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第17話「リムド」

第17になります!

拙い文章ですがよろしくお願いします(^^♪

自らの意思で扉を開くことに成功した信次。



扉を開くことはできたが、やっぱり魔力の消費が激しいな・・。

あまり長くは持たなそうだ・・。



「行くぞ。」


「来い。」


「“散弾の雨(バレットレイン)”!」



今までとは比較にならないほど大量の魔力弾の数を打ち込む。

さらに一つ一つの魔力弾の威力も今までとは違う。



「“闇の束縛(レストリクシオン)”!」



複数の黒い縄がリムドを拘束。



「むっ!?」



身動きがとれないリムドに散弾の雨(バレットレイン)が降り注ぐ。

信次は間髪入れず魔法を発動。



「“闇の槍(ダークスピア)”!」



一本の槍をリムド目掛けて投げる。



「ふんっ!!!」



リムドはその場で高速回転し風圧で散弾の雨(バレットレイン)を弾き、飛んできた槍は片手で打ち落とした。



「!!」



しかし信次はすでにリムドまでの距離を詰めており、リムドの顔に拳で強烈な一撃を与える。



「うっ!!」



リムドは後方へ吹っ飛ぶがすぐに態勢を整える。

リムドの口から血が垂れていた。



「・・・ふふ、ははは!!良い力じゃ!こうでなくてはな!!・・“光の槍(ホーリースピア)”。」



リムドは光属性の槍を形成。

そして一瞬で信次の間合いに移動。



「!!」


「ほりゃ!」



信次は咄嗟に闇魔法剣(ダークソード)で応戦。

お互い目にも止まらぬ速さで攻防を繰り返す。

槍と剣のぶつかり合う鈍い音が響き、ぶつかった時の衝撃波が辺りの木や岩を吹っ飛ばす。



「きゃあ!!」



メルたちも衝撃波によって飛ばされた。



「な、なんてぶつかり合い・・。」


「す、すごいのですぅ。」



リムドは後方へ飛び、何度も信次を打ち抜いた光属性の魔力弾を放つ。

しかし信次はそれを見切って弾く。



「ほう!これが見切れるようになったか!・・・じゃが、これならどうじゃ?」



先ほどと同じ魔力弾を放つ。

信次は再度弾くため剣を振るが、剣に触れる直前に魔力弾の軌道が変わる。



「なっ!?」



軌道が変わった魔力弾は剣を避けて右側から信次を打ち抜く。



「がはっ!!・・・剣を避けた?なんだその魔法・・。」


「ははは、これは“操縦(マネージ)”というやつじゃ。ただの魔法の軌道を自由自在に変えることができる。扱うにはちっとばかり難しいがな。」



そんな事もできるのか・・。

やはり魔法は奥が深いな。



「・・・ではもっといくぞ。」



リムドは散弾の雨(バレットレイン)のように大量の魔力弾を放つ。

さらに全ての魔力弾を操作。

魔力弾は不規則な動きをして信次に襲いかかる。



「っぐ!!・・・くそっ!!」



信次は必死に魔力弾を弾こうと剣を振るが当たらない。

空振りしたらその隙に弾が体を貫いた。



「がはっっ!!」


「つ、強すぎるわ・・・。魔法操作は高位魔法・・・たしか1つの魔法を操るのにももの凄く難しいと聞くのに、それをあんな大量の魔力弾を操るなんて・・・。」


「あわわわ・・・、信次さまぁ・・。」


「“闇の殻(ダークシェル)”!」



殻が信次を包み込み魔力弾を防御。



「・・攻撃こそ最大の防御なり。信次よ、守りに入ると勝てなくなるぞ。」



リムドは拳を振りかざし、信次を覆っている殻ごと思い切り殴る。

殻は砕け、信次の体に拳がめり込み、後方へ吹っ飛ばされた。



「はあ・・はあ・・・ぐはっ・・」



信次はダメージで起き上がれない。

すでに扉開放状態は消え、信次を纏っていた黒い霧も無くなり、肌の色も戻った。

リムドは信次の方へ歩いて近づく。

