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第18話「修行」

第18になります!

拙い文章ですがよろしくお願いします(^^♪

信次はメルとの組手の後はリムドとの組手となった。

メルはプリネラと組手。メルは魔法に対しての対処とプリネラは打撃戦での対処を学ぶために。



「信次、お嬢ちゃんと闘ってみてどうじゃった?」


「正直、今まで魔法に頼りきっていたと痛感したよ。」


「うむ。その通りじゃ。お前さんはたしかに魔力が強い。それ故に魔法に頼り気味になり、魔法を使うために必要な基盤の体がまだできておらん、未熟じゃ。お前さんは自身の魔力と肉体のバランスが悪い。精神と肉体を鍛え、魔力と肉体のバランスが良ければ少しの魔力でも圧倒的な強さを得ることが可能じゃ。」


「指導頼む。」


「儂の稽古はキツイぞ?」


「強くなるためだ。」


「お嬢ちゃんと組手した時と同様で魔法は無しじゃ。ええな?」


「わかった。」



信次が返事をした瞬間、目の前に拳が現れた。

間一髪避けたがもう片方の拳が脇腹に突き刺さる。



「ぐああっ!!!」



リムドは間髪入れず連打。

信次はなすすべなくボコボコにされる。



一発一発がお、重い・・・。

殺しにきてる感じだ・・・。



信次はその場に倒れる。



「おー。もう終わりか?早いぞ。」


「がはっ!・・はあ・・はあ・・。殺すつもりかよ。」


「勿論じゃ。そのくらいやらんと修行にならんのでな。信次よ、お前は儂との闘いの中で色々感じ、吸収するんじゃ。」



信次が受けた傷は高速再生し修復。



「やってやるよ・・。あんたの闘い方を学んで吸収してやる。」


「その意気じゃ。来い。」



その後も信次は果敢に攻めた。

リムドに何度もボコボコにされながらも必死で何かを得ようと夢中だった。



一方その奥ではメルとプリネラが組手を行っていた。



「“業火球(ディグルド)”!」



プリネラが火属性魔法を放つ。

そして、



「“操縦(マネージ)”!」



放った業火球(ディグルド)を操作。



「追いかけてくるのですぅ!!」



メルは走って回避。



「ちょっと!ちょこまか動かないでよ!」



プリネラがそう言うとメルは立ち止まり、自身に強化魔法を付与。

高速移動でプリネラに接近。



「早っ!!待って待って!!」



メルがプリネラを殴ろうとした時、



「・・なんてね。」



プリネラの前に土の壁が現れる。

メルは壁を殴って壊すがプリネラまで拳が届かない。

メルの後ろから業火球(ディグルド)が命中。



「ああっ!」



プリネラはリムドに「魔法が得意なら一度に何個も使えた方が良い。そして魔法も駆け引きが重要じゃ。ただ、魔法使いというのは接近戦に脆い。だからいかに相手を自分の懐まで誘いこみ、反撃するかが大切じゃ。」ということを学んだので実践。



「3つの魔法を同時に使うと魔力の消耗も激しいけど、攻守のバランスがとれるわ。」


「むぅぅ・・やったのですぅ・・。」



メルは頬を膨らまして悔しそうにしている。



「メルも・・やるのですぅ!」



メルもリムドに「魔法を得意とする者を相手にする場合、手数では負ける。接近することも難しいかもしれん。じゃが、魔法も永続的に撃ち続けることは不可能。回復魔法が使えないお嬢ちゃんはまずダメージを受けてはならん・・避けることじゃ。避け続けることで活路を見出すことができる。」という助言を貰っていた。


メルは再度プリネラに突っ込む。

プリネラが業火球(ディグルド)を放つがメルは避ける。

そしてプリネラの懐まで詰めた。



「“風針の盾(ヴァンエギーユ)”!」



風属性の防御魔法。風で生成された盾に無数の針がついている。

メルが盾に突っ込めば針に刺さってダメージを負う。

しかし、メルは猛スピードで突っ込んでいたが、急ブレーキをかけてバックステップで回避。

後ろから業火球(ディグルド)が来ていたが体を捻ってそれも回避。



「げっ!?避けるの!?・・“突風の刃(ガストスラッシュ)”!」



無数の風の刃がメルを襲うが、メルは見切って躱す。



「や、やるわね・・・。」



迂闊に手を出さない。メルは攻撃のチャンスを見極めようとしていた。

プリネラの周りを移動し翻弄。



メルの動きを封じるには・・・これしか無いわ!



