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第2話「魔王サタン」

第2話になります。

拙い文章ですがよろしくお願いします( ´_ゝ`)

俺が召喚させられた広間から離れ、ユリウスに連れられて階段を登っていく。

どのくらい登ったのかわからないくらい登った。



「着きましたぞ。」



そしてついに魔王が居る部屋まで着いた。

目の前に映るのは馬鹿でかい扉。



「魔王様。ユリウス、入ります。」



そうユリウスが言うと扉が開く。

部屋は馬鹿広く、天井も高い。

扉から一直線に赤いカーペットが敷いてあり、カーペットの先には玉座が見える。

玉座には誰かが座っていたが遠くて顔が見えない。

おそらくあれが魔王だ。


玉座の前に3人いるのが確認できた。

黒髪ロングに金色の短髪とスキンヘッドの後ろ頭が見える。



「なぁ、前にいる3人ってもしかして・・」


「はい。あの御三方が貴方様と同じ魔王候補者でございます。」



そう言うとユリウスが先頭を歩き、俺は後ろをついていく。

少しばかり歩き、玉座の前にいる3人の横に並んだ。

そして3人の顔を拝見。



「!!!」



・・驚いた。

3人ともどう見ても人間にしか見えない。

金髪はアメリカ人みたいな男で目つきが悪い。

スキンヘッドはどこかの軍隊にいそうな屈強な男。

黒髪ロングに関しては女性で日本人みたいな顔だ。



「魔王様。最後の候補者であられる加藤信次様をお連れ致しました。」


「・・来たね。」



玉座に座っていた男が立ち上がると横の3人とユリウスが膝を立ててしゃがみ込んだ。


え?これって同じことやらないとまずいやつか?