そこにメルとプリネラが信次の前に現れ、両手を広げてリムドに制止を促す。



「もういいでしょ!?信次様はもう動けない!」


「やめて欲しいのですぅ!!」



リムドは頭をポリポリと掻く。



「・・最初に言ったじゃろう。別に殺し合いをする訳ではないと。どちらかが戦闘不能になったら終わりじゃ。」



リムドは信次の顔の前でしゃがみ込む。



「ははは!儂の勝ちじゃ。異論は無いか?」


「・・・はあ・・はあ・・・あんたの勝ちだよ。・・・歯が立たなかったわ。」


「だっはっは!そんなの当たり前じゃ!儂より強い者など滅多におらんわ!・・・でも、久しぶりに楽しめたぞ。信次よ、礼を言う。」


「負けた相手に礼を言うって・・どんな奴だよ・・。」



信次は気絶して意識を失った。



「信次様!!」


「ふむ。手合わせしたら色々教える約束じゃったな。よし、お前さんたちついてきなさい。」


「どこへ行くの?」


「儂の家じゃよ。」



リムドがそう言うと突風が吹き荒れた。

上を見上げると最初にリムドが乗っていた巨大なドラゴンが現れる。

ドラゴンは着陸し、そこにリムドが飛び乗る。



「さ、お前さんたちも来んかい。」



信次をドラゴンの上に乗せ、プリネラたちも乗る。

ドラゴンは飛翔し、ムヴルヘイム中心部へと向かった。


——————

————————————

——————————————————



「・・・・ん。」



信次が目を覚まし起き上がり、周りをキョロキョロ見渡す。

石で造られた内装、殺風景な部屋。

信次が居たのは寝室らしい。



「ここは・・?・・また倒れたのか。最近倒れてばかりだな・・。」


「あっ!起きたのですぅ!」


「メル・・。」


「・・ここは?あとプリネラは?」


「ここは竜人様の家なのですぅ!プリネラは今、竜人様に魔法を教わってるのですぅ!」


「リムドの家?・・・そうか、ドラゴンの事教えてくれる約束だったからな。」



信次は部屋を出て廊下を歩く。

すると奥の部屋でプリネラとリムドが何やら話をしていた。



「リムド。」


「信次様!起きたのね。」


「おお、信次よ。ちょうど今お嬢さんに魔法を教えてたところじゃ。」


「魔法?何の魔法だ?」


「“操縦(マネージ)”じゃ。ほれ、お前さんに使ったじゃろう?」


「あれか・・。」


「このお嬢さんは飲み込みが早いわ。」


「信次様!見て見て!」



プリネラは指先から小さな炎を出すとその炎をぐるぐると指周りで回転させていた。



「すごいな。」


「今はまだこの程度しか扱えんが、鍛錬を積めばもっと自由自在に扱えるじゃろう。」


「よしっ!頑張ろっ!」


「・・・リムド。手合わせした条件のことだが。」


「分かっとる分かっとる。お前さんもこっちに座れ。」



信次はリムドの横に座る。

メルは信次のあぐらの隙間に座る。



「おい、メル・・。」


「お前さんが知りたいのはドラゴンの勢力じゃったな。」


「ああ。」


「ムヴルヘイムにおるドラゴンの数は約2000。他の地におるのも入れると大体・・5000~6000くらいじゃのう。」


「ドラゴンってそんな少ないのか?」


「儂らドラゴンは繁殖力が弱くてな。人間や魔物みたいにポコポコ生まれんのよ。・・只、ドラゴン1体1体強いぞ?」


「それは知ってる。・・・現状あんたみたいな竜人は他にもいるのか?」


「おる。竜人は儂を含めて3人じゃ。儂ともう1人はここムヴルヘイムに滞在しておるが、1人は別の地に行ってしもうた。」


「・・・どうしてそんな簡単に情報をくれるんだ?」


「別に儂らは人間・魔物どっちの味方でも敵でも無いからの。常に中立。双方儂らには手を出さないから平穏に暮らしているだけじゃ。だから情報を流そうが特に支障は無い。・・・他に何か聞きたいことはあるか?」


