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第19話「武闘大会」

新章突入!

第19話になります!

拙い文章ですがよろしくお願いします!(^^)!

魔王が軍の武闘大会を開催すると宣言。

大会にはメルとプリネラも参加することになった。



そして大会当日。

メルとプリネラが信次を起こしに来た。



「信次さまぁ~!信次さまぁ~!」


「信次様起きて。もう時間だよ。」


「・・・ふああ。・・もうそんな時間か?」


「凄いわよ。広場にもの凄い数の魔物が集まってるわ。」



信次は着替えて部屋を出た。

廊下から下を覗くと今まで見たことが無い数の魔物で溢れかえっていた。



「な、なんだこの数・・・・・ん?」



信次はふと視線をずらすと大きな建造物が見えた。



「・・・あんなの前にあったか?」


「造ったんだよ♪」



いつの間にか後ろに魔王サタンが立っていた。



「うわっ!・・気配無く後ろに立つな!」


「ははは!いい反応だね!・・・あれはコロッセオだ。土魔法が使える者を集めて造った武闘大会用の建物だよ。良い出来でしょ?」


「凄いのですぅ!!」



メルは興奮して目をキラキラさせて大はしゃぎ。

はしゃいで下に落ちそうになるのでプリネラがメルをしっかり支える。



「じゃあまた会場でね~♪」



上機嫌のサタンはそう言うと歩いてどこかへ向かって行った。



「・・・俺らも行くか。」


「はい!なのですぅ!」


「そうね。」



部屋から下に降り、1階の大広場に出る。

広場はまるで祭の様に賑わっていた。



「出店も並んでる・・・。てか魔物に出店の概念あるのか。」



多くの出店が建ち並び、よくわからない食材が並んでいた。

メルが凄く食べたそうにしているので3人で適当に出店に寄る。



「・・これなんの食べ物だ?」


「へい!らっしゃい!・・・やや!これは魔人様!ご来店ありがとうございやす!」


「この黒いドロドロした液体がついている食べ物はなんだ?」


「これはエリマキリザードの肉を焼き、黒タレをつけたものでございやす!」



エリマキリザード?・・エリマキトカゲみたいなものか?

この黒いタレも見るからに不味そうだ。

トカゲを丸ごと串で刺して黒い液体をかけている。・・・見た目がグロい。



「メルこれ食べたいのですぅ!」


「え!?マジ!?」


「では、そこのお嬢さんの分も含めて3本用意しますね。・・・どうぞ。」


「・・金は?いくらだ?」


「金なんていりやせんよ!魔物の祭は食べ放題飲み放題でございやす!」


「あ、そうなのか?・・・ありがとう。」



食べ物がタダで食えるなんて普通では有り得ないことだな。

人間は損得で動く生き物だからこういう事は絶対無理だろうな。

魔物だから出来るのだろう。

・・・だが、貰ったのはいいがこのグロさは食欲を無くす。


メルは躊躇なくグロテスクなトカゲを頬張る。



「お・・・。」


「大丈夫か!?吐け!無理するな!」


「美味しいのですぅ!!甘くて美味しいのですぅ!!」


「え・・?」


「うん。イケるわこれ。」



プリネラも普通の顔して食べてる。

魔物にはこのグロテスクさに全く抵抗が無いということか・・・?。



「信次様も食べるのですぅ!」


「・・・・う。」



・・・やはりダメだ!無理!

俺の体がこの食べ物を拒絶している。



「・・・俺はまだお腹空いてないからメルが食べてもいいぞ。」



食べたくないのでメルに嘘をついて譲った。



「わーい!」



メルは嬉しそうにトカゲの串を掲げて喜んだ。

その時、後ろにいた者にぶつかる。



「おい、なにしてんだお前。」


「ご、ごめんなさいなのですぅ。」


「・・ん?お前・・メルか?」



メルがぶつかった相手は角と髭を生やした大柄な魔物。

もしかしてメルと同じオーガか?



