第20話「予選通過者決定」
第20話になります!
拙い文章ですがよろしくお願いします(*'▽')
第28組予選。
リング上に残ったのは第1部隊副隊長モレク、第5部隊副隊長補佐キリマス、そしてメル。
「"この三つ巴戦を制するのは誰だぁーー!!"」
会場は熱気に包まれる。
「メル、お前は後で俺がやる。・・まずはお前からだモレク。」
「ふん、補佐ごときが吾輩に勝てるとでも?」
モレクとキリマスが互いに睨み合う。
「上位種であるオーガを舐めるなよ?」
「貴様こそ吾輩を舐めるでないぞ?」
互いに距離を詰め、双方の拳がぶつかり合う。
拳のぶつかり合いを制したのはキリマス。
モレクが後方に勢いよく飛ばされる。
キリマスは強化魔法を自身に付与。
パワー・スピードを底上げし、モレクに追い打ちをかける。
「・・ふん、力任せの脳筋種族が。“水の金槌”!!」
モレクは水属性魔法を発動。
水で生成された大きな金槌がキリマスを打ち落とす。
「ぐはっ!!」
「“水蛇の牙”!!」
モレクは続けざまに水属性魔法を発動。
蛇の姿をした水がキリマスに襲い掛かり噛みつく。
「ぐっっ!!・・・だあぁ!!」
だが、キリマスは噛みついた蛇を力ずくで引きは剥がし、モレクへ突進。
「“水の障壁”!!」
モレクは水の壁を生成。
しかし、
「だらあぁぁ!!!」
キリマスは拳を振り抜き、壁を破壊。
そして勢いよくモレクの顔面を殴ってリング外へ吹っ飛ばした。
会場は大盛り上がり。
「"ここで第1部隊副隊長モレクが脱落ーーー!!!残るはキリマスとメルだけだぁーー!!"」
「・・・待たせたな。行くぞ・・!」
その瞬間、キリマスの目の前に拳が現れた。
キリマスは避け切れず顔面にパンチを食らう。
後方へ吹っ飛び、リング外へ出そうになるがギリギリ踏みとどまる。
「がっ、はあ・・・早い。」
メルはその場でステップを踏み、一気に詰め寄る。
キリマスはタイミングを合わせて拳を振るが、メルはバックステップで避ける。
「ちっ!このっ!」
次は逆にキリマスがメルへ詰め寄り連打。
しかしメルは全ての攻撃を躱し一発一発カウンターを浴びせる。
「ぐっ・・はっ・・!?」
モレクは顎などの急所に何度もカウンターを食らい、意識が朦朧。
「やあああ!!」
メルのドロップキックが炸裂しモレクはリング外へ吹っ飛ばされた。
「"・・・決着ゥゥゥゥ!!第28組通過は・・・加藤信次組のメルだぁぁ!!"」
会場は今日1番の盛り上がりを見せた。
-- 観客席 --
「加藤信次様!メルの嬢ちゃんがやりましたよ!」
「ああ。」
メルはもともと目が良い。
そこをさらにリムドとの修行で避ける技術を相当鍛えたんだな・・。
この戦いで1発も攻撃を食らってないし、修行の成果がちゃんと出たな。
会場の控えフロアでこの結果を見てバジェラはグッと唇を噛みしめていた。
「キリマスの野郎・・・落ちこぼれのメルなんかに負けやがって。」
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大会の予選はこの後も続き・・・・
最後の組となった。
「"さあ!これが最後の予選です!予選第32組!!"」
出場者がぞろぞろとリングに上がってきた。
その中にプリネラがいた。
「プリネラは最後の組だったのか。」
「加藤信次様、あれが旅の道中で拾ったインプですか?」
「変な言い方はよせ。拾った訳じゃない。」
「いい女ですね!いやー、いい女だ!」
バリアードが大会が始まってから興奮し続けている。
こんな奴だったっけ・・?
プリネラは離れた場所から観てる俺を見つけて手を振った。
俺はそれに対して少し恥ずかしながら小さく手を振り返した。
「"では参りましょう!予選第32組スターーーーーート!!"」
開始の銅鑼が鳴る。
開始と同時にプリネラは上空へ飛翔。
「先手必勝よ!“双子の竜巻”!!」
リング上に大きな二つの竜巻が出現。
多くの魔物がその竜巻に飲まれていく。
「小癪な!」
出場者のうちの1人がプリネラ目掛けて飛ぶ。
鋭い爪で引っ掻こうとしたが、
「“風針の盾”!!」
「がはっ!・・・・。」
プリネラの風の針がついた防御魔法であえなく撃沈。
竜巻によってほとんどの魔物がリング外に飛ばされ退場。
残った魔物は10体ほど。
プリネラは引き続き上空を飛行している。
「あの上のインプの女が邪魔だな。“火の矢”!」
「“土の棘”!!」
「“弾丸の雨”!!」
火属性魔法の矢が放たれ、土属性魔法の棘が地面からプリネラに向かって伸びる。そして魔力弾の雨がプリネラを襲う。
3つの攻撃がほぼ同時にぶつかり上空で爆発。
・・・しかしそこにプリネラの姿は無かった。
「なに!?」
「・・・ここよ、こ~こ♪」
「!!」
「“土の監獄”!」
いつの間にか3人の背後を取り、3人を土の球体で包む。
そして風魔法で球体もろともリング外へ飛ばした。
プリネラの活躍に会場はさらに盛り上がる。
「プリネラのやつ・・やるな。」
「ええ、攻守バランスのとれた魔法。センスが抜群ですね。」
しかも魔法だけじゃなくて背後に回るあの移動速度・・。
風魔法か何かで加速したのか・・?