「・・あんたより強いのってどれくらいいるんだ?ドラゴン以外でもいい。」


「儂もだいぶ衰えてきたからの~。とりあえず他2人の竜人は儂より若いし強いぞ。あとは・・今の魔王じゃな。実際闘ったことは無いが会ったことはある。見ただけだが強者であることは明白じゃったな。ぜひとも手合わせしたいものじゃ。」



魔王もリムドと同等以上か・・・。



「あと、人間で儂ら竜人に匹敵する者もおるな。」


「人間で!?」


「うむ。遥か南の大陸にその者がおる。20年前くらいに儂が南の大陸に出掛けたことがあるんじゃが、その者はその時まだ幼かったがすでに人間の域を超えた力を秘めておったわい。その者がしっかり才能を開花させて成長しておれば儂らに匹敵する可能性はある。」



人間で竜人に匹敵・・。

そういえばユリウスも魔人に匹敵する勇者がいるって言ってたから、そいつも勇者の可能性あるな。



「・・わかった。色々教えてくれてありがとう。」


「なあに、約束じゃからな。」


「それと、もう一つ頼みがある・・。」


「なんじゃ?」


「俺に修行をつけてくれないか?魔法や武術を。」


「いいぞ。」



リムドは即答。



「・・え?いいのか?」


「うむ、いいぞ。お前さんが強くなれば手合わせも面白くなるからの。」


「メルも修行するのですぅ!」


「私ももっと教えてもらいたいわ!」


「ほっほっ、よかろうよかろう。儂がみっちり鍛えてやるぞ。・・・では各々準備して外に出るがよい。」



信次たちが外へ出ると、周りは断崖絶壁だった。

リムドの家はムヴルヘイム中心にある山の麓から標高5000mの位置にあった。



「高っ・・こんなところに来てたのか。登ってきたのか?」


「あの大っきいドラゴンに乗ってきたのですぅ!」


「ああ、なるほど・・・。」



リムドが先にいるので話しかける。



「どこでやるんだ?」


「ここじゃ狭いからの。下でやる。」



リムドはそう言うと1体のドラゴンが下から現れた。

そして信次たちはドラゴンに乗って降下。

降下した場所はただっ広く、周りを岩で囲い、まるで闘技場のような場所。



「ここでやるのか?」


「そうじゃ。ここはドラゴンたちがお互いに手合わせする場所じゃ。広いし修行には申し分ないじゃろ。」


「何から始める?」


「そうじゃな・・3人もおるからいっぺんには教えられん。順番でやるかの。まずは・・インプのお嬢さんからじゃな。」


「わ、わたしから?」


「お嬢さんは魔法が得意と見える。魔法の強化と種類を増やすとするかの。・・・お前たちは互いに組手を行っておくがよい。」


「組手?俺がメルと?」


「うむ。そこのお嬢ちゃんの種族はオーガ。魔法より打撃系を得意とするじゃろう。おそらくじゃが・・・打撃での戦闘に関してはお前さんより上じゃな。」



たしかにメルの闘いはちゃんと見たことが無いな・・。

一緒にいる仲間の戦力はしっかり把握しておかないとダメか。



「よしメル、俺と組手するか。」


「はーい!」


「あと、お前さんたちは魔法を使っちゃならんぞ。打撃のみじゃ。」



プリネラはリムドと。

信次はメルとで修行を開始する。



「よし、来い。」


「いくのですぅ!」



メルは地面を蹴り、勢いよく信次に突っ込む。

そして右手を振りぬく。



「っ!!」



信次は間一髪避ける。


・・早い!メルってこんな早かったのか!