「はは!やっぱりメルじゃねぇか!・・おい、キド!メルがいるぞ!」



大柄のオーガが誰かを呼んだ。

すると群衆の中から1人のオーガが現れる。

その男は青髪ですらっとした体格。


見た感じでわかる・・・魔力は抑えてるがこの男は強いな。



「に・・・兄さま。」



兄さま?メルに兄妹いたのか?

初耳だ。



「メルか。久しいな。」


「に、兄さま・・。」


「どうした?久しぶりに会った兄を見てなぜ怯える?」



いつも元気なメルが下を向き、プルプル震えていた。

初めて見る光景。



「・・そういえばお前は魔人様の傍付きになったそうだな。」


「はい・・。お世話係に・・。」


「お世話~?はっ、じゃあ魔人様の下の世話もしてるってかぁ~?はっはっは!落ちこぼれのお前には丁度いいかもな!」



大柄のオーガが罵倒。

メルは下を向き唇を噛みしめていた。


このデカブツ・・・。

魔物は素直な生き物だが、出過ぎた発言はさすがに不愉快だな・・。


信次がスッとメルの前に立ち、大柄のオーガを睨む。



「!!」


「・・・バジェラ、高貴たるオーガ族の品位を下げる言動は控えよ。」


「す、すまねぇ・・。」


「貴方様が魔人様でいらっしゃいますね?」


「・・そうだが。お前はメルの兄貴なのか?」


「はい。私はオーガ族のキドと申します。いつも妹がご迷惑をお掛けしているかと思いますが・・。」


「迷惑なんかじゃない。」


「・・・。」


「メルはいつも俺たちを和まし、元気をくれる。いつも助けてくれる。大切な仲間だ。・・・おい、そこのデカブツ。」


「む・・。」


「さっきメルのこと落ちこぼれとか言ってたな?あんたらオーガの事情はよく知らんが・・・メルは強いぞ。この大会にも参加するから・・・宜しくな。」



信次はメルの頭を撫でて褒める。

俯いたメルは嬉しそうな顔を浮かべる。



「・・・行くぞ。」



キドたちが会場へ向かった。

その際、大柄のオーガのバジェラが後ろを振り向いてメルを睨みつける。

メルは今度は下を向かず堂々とバジェラの睨みに対して睨み返した。



「なんか嫌な感じよね。」


「・・メル、大丈夫か?」


「信次さまぁ・・ありがとうなのですぅ。」



メルはギュッと信次に抱き着く。



「あっ!ちょっとメル!くっつき過ぎ!」


「へへへ・・。」



オーガ族の中にも因縁めいたものがあるのは確かだ。

それにしてもメルが落ちこぼれ?

会った当初から十分強かったけどな・・。

だけどあれから旅をして、リムドとも修行してさらに強くなった。

見返すチャンスだな。



「メル、プリネラ。・・まあ、ほどほどに頑張れよ。」


「もちろん優勝狙うわ!」


「メルもー!!」


「いや、別に優勝目指さなくてもいいぞ?」


「信次様、何言ってるのよ!優勝したら豪華な褒美が貰えるし、尚且つ魔人様の従者として負けられないわ!」


「頑張るのですぅ!!」



メルとプリネラは大会に対し凄く燃えていた。



「"・・間もなく大会が開始されます。大会出場者はメインフロアに集まってください。"」



場内アナウンスが流れる。



「集まれってさ。行ってこい。」


「うん!じゃあ行ってきます!行こっメル!」


「はーい!」



メルたちは駆け足でコロッセオへ向かった。

信次はのんびり歩いてコロッセオへと向かう。


・・さて、俺はどこで観ればいいのか?


