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第10話「旅立ち」

第10話になります!

拙い文章ですがよろしくお願いしますm(__)m

信次は十分休養をとって体力魔力が全回復。

ついにムヴルヘイムへ出発することになった。



「信次様!信次様!お出掛け楽しみなのですぅ!」



もちろん俺の世話係をしているメルも一緒に行く。

ムヴルヘイムへは感情を溜める器を大きくする為の修行とドラゴン勢力の調査だ。

もしエルザートの時みたいに暴走したらメルが俺を鎮めてくれる・・らしい。



城で笛を吹くと、翼竜が飛んでくる。

俺は前と同じように翼竜の足に掴まり、メルは体が小さいので翼竜の背中に乗せた。

そしてムヴルヘイムへと飛び立った。



相変わらず翼竜から見る景色は最高だ。

今回はエルザートの時とは違う方向に飛んでいるため見える景色も違う。

飛んでいる途中でミッドガルド領地の中にとんでもない大きさの樹が見えた。

あれが魔界樹。魔物を生む樹であり、人族から守るべき樹である。



「大きいのですぅ!でっかいのですぅ!」



翼竜の背中で興奮して騒ぐメル。

興奮して暴れるので翼竜が右へ左へバランスを崩す。



「おい!メル!暴れるな!落ちる!」


「信次様!メルは楽しいのですぅ!」


「楽しいのはわかるが暴れるな!」



それからメルは空から見る光景に何回も興奮し暴れた。

俺はその間何回も落ちそうになった・・・。



城から飛び立って数時間。

シュタイン連邦国の国境付近に着いた。

近くで降りて歩いて関所へ向かう。

俺は“影潜伏(シャドーダイブ)”で通過できるが、メルは魔物なので普通に関所を通過することはできない。

そこで今回はメルの魔法を使うことにした。


関所には人間の列ができており関所で検問を受けていた。

関所にいる検問官は2名。

俺とメルは普通に列に並ぶ。

メルは角が生えてるのを隠すためにフード付きの服を着ている。

俺たちが検問を受ける番になった際、メルは精神魔法を使用。

俺たちが人間であると誤認識させて関所を難なく通過する。



信次は関所を通過してから移動手段として馬を借りた。

城には軍が騎馬隊で使用している馬が居る。

信次はバリアードに乗馬訓練を受けていたこともあり、馬に乗れる。



「速い!速ーーい!!」



馬に乗って興奮するメル。

メルは何かに乗れれば何でも興奮するらしい。

馬で走って2時間、関所から一番近い町に到着。



「いい匂い!!お腹空いたのですぅ!」



食堂に入ってご飯を注文。

メルは顔に似合わず大食漢。

1人で3000ソーロ分食べた。


ご飯を食べ終えた後は少し休憩する事にし、町の隅に生えている木の下で仮眠。

メルは寝てる最中、ずっと俺の腕にしがみつく。


エルザートの時みたく匂いで正体がバレるような事は無かった。

匂いで魔物を見分ける能力を持つ存在は珍しいとユリウスが言っていた。

魔力を抑えていれば魔物であるとバレることはまず無い。


仮眠を終え、再度馬で出発。

数時間走っているとすでに夜となっていた。

馬で走っている途中、前方に火の灯りが見える。

前方に進むと、道に止まっている複数の馬車があり、道を塞いでいた。



「おお、もしや旅のお方ですかな?」


「・・・この先に行きたい。馬車が邪魔なんだが。」


「これは申し訳ない。ただ、この先の森に魔物が住み着いてしまって・・・通れなくて困っているのです。先刻、依頼した冒険者の一団が森へ入られたのですが・・中々帰ってこず我々は立ち往生しております。」


「お前たちは?」


「私達は行商人です。森の先にある町へ向かっているのですが・・・実はこの森の魔物に私たちの商売道具一式が盗られてしまいまして・・。なので取り返してもらうために冒険者に依頼をしました。」