メルは続けざまに連打。そして時折蹴りを混ぜる。



「くっ!」



信次が反撃するもメルはくるっと回転して回避。

着地した反動で信次の間合いに詰め、一撃食らわせる。



「つ、つよ・・。」



メルはまるでボクサーのようにその場で軽いステップを踏み、一瞬で距離を詰める。

信次は咄嗟にガードするも体ごと吹っ飛ばされた。


メルってこんな強かったのか・・。

動きもそうだが、パワーもかなりある・・。

あの小さい体にこんなパワーあるなんて・・。



「信次様大丈夫ですぅ・・?」


「・・・心配するなメル。お前も本気でやってくれないと修行にならん。もっと来い!」



そうだ。もっと強くならないと守れない。

一緒に居てくれてるこいつらを・・・俺を認めてくれてる魔物たちを・・。

だから竜人に修行を頼んだ。

少しでも吸収して強くなるために。



「いくのですぅ!!」



再度メルが一瞬にして信次の間合いまで距離を詰め、強烈な一撃を食らわす。

だが信次もメルのパンチを防御。

防御した際、腕の骨が折れたが高速再生で修復。



「もっと行くぞメル!」



暫く信次とメルの乱打戦となり一進一退の攻防が続いた・・・。

そして・・。



「はあ、はあ・・・。」



信次は両手を広げ仰向けになっていた。



「メル強いな・・・。魔法を使わなければ俺の自力はこんなものか・・・。どれだけ魔法に頼っていたのか痛感したな・・。」


「疲れたのですぅ・・。」


「はは、そんな打ち込んでれば疲れるだろ。メルのパンチは効くな~。」



今までは魔法ばかりに固執してたな・・。

ここまで自力が頼りないとは・・。

これからは魔法を使う俺自身の体を強くして、戦術なんかも学ばなければダメだ・・。

もともと何かに打ち込むって柄じゃないけど・・・この世界に来た時から人生が変わって楽しいと思えるようになった。

今までの様に1人じゃない・・。今はメルやプリネラたち魔物が俺を信用して傍に居てくれる。

そいつらに応えるようにしないとな・・・。



信次は夜空を見上げ、そう考えるのであった。




◇◆◇◆◇◆◇◆


-- 魔王城 --



「魔王様、何かご用件でございましょうか?」


「やあ、やあ。急に呼び立ててすまなかったね。」



魔王サタンの間に側近ベティス、軍師ユリウス、軍事教官バリアード、魔法指南クガン、その他魔王軍幹部らが集まっていた。



「どうかなさいましたか?」


「東に派遣していた部隊が全滅したという報告を受けたんだ。」


「!!」


「なんと!?東に向かった部隊といえば・・ベルモンテの部隊ですな。」


「・・部隊をやったのは勇者ですかな?」


「いや、どうも違うみたいだ。ユリウス、説明してあげて。」


「はい。ベルモンテの部隊を壊滅させたのは勇者ではなく、ただの冒険者でございます。」


「ベルモンテがただの冒険者にやられたと言うのか?あいつはあれでも我が軍の幹部だぞ?」


「冒険者といっても1人ではございません。人間側も人数を揃えて交戦しておりました。」


「だが、人間が集まろうとベルモンテの部隊を全滅させるのは・・。」


「近年、人間1人1人の力が高まってるのを感じております。・・おそらく人族の各国で勇者になり得る人材を教育・指導をしているからだと。」


「・・・たしかにそれは俺も感じるな。前の派遣先で人間とやったが、人間1人に部下が何体もやられた。」


「それに人間だけじゃないんだ・・。西南の方で不穏な動きがあってね。・・どうもストフェレスが動き始めたらしい。」


「ストフェレス!?・・あの裏切り者ですか!?」


「皆も知っている通りストフェレスの力は強力だ。彼が久しぶりに表舞台に出てくるとなると厄介。」


「総力を持って討伐に向かいますか?」


「いや、そこで私は考えたんだが・・・。現状派遣に出している部隊を出来るだけ全てここに戻す。そして・・・人間も段々と魔族に対抗できうる者を増してきてることだし、我々も個々のパワーアップを図ろうと思う。」


「なるほど!合同訓練という訳ですか!」


「まあ、それに近いかな。詳細に関しては近々伝えるから、まずは出来るだけ全部隊をここに戻すよう伝達を頼むよ。」


「はっ!」



幹部たちは元気よく返事をして部屋から退室した。



「これで久しぶりに皆の顔が見れるね~♪楽しみだな~♪」


「魔王様、加藤信次様にも伝えた方がよろしいでしょうか?」


「彼?あー、いいよいいよ。多分丁度良い頃に帰ってくると思うから。」


「かしこまりました。」


「いや~・・本当に楽しみだ・・。」



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