周りを見て少し戸惑っていたが、



「いいって!いいって!別に楽にしなよ。」



そう声を掛けると皆立ち上がった。



「異世界からの召喚者、加藤信次君。初めまして。私が魔族の王、サタンです。」



この人が魔王・・

普通の人間にしか見えない。

見た目も若いし、スマートな顔してる。



「は、初めまして・・。加藤信次・・です。」


「ははは!そんな固くならなくてもいいよ!私は固っ苦しいのは苦手なんだ。」



なんてフランクな魔王だ。

魔王ってもっと厳格で悪に満ちた感じだと思っていたが・・。

想像していたイメージと全然違う・・。



「ついに最後の候補者が来たね。私の余命も少ししかないからね。これでようやく私の後継者が決まるってわけだ。」


「あ、あの・・」


「ん?どうしたんだい?」


「いや・・魔王・・さまの余命があまり無いというのは聞いていたけど、今見ると普通に元気そうに見えるんだが・・」



つい率直に思ったことを質問してしまった。

周りの方たちが俺のことを凝視する。



「か、加藤信次様!魔王様に対してそのような口の利き方は!」


「ユリウス、大丈夫だよ。・・君は先刻ここに来たばかりだったから知っていないのも無理はないね。・・私はこう見えてすでに500年ほど生きているんだ。」


「500!?」


「魔人にも寿命はある。只、人間と比べると寿命は長い。エルフには負けるけどね。」



この世界にはエルフもいるのか・・

本当に異世界なんだなここは。



「魔人の寿命は大体500~600歳くらいだ。」


「600までならまだ全然大丈夫じゃ?」


「命が尽きるまであと100年ほどだけど、100年なんてあっという間だ。」


「そ、そういうものなのか・・」


「それに魔人は500を過ぎた辺りから魔力が著しく衰えてしまう。だから魔王を引き継いでもらう必要がある。」


「・・もう一つ質問いいですか?」


「なんだい?」


「俺はさっきまで人間だった・・・だけど魔王様もここにいる候補者って人たちも俺と同じような普通の人間にしか見えないのだが。」


「それは私もそこの3人も元人間だからね。そして魔人とは人間が“闇落ち”した姿のこと。」


「“闇落ち”?」



“闇落ち”とは人間が人間に対し絶望・憎悪・嫌悪・恨み・怒りなどといった負の感情の限界点を超えた場合、魔人に転身する現象のことらしい。



「私は人間に絶望して約500年前に“闇落ち”して魔人に転身した。あの時のことは今でも覚えているよ・・。突如黒い霧のようなものが体を包み、頭の中に自分だけのではなく、知らない誰かの分まで何千、何万という様々な人の負の感情が頭の中に一気に詰め込まれている感覚だった。・・・“闇落ち”して必ずしも魔人に転身するとは限らない。大体が負の感情に呑まれ、苦痛に耐え切れず死に至る。仮に死ななずとも廃人と化してしまう。」


「それを耐えた者が魔族になる・・・」


「そう。“闇落ち”を耐えた者が人間を超越した存在、魔人になる。」


「じゃ、じゃあ・・ここに居るこの3人も耐えたってことだよな?」


「そうだね。」


「お、俺はその“闇落ち”ってのになってないんだが?黒い霧に包まれたこともない。」


「それは君が召喚されている最中に発生していたからだ。」


「え?」


「君の世界からこちらの世界に召喚されるまでの間で“闇落ち”していたという事だね。」


「じゃあ、気付かない間に魔人になってたのか・・」



正直、運が良かった。

魔王の話を聞いてる限り“闇落ち”ってのは恐ろしくやばいもの。

俺がそれを体験したら間違いなく耐え切れなくて死ぬな。

・・・意識無い時になってくれてありがとう。



「質問は以上かな?」


「と、とりあえずは・・」


「よし!では候補者諸君!」



魔王が手をパンパンと叩く。

皆が一斉に魔王の方へ顔を向け、表情が変わる。



「この4人の中から次期魔王となる者を10年後に決める。次期魔王になるべく鍛錬を重ね、己を磨くように。そして戦功をあげてくれ。では行くがよい!はははは!」



魔王の高らかな号令の後、候補者4人は魔王の部屋から退室した。

退室したあと扉の前で候補者たちが立ち止まる。



「ちっ、異世界からの魔王候補者だと?舐めやがって。」



そう言ってきたのは金髪の男。鋭い目つきで睨みつけられる。



「ザイロ、カナリア。お前らにも負けるつもりは無いからな。邪魔したら殺す!10年後!魔王になるのはこの俺様だっ!」


「ギルティ程度、我の敵ではない。」


「んだとコラァ!!」


「・・・・。」



どうも候補者同士は仲が良いという訳では無いらしい。

殺伐とした雰囲気。

金髪の男はギルティでスキンヘッドはザイロ。そして女はカナリアという名前らしい。


カナリアは無言でどこかへ行ってしまった。

ギルティとザイロも言い合ったあと散り散りになった。


てか10年後に魔王決定?

10年も先かよ。

特に俺は魔王になりたい訳ではないのだが。

魔王に興味はないので好きにやらせてもらうとしよう。



俺が今一番興味があるのは“力”だ。

魔王は「魔人というのは人間を超越している」と言っていた。

ならまずどのくらいの力なのかを確かめてみる必要がある。

人間を滅ぼす、駆逐するほど力が本当にあるのかを。



だが、確かめるといってもどうすればいい?

魔人になったばかりで右も左もわからない。

魔王は魔力という単語を使っていたからおそらく魔法の概念はあるだろう。

それをどう使うのかもわからん。



「加藤信次様。」


「うわっ!!」



急に後ろから声をかけてきたのはユリウスだった。

そうだ。こいつに聞いてみよう。



「なあ、まだ俺自身の力について何もわからないんだけど教えてくれないか?」


「どういったことでしょうか?」


「まずこの再生能力について。」


「魔人の方にはもともと再生能力が備わっております。魔物の中にもその能力を持つものもおりますが数が限られてます。」


「魔物?魔人とは違うのか?」


「魔人は人間から成る存在で、魔物は大抵ミッドガルド中心にある“魔界樹”によって生み出されます。」


「お前は一見人っぽいけど魔人なのか?」


「いえ、私は魔物でございます。ですが私のように言葉を喋れる魔物は多くおりません。」


「その“魔界樹”から生み出される?魔物は交配とかしないのか?」


「人族のように交配して命が生まれる魔物は多くおりません。」


「でも、魔物でも交配して生まれる種族もあるのか。」


「はい。交配して生み出せる魔物は魔族の中でも高位種族のみです。大抵の魔物は“魔界樹”から突然生み出され、死んだら魂が“魔界樹”に戻りまた新しい魔物として生まれ変わるのです。」


