていきたいの。この人たちと歩んでいくって決めたから。」
「そっか・・。そこまで言わせるなんて、ちょっと魔人様に妬けちゃうな〜。・・・でもまたあなたと一緒に戦える日が来るのを楽しみにしてるわ!」
「そうね。今度は負けないくらいに強くなってみせるわ。」
「んじゃね〜!」
マルバスは手を振って去って行った。
「・・・ま、お前は救護室行って回復してもらって来い。」
信次はプリネラの頭をポンポンと触る。
「うん!そうするわ!・・メル!次、頑張りなよ!」
「が、頑張るのですぅ!」
そう言ってプリネラは駆け足で救護室へ向かった。
「メル、お前の次の相手は・・・。」
「信次様!メル頑張るのですぅ!・・兄さまが相手でも全力出すのですぅ!」
「・・・そうだな。頑張ってこい。」
「はい!」
メルは元気に返事をして信次と別れる。
信次は席へ戻った。
そして武闘大会本戦第二回戦が始まる・・。