「“火の息吹(ファイアブレス)”!」



プリネラは火属性の範囲攻撃魔法を放つ。

横薙ぎの炎をメルがジャンプして避ける。



「一点集中・・・ここ!“突風の矢(ガストシュート)”!」



プリネラは速度重視の風魔法をメル目掛けて放つ。

風の矢はメルに命中・・するかと思われたが、空中で加速。

一気にプリネラの間合いに詰める。



「えっ!?嘘っ!?」


「一本取ったのですぅ!」



メルはプリネラの腹にパンチ。

ただ、パンチの威力はかなり抑えている。



「・・はあ~、やられたわ。ちょっとメル、あの状態でどうやって躱したのよ。絶対当たると思ってたのに。」


「これなのですぅ!」



メルが手に持っていたのは砕けた岩。



「これをどうするのさ?」


「プリネラが火の魔法を使った時、下に落ちてたこれを拾ったのですぅ。それで、矢が飛んできた時にポイっと後ろに投げてこれを蹴って突っ込んだのですぅ!」


「め、滅茶苦茶ねあんた・・。・・・まあいいわ。メル、こっち来なさい。被弾してるの回復してあげるから。」


「はーい!」



プリネラはメルに回復魔法をかける。



「私とメルは力を抑えて組手してるけど・・・あっちは・・・凄い音してるわね。お互いかなり本気でやってるわ・・。」



プリネラとメルが居る奥で信次とリムドがぶつかり合っていた。



「信次様心配なのですぅ。」


「まあ、信次様も竜人様も殺すつもりでやってるわけでは無いでしょうから心配無いと思うけど・・。」


「ほれほれどうした信次!?もっと殺すつもりで来んかい!!じゃないとお前さんが死ぬぞ!?」



信次とリムドの組手はプリネラが思っていたのとは正反対だった。

互いに殺す勢いでぶつかり合う。


リムドの攻撃に段々慣れてきた信次はリムドの間合いを理解し始め、攻撃を受け流して反撃できるようになっていた。

ただ、反撃はできるのはリムドの打撃10発中1発程度。しかも反撃するが躱されて当たらない。

反撃するまでに結構ボコボコにされていた。



「ええのう、魔人の体は便利よの~。すぐ再生できよる。」


「・・再生できるけど魔力食うし、痛みも普通にあるから。」


「その再生に使う魔力も無駄な消費じゃな。」


「段々見えるようになってきた。もう少しであんたを逆にボコボコにできるぞ。」


「ぬかせ。まだまだじゃ。・・・行くぞ。」



再び両者ぶつかり合う。

信次たちはそれぞれの課題を克服するべく竜人リムドと修行を重ねていった・・・・。



————

————————

————————————

————————————————



リムドと修行を始めて1ヵ月が過ぎた・・・。

この日もまた信次とリムドが組手をしていた。


互いに激しくぶつかり合い、目にも止まらぬ攻防。

修行を始めた当初とは違い、リムドの攻撃を躱して反撃。

リムドもまた信次の攻撃を躱して反撃。互いに攻撃が当たらないという繰り返しだった。


そしてついに、信次はリムドの攻撃を見極めて躱し、顔に一撃を食らわせることができた。



「やった・・。やっと一本取った・・。」



信次は拳を握りしめ歓喜に浸る。

今までこのような達成感を味わったことが無かった。



嬉しい!嬉し過ぎる!