「輪廻転生か。」


「そうです。それは人族も同じように死んだあと魂は人間側にある“世界樹”に一度戻り、新しい魂が体に宿るのです。ただし、人族は魔物に殺されたら“世界樹”には戻らず“魔界樹”に戻り魔物として生まれ変わるのです。」


「え!?」



人族は魔物に殺されたら魔物に輪廻転生するのか。

だとしたら魔物が人間を殺す理由がわかるな。

数を増やす為に人を殺す。

殺し尽くしたら魔物だけの世界になるってことか。



「人族が俺のような魔人に殺されたらどうなるんだ?」


「それは魔人も魔族ですので“魔界樹”に魂が戻ります。」


「じゃあお前も平たく言えば元人間ってこと・・だよな?」


「そうなりますね。只、人族の生前の記憶は“魔界樹”によって浄化されるので残りません。ですが、ごく稀に記憶が残っている者もいたという報告は過去にあります。」


「“魔界樹”と“世界樹”・・。だとしたら人族と俺たち魔族はその輪廻転生を阻止するために戦っているものか?」


「その通りでございます。長年、何千年に渡って魔族と人族は互いの樹を倒すために争っております。」


「人族の“世界樹”はどこにあるんだ?」


「“世界樹”は帝都グランバリアにあり、“世界樹”を中心として城や都市、防壁が形成されております。“世界樹”の周辺の防衛は人族最強の陣営で固められておりますのでこちらとて迂闊に手が出せないのです。」


「魔人は人を超越した存在なんだろ?人間なんてすぐ倒せるんじゃないのか?」


「人族は魔族と比べて数が圧倒的なのです。しかも年々人族の中から力や魔法に秀でた者も多く出てきております。人族の中には“勇者”と呼び、我々魔族の脅威となっている者もおります。」



勇者・・

この異世界には魔族に対抗できる勇者がいるのか。

本当にゲームや漫画の世界みたいだ。

だけど勇者って偽善者だろ?

世の為人の為に力を振るい、民衆から感謝され、自己満足に浸る存在だろ?

俺の世界にもそんな偽善者は腐るほどいたが結局は立場が悪くなったら逃げたり裏切ったりする。

人間ってそんなものだ。

他者のためと言っても結局は自分のため。

そんな奴は本当に嫌いで殺したくなる。


今までは殺したいと思ったけどそんな力は無かった。

暴力なんていつもされる側だったし、殺人は法律やらなんやらで国として禁止されていたという事もあったから。

だけど今なら・・。

今の俺ならできる。

法で縛られていないこの世界。

人を超越した魔人になった俺なら。


嫌いな人間を根絶やしにできる・・・・



「ユリウス。俺は再生能力以外に何ができる?」


「ほっほっほっ。加藤信次様。貴方様は既に魔人。肉体的に人間を凌駕しております。さらに魔力量も人族よりも他の魔物よりも圧倒的でございます。鍛錬を積めば「最高位魔法」も使用できますぞ。」


「最高位魔法!?」


「最高位魔法には一国を滅ぼせるほどの魔法も存在します。」


「・・・いいね。じゃあ鍛錬をしてみるかな。」



何かに対して努力するってことは今まで考えたこと無かったし実行することも無かった。

全てに絶望していたからな。

だけど今は無性に努力してみたい。

せっかく俺には力があるのだから。



「まず魔法がどんなものなのか知りたい。」


「では、修練場へ向かうとしましょう。」



こうしてユリウスに修練場まで連れて行ってもらうことになった。

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