コロッセオをウロウロしていると、



「加藤信次様!」



大柄の男に声をかけられた。

その男は軍事教官のバリアード。



「バリアードか。久しぶりだな。」


「はい、お久しぶりでございます。」


「お前も出場するのか?」


「いえ、私は一応軍事教官の身ですから出場しません。大会に出るのは前線で戦っている者たちです。」


「どこで観戦すればいい?」


「幹部席がありますのでそちらで。」



バリアードについていきコロッセオの上まで登った。

登ると円状に広がる観客席の一部分が明らかに突出している箇所があった。

そこには顔馴染みのユリウス、そして魔法指南のクガンが座っていた。



「おお、加藤信次様。ささ、こちらにお座り下さい。」



ユリウスが席に誘導。

信次はユリウスやクガンの前の席に座る。



「クガンも久しぶりだな。」


「はい、お久しぶりでございます。あれから魔法の習得は順調でございますか?」


「・・・まあ、ボチボチ。最高位魔法に関しては全くだけど。」


「左様でございますか。只、焦る必要はありません。貴方様なら必ず最高位魔法を会得できると思っております。」


「ああ、のんびりやろうかと思ってるよ。」



信次は会場を見渡す。

このコロッセオは凄く大きい。

そして会場の熱も凄い。まだ開始していないのに盛り上がってる。

コロッセオの席はほぼ満席。



「それにしても凄い数だな。」


「全国に散らばった兵士を集めましたので。」



信次は後ろ向くと、ユリウスたちの後ろに座っている者たちを確認。



「なあ、お前たちの後ろに座っているのは?」


「あれは各部隊の統括でございます。」


「そういや、魔王軍の組織図的なもの全然知らないんだよな・・。」


「現魔王軍は18の部隊で編成されております。今大会では12の部隊が集まりました。後ろで座っているのが右から第1・第2部隊統括のアドラ。続いて第5・第6部隊統括のシャックス、第7・第8部隊統括のジズ、第11・第12部隊統括のフォルネウス、第13・第14部隊統括のラハブ、第17・第18部隊統括のムルムルでございます。」


「どの部隊が強いんだ?大会の優勝候補とかいるのか?」


「そうですね・・・。戦場では連戦連勝で今最も波に乗っている部隊は第5・第11・第18部隊ですね。」


「どういう部隊なんだ?」


「第5部隊はオーガ族が率いております。」


「あいつらか・・・。」


「オーガは戦闘能力に秀でている種族、その中でも部隊隊長のキドの戦闘能力は目を見張るものがあります。」



メルの兄貴が隊長か。

確かに内に秘めてる力はあったな。



「あとは第11部隊は魔法に特化した部隊となっており、戦場、特に大規模戦闘での威力は絶大。第18部隊に関しては少数精鋭で一人一人が高い戦闘能力をもちます。」



メルとプリネラは大丈夫だろうか・・・。

不安になってきた・・。



「"さあ!お待たせしました!第1回、魔王軍武闘大会を開催致します!"」



実況アナウンサー的な魔物が喋ると会場が一気に盛り上がる。



「"まずは予選から行います!参加数が多いのでこの予選で一気に減らしたいと思います!・・会場中央に見える正方形の四角いリング。ここでまずバトルロイヤルを行ってもらいます!ルールは単純明快!場外へ出たら負け!このリングで残ったたった1人が予選通過!本戦に出場できまーす!"」