この何かを目標にしてやり遂げた達成感・・・。

これが努力。努力が実を結んだんだ。



「・・たく、一本取ったくらいで喜びおって。・・じゃが、よくやったの信次。これにて修行は終わりじゃ。」


「・・え?これで終わりなのか?」


「今回のお前さんの修行の終着点は魔法無しでの基本的な心・技・体の習得じゃ。魔法無しで儂相手にここまでできれば及第点。あとは自ら鍛錬して鍛えよ。」


「俺は強くなったのか・・?」


「それは今後自分で確かめ、実感するとよい。それと・・・お嬢さんたちは儂が課した課題をとっくに達成しとったからお前さん待ちじゃったよ。」


「え!?」


「信次様ー!!」



メルたちが駆け寄る。



「お前たちの修行はとっくに終わってたんだな。時間かけてすまなかった・・。」


「そんなことないのですぅ!メルもより勉強できたのですぅ!」


「そうよ。全然気にすることじゃないわ。信次様は信次様のペースでやってほしかったの。」


「ありがとう。・・・じゃあ、帰るか。」


「うん!」


「はい!なのですぅ!」


「・・・城まで遠いな。てかここからシュタイン連邦国までも遠いな・・。」


「だったらドラゴンに乗っていくとよい。手前まで送っていくぞい。」


「助かる。」



リムドは1体のドラゴンを呼び、信次たちはドラゴンの背に乗る。



「リムド、世話になった。」


「竜人様、ありがとうなのですぅ!」


「この鍛えた力で信次様をお守りするわ。」


「ほっほっほ。達者でな。お前さんたちといて中々面白かったわ。又鍛えたくなったら寄るとよい。」


「ああ、そうする。・・じゃあ。」



信次たちを乗せたドラゴンが大きく羽ばたき上昇。

リムドと別れ、シュタイン連邦国の国境を目指す。


暫く進むと国境が見えた。



「やっぱり空を飛ぶと早いな。」


「いい経験になったわ。これも信次様と巡り会えた縁に感謝しなきゃ。」


「大袈裟だな。」



国境付近でドラゴンから降り、いつも通りメルの精神魔法で関所を通過。

馬を借りて魔王城へ向けて走り出す。


帰路の道中は特に何も無く、信次たちはのんびり帰っていた。

そしてムヴルヘイムを出て約2週間。信次たちはようやく魔王城がある魔境ミッドガルドへ到着。

翼竜(ワイバーン)を呼んで魔王城まで帰る。



「着いたのですぅ!」


「長かったな・・。」


「こ、ここが魔王様のお城・・。凄いわ~。」


「おかえりなさいませ。」



一番に出迎えたのはユリウスであった。



「ただいま。」


「・・そちらの方は?」


「ムヴルヘイムまでの道のりで仲間になったプリネラだ。」


「ほう、インプですか。それに・・強い魔力を感じますな。」


「まあ、みんなあっちで色々修行したからな。」


「メルも強くなったのですぅ!」


「ほっほっほ、左様でございますか。プリネラ殿、歓迎致しますぞ。」


「よ、宜しくお願いします・・。」


「まずは魔王様に挨拶にいかれてはいかがでしょうか?」


「そうだな。報告もあるし。」


「では、案内致します。」



ユリウスの後ろについていき魔王の間へ向かう。

信次はその途中で何やら城内がいつもと違うことに気付いた。



「なあユリウス、・・なんか城に居る魔物の数増えてないか?」


「本当なのですぅ!賑やかなのですぅ!」


「それは・・魔王様からご説明があるかと思いますので。」



そして魔王の間に到着。

扉が開き中を進むといつも通り魔王が座っており、横にベティスがいた。



「やあ!やあ!おかえり~!」


「ただいまなのですぅ!」



魔王は相変わらずの反応。



「メルも相変わらず元気だね!・・おや?そこのお嬢さんは?」


「インプのプリネラだ。」


「そうかそうか!プリネラ、宜しくね!私が魔族を統べる魔王サタンだ。」


「・・はっ!」



プリネラは咄嗟に片膝を地面につけ、頭を下げる。



「いいっていいって!頭を上げなよ。プリネラはどうして信次と一緒にいるんだい?」


「信次様は私を助けて頂きました。それで私は信次様に尽くすと心に決めたため、ご一緒させて頂いております。」


「・・信次。」


「なんだ。」


「こんなべっぴんさん捕まえて羨ましいね~。」


「うるさい。・・・それよりあんたに依頼された件を報告するぞ。」