「あと・・・5人。」
プリネラが3人を相手している間に脱落者が出ていて人数が減っていた。
「これでいくわ!・・“業火球”!!」
プリネラは火の玉を5つ生成。
それを5人に向かって放つ。
「・・!!」
飛んできた火の玉に気付き5人は避ける。
「高い威力がある魔法だが、速さはそれほどでもない!当たらなければ意味が無い!」
「まずはお前から退場してもらうぞ!!」
5人が一斉にプリネラへ襲い掛かる。
「ふふん♪」
その瞬間、5人の背中に火の玉が命中。
「がっはっ!?」
「な、なにっ!!?」
「"おーーーーっと!!これは避けたと思ったのが戻ってきて命中ーーー!!これは凄い!!"」
「あれは・・!?」
バリアードがバッと席から立ちあがる。
「あれは・・・“操縦”ですな。」
バリアードとクガンが驚いた表情をしている。
「クガン、“操縦”ってたしか・・高位魔法だったよな?」
「はい。その通りです。“操縦”は魔法の軌道をコントロールする魔法・・扱いが難しいものです。」
「インプのお嬢さんはその高位魔法も使えるか!?しかも5つ同時に!?」
「かなりの魔力量、そしてセンスが高いと見えます・・。」
軍事教官のバリアード、魔法指南のクガンがプリネラを絶賛していた。
その光景を見て誇らしく気持ち良くなった。
プリネラはこの“業火球”で敵を倒すのが目的ではなく、5人全員に命中させて敵の注意を逸らし、隙を作ることを目的としていた。
プリネラの狙いは成功。5人とも命中したことによって隙が生まれた。
「“風竜の息吹”!!」
風属性の範囲魔法で一気に薙ぎ払う。
「しまっ・・!!」
5人全員、リング外へ放り出された。
この瞬間、プリネラの勝利が確定。
「"決着ゥゥゥゥ!!予選第32組勝者は・・・加藤信次組プリネラだぁぁぁ!!!"」
会場は大盛り上がり。
「さすが加藤信次様の傍付きでありますな!メルもプリネラも強い!」
「ああ。」
正直、あそこまで出来るとは思ってなかった・・。
プリネラは倒すことではなく、リング外へ落とすことを優先していた。
リング外に落ちたら即負けというルールを見事に有効活用した戦法。見事だ。
「"さぁさぁ!!これにて無事全予選が終了だ!!本戦は明日!!明日も熱い戦いをみせてくれよな!!・・・おっと、ここで我らが魔王サタン様からお言葉があるぞォォォ!!"」
実況席に魔王サタンが来ていた。
マイクを手に取り、
「"え~、テステス・・。まずはみんなお疲れ様。予選から熱い戦いを見せてもらって凄く楽しいよ。この武闘大会は負けてしまった者も勝った者もぜひ楽しんでもらいたい。明日も楽しみにしてるよ。"」
サタンの言葉によって会場はこの日一番の盛り上がりを見せた。
こうして全予選が終了し、本戦出場者が決定した。
<本戦出場者>
予選第1組勝者:【第11部隊】副隊長マルファス
予選第2組勝者:【第8部隊】隊長ロマリウス
予選第3組勝者:【第5部隊】副隊長バジェラ
予選第4組勝者:【第1部隊】隊長ナキア
予選第5組勝者:【第6部隊】副隊長ゼパル
予選第6組勝者:【第18部隊】副隊長ゴルゴン
予選第7組勝者:【第13部隊】隊長ロルアル
予選第8組勝者:【第11部隊】シャリス
予選第9組勝者:【第2部隊】隊長フルー
予選第10組勝者:【第7部隊】副隊長補佐タンムーズ
予選第11組勝者:【第12部隊】副隊長ペネティア
予選第12組勝者:【第6部隊】隊長モラクス
予選第13組勝者:【第18部隊】シャイリース
予選第14組勝者:【第14部隊】副隊長マルコシアス
予選第15組勝者:【第18部隊】隊長ピエル
予選第16組勝者:【第5部隊】隊長キド
予選第17組勝者:【第18部隊】ロア
予選第18組勝者:【第7部隊】隊長ペネット
予選第19組勝者:【第18部隊】ゲーデ
予選第20組勝者:【第18部隊】レラハブ
予選第21組勝者:【第5部隊】バスカイプ
予選第22組勝者:【第12部隊】隊長リリン
予選第23組勝者:【第2部隊】ベプラスモーン
予選第24組勝者:【第14部隊】隊長ビフロンス
予選第25組勝者:【第11部隊】隊長マルバス
予選第26組勝者:【第11部隊】副隊長補佐ブーネ
予選第27組勝者:【第8部隊】副隊長ラムルムル
予選第28組勝者:【加藤信次組】メル
予選第29組勝者:【第13部隊】副隊長パディン
予選第30組勝者:【第1部隊】フォカロル
予選第31組勝者:【第17部隊】隊長バティン
予選第32組勝者:【加藤信次組】プリネラ