予選第1組出場者がぞろぞろと出てきてリングの上にあがる。

大きいリングが隙間が無いほど埋まった。


いやいや・・・多すぎだろ。

ちょっと押したら場外に出るぞ・・。



「"さあ!会場も盛り上がってきました!では・・・予選第1組スタァァァァーート!!"」



ゴーンと銅鑼が鳴り、予選が始まった。

始まったと同時にリングから爆風が吹き荒れる。

そして1人を残して全員が場外に放り出された。



「"け、決着ゥゥゥゥゥ!!なんと!たったの一瞬で決着がついてしまったぁぁ!!"」


「一瞬って・・・。風属性の広範囲魔法か。」


「"予選第1組突破は第11部隊副隊長マルファスだぁぁ!!"」



鳥顔のカラスのような黒い体をした魔物が早くも予選通過した。



「ふふん、どうだ?うちのマルファスは?」



後ろで誇らしげにしているのは第11・第12部隊統括のフォルネウス。



「ふん、あんなのうちの者だってできるわ。たかが予選じゃろ?粋がるな。」



ファルネウスの態度にカチンときて強がるのが第7・第8部隊統括のジズ。



「"さあ!続いて参りましょう!!続いては予選第2組!!"」



予選第2組出場者がぞろぞろと出てきてリングの上にあがる。

先ほどと同じ様に大きいリングが隙間が無いほど埋まった。



「"予選第2組スターーーート!!"」



ゴーンと銅鑼が鳴る。

予選第2組は先ほどとは違い乱打戦になった。

落とし、落とされる展開が繰り返される。



「"・・・・勝者は第8部隊隊長ロマリウスーーー!!"」



ワーーっと歓声が上がる。


その後も隊長・副隊長クラスの魔物が順当に予選を突破。

そして予選第28組目・・・。



「"さあ!続いては予選第28組です!!"」



予選第2組出場者がぞろぞろと出てきてリングの上にあがる。

その中にメルがいた。



「おっ、やっとメルの番か。」


「・・・メルの嬢ちゃん、運が悪いですね・・。」


「バリアード、どういう事だ?」


「はい、メルの嬢ちゃんがいる予選第28組には第5部隊所属のオーガ族が沢山おります。」


「・・・本当だ。固まってら。」



-- リング上 --



「なんだ、メルじゃねぇか。」


「落ちこぼれのメル。ここはお前が来る場所じゃないぜ?」


「魔人様の傍付きなんだから魔人様のもとへ早く帰りな。」


「・・・メルは負けないのですぅ!信次様に“頑張れ”って言われたのですぅ!」



-- リングの外 控えフロア --


控えフロアの横でキドとバジェラが観戦していた。



「キド、メルが出てるぜ?」


「・・・・。」


「ははは、うちの部隊が多く固まってる組に入るとは運が悪いなあいつも。」


「・・・興味は無い。」


キドは歩いて控えフロアから出て行った。



-- リング上 --



「"さあ!予選第28組スターーーーーート!!"」



銅鑼が鳴り、戦いが始まる。

メルの近くにいた第5部隊のオーガたちが一斉にメルに襲い掛かる。


だが、メルは小さな体を生かし、ササッと群衆に紛れる。

目標を見失ったオーガたちは互いに殴りあってしまった。



「痛っ!!なにすんだお前!!」


「いや、お前こそ急に出てくんな!!」



言い合いしているオーガたちの横からメルはスッと姿を現し、強烈な一撃を放つ。



「がはっ!?」



1体のオーガがリング外に吹っ飛んだ。



「なっ!?・・このっ!!」



もう1体のオーガの攻撃を難無く躱しクロスカウンターを食らわす。

もう1体のオーガもリング外へ吹っ飛ばした。



メルがオーガたちを倒した。

その光景を見た周りにいる第5部隊の面々が一斉にメルに襲い掛かる。

メルは強化魔法を自身に付与。

両手の拳をゴチンとぶつけ合い、戦闘の構えをとる。



「やあああ!!」



オーガの攻撃を華麗に躱し、強化魔法を付与した拳で一体一体殴り飛ばす。



-- 観客席 --



「おお!メルの嬢ちゃんが奮闘してる!加藤信次様!凄いですね!!」



バリアードが興奮していた。


リムドのもとで修行して躱す技術が格段に上がったな。

まあ、躱す技術だけじゃなくてパワーも格段に上がったけど・・・。

最近抱きつきがちょっと痛いんだよな・・。



「メルの嬢ちゃんがあんなに強いとは。だが・・。」



-- リングの外 控えフロア --


第5部隊の面々を次々に吹っ飛ばすメルを見て、若干焦りの顔を見せるバジェラ。



「な・・!?俺らの部隊のやつらをあんなにあっさり・・・。・・だが、この組にはあいつがいる・・。」



-- リング上 --


バッタバッタとリング外へ殴り飛ばすメルを見て会場は大盛り上がり。



「"さあ!さあ!予選第28組の数も絞られてきましたぁーー!!果たして誰が予選突破するのでしょうかーー!!"」



リング上には残り3人となった。



「"さあ!現状生き残っているのは・・・加藤信次組のメル!そして第1部隊副隊長モレク!第5部隊副隊長補佐キリマスの3名!!"熱くなってきました!!この三つ巴を制するのは誰だぁーー!!″」

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