「そうだったね。聞かせてもらおうか。君が知り得た情報を。」



信次はリムドから聞いたドラゴンの勢力を魔王に話した。



「・・・なるほど。良い情報をありがとう。・・・それと信次、君は竜人と一戦交えたんだね?」


「ああ。」


「それに竜人に修行をつけてもらったと。」


「そうだ。」


「確かに・・君から感じる強さは以前とは違うね。驚いたよ、この短期間でここまで成長するなんて。」


「報告は済ませた。俺は部屋に戻るぞ。」


「あー、待って待って!教えとくことがあるんだよ。・・・メル、そしてプリネラ。君たちにはある催し物に参加してもらう。」


「催し物?なんだそれ?」


「信次、君はこの城の雰囲気が前とは違うことに気付いたかい?」


「・・ああ。魔物の数が増えたな。」


「そう。世界各地へ派遣に出していた部隊を一度全部呼び戻したんだ。」


「・・なんでそんなことを?」


「まあ、色々事情があってね。軍の力を底上げするために呼び戻した。」


「底上げ?なにするつもりだ?」


「ふっふっふ・・。それは・・。」



魔王は急に立ち上がり、両手を広げる。



「ここに第1回魔王軍武闘大会を開催することを宣言する!!」



ユリウスとベティスがパチパチと小さい拍手をする。

その光景がとてもシュールだった。



「・・・どういうことだ?」


「近年益々人間の力が向上していてね。多くの同胞がやられてて、我々もうかうかしてられないのさ。だから今一度、魔王軍全体の力を底上げするために各部隊が集まって合同訓練をする。その後、武闘大会を開催して大いに盛り上がってもらい全体の士気を高めてもらおうと思ってるのさ。」


「つまり・・モチベーションアップのためにってことか?」


「そう!いつも頑張ってくれてる皆を労う場でもあるからね。優勝者や好成績を残した者たちには褒美を与えようと思ってる。」


「その武闘大会ってのにメルとプリネラも参加しろってことか?」


「是非ともお願いしたい!各部隊ごとに括りを分けてるから、メルとプリネラの場合は“加藤信次組”って括りにするつもりだ。」


「・・・いや、加藤信次組って・・・ダサいな。」


「この武闘大会は魔物同士でやるつもりだから魔人である信次は参加できないけどね。」


「メル、プリネラどうする?」


「・・・うーん。」



プリネラは新参者の自分が参加していいのかと悩んでいた。



「メルはやりたいのですぅ!面白そうなのですぅ!」



逆にメルはやる気満々。



「プリネラも一緒にやるのですぅ!プリネラと出たいのですぅ!」



メルはプリネラを服を引っ張って誘う。



「プリネラ~!」


「・・・わかったわよ。出るわ。」



プリネラはメルの駄々っ子ぶりに負けた。



「じゃ、決まりだね!本当君たちは丁度良いタイミングで帰ってきたよ。」


「?」


「武闘大会の開催は明日だからね。」


「明日かよ・・。」


「是非とも優勝目指して頑張ってくれたまえ!ははは!・・・私はこれから各部隊に激励の言葉を伝えに行く。それじゃまた明日。・・・ベティス頼むよ。」


「はい。」



サタンはベティスの肩に掴まり、ベティスの転移魔法によりその場から消えた。



「まっ、明日って急だが、リムドに教わったことを試すいい機会だな。」


「そうね。軍の魔物たちがどれくらい強いのかわからないけどやってみるわ。」


「メルも頑張るのですぅ!!」


「移動の疲れもあるし、今日は早めに休んどけよ。」


「はーい。・・信次様はどうするの?」


「俺は城をプラプラする。メル、プリネラを部屋まで案内してやれ。」


「はい!なのですぅ!・・プリネラ行くのですぅ~!」



メルとプリネラは手を繋いで部屋へ向かった。

俺は部屋には戻らず城を歩いていた。

下を見ると多くの魔物たちが鍛錬をしている。


全員が明日の武闘大会ってのに参加するのか?

派遣していた部隊も呼び戻したって言ってたけど、魔王軍に部隊があること自体初めて知った。

中には強い魔物もいるだろうし、メルとプリネラがどこまで通用するのか少し楽しみだ。



やっぱりここの雰囲気や空気は居心地が良いな。

次話から新章に入ります!

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