「・・・俺には関係ないな。行かせてもらうぞ。」


「お、お待ちください!この先は危険です!何が起きるかわかりません!しかもこんな闇の中森に入るなんて自殺行為です!」


「だから俺には関係ない。」



行商人の制止を振り切って馬を走らせる。

しかし、



「ヒヒーーン!!」



危険を察知したのか、馬が先を走ることを嫌がった。



「馬などの動物は敏感ですから、危険を察知してこの先へは行こうとしません。」


「・・・たくっ。」



信次とメルは馬から降りた。



「信次様どうするのですぅ?」


「森にいる魔物に話をしてくる。このままだと先に進めないからな。」


「了解なのですぅ!」



信次とメルは歩いて森へ向かおうとする。



「お待ちください!」


「今度は何だ?」


「ほ、本当に森へ行かれるのですか!?」


「ああ、このままだと埒が明かないからな。」


「で、でしたら貴方様にも我々から依頼をさせて頂いてもよろしいでしょうか!?」


「依頼?冒険者と同じ依頼をか?」


「は、はい。行商人にとって道具は命です。なので取り返して頂けないでしょうか!?」



行商人全員が頭を下げて必死に懇願する。


なんで俺が人間の頼みごとなんて聞かなければならないんだ。

誰かに頼まれて良かったことなんて一度もない。

あの時もあいつに必死に頼まれて結局裏切られ、借金を負わされるはめになった・・。



「信次様、信次様~。」


「どうした?」


「メル、お腹空いてきちゃった・・。」



町であれだけ食ったのにもう腹減ったのか!?

メルが大食漢だったせいで余計な出費になったのに・・。

・・・仕方ない。



「お前たちの商売道具ってのはどういうのだ?」


「行商人によって道具は変わってきますが、宝石や衣類など、私は食材を主に取り扱っております。」


「・・・よし。じゃあ俺が取り返して来てやるから、報酬として金と食材を貰うぞ。」



食材を持っておけばいちいち人間の店に入らなくて済む。

金に関しては増やしておいて損はないしな。



「本当ですか!?わかりました。道具を取り戻して頂いた場合の報酬はきっちりお支払い致します。」


「じゃあ、俺たちへ森へ入る。」


「お気をつけて。」



信次とメルは森へ向かった。

森の中は月の光が届きにくく薄暗い。

だが、信次とメルは魔力を感知してどこに魔物がいるのか分かっていた。


少し森を歩いていると、目の前に人間の死体が転がっていた。

森の魔物に殺された跡だ。

進んで行くと人間の死体が2人、3人と転がっており、木々には血痕がべっとりついている。


さらに奥へ進むと音が聞こえた。

・・金属音。そして人の声。

音の方へ進むと森の中に開けたスペースがあり、月夜の光を照らしていた。

そこには魔物1匹と人間5人が戦っていた。

戦っている5人以外は魔物の周りに倒れており、無残にも引き裂かれ殺された形跡が見受けられる。


人間と戦っている魔物は・・ライオンの頭に尻尾が蛇・・。



「なんだあの魔物?」


「あれはキマイラなのですぅ。」


「お、おい!あんた!手を貸してくれ!!」



人間の1人が信次たちに気付き、応援を要請する。



「行商人の道具はどれだ?・・・・あれか。」



周りをよく観察し、一か所に大きい袋が何個もあった。

おそらくあれが行商人の商売道具だ。



「おい!!聞いているのか!!手を貸せ!!」



たく、なんだいきなり偉そうに。

命令するな。


信次たちはゆっくり人間たちの方へ歩いて向かっていく。



「早く来てくれっ!!」


「助けにきたぞー。」


「はあ、はあ、相手はキマイラだ!仲間が何人も殺られた!誰かは知らんが手を貸せ!」


「くそっ、魔物を片付けたら商人どもの品をそのままごっそり持ち逃げしようとしたのによ!こんな強い魔物だとは思わなかった!!お前は何ができる!?剣か?魔法か?あとで少し分け前やるから手伝えよ!」


「お前じゃない。」



信次は闇魔法剣(ダークソード)で男の首を刎ねる。



「なっ!?お、お前!!な、何しやがる!?」


「助けに来たのはお前ら人間じゃない。キマイラの方だ。・・・メル。」


「はい!なのですぅ!」



メルは人間の方へ向かってダッシュ。

拳を振り上げ殴りつける。

男は吹っ飛び、木に叩きつけられ、顔はぐちゃぐちゃに潰れていた。



「お前ら魔物の仲間かぁぁ!!」



1人の男が信次に斬りかかってくるが剣もろとも胴体を斬り、男は真っ二つ。

そのままキマイラを襲っているあと2人の冒険者を立て続けに斬り殺した。

キマイラは信次たちが魔族で敵ではないことに気付く。



「大丈夫だったか?」


「グルルル・・。」



そうか。俺は基本言葉が喋れる魔物としか接していなかったから忘れてたけど、大体の魔物は喋れないんだった。

でも俺の言葉は理解してるっぽい。



「悪いんだけどさ、お前が盗った物貰っていいか?この先の旅で必要なんだ。代わりにここにいる人間でも食ってくれ。・・あと、この後俺たちここの森を通るから間違って襲うなよ?その後に来る人間に関しては好きにしてくれ。」



するとキマイラは顔を頷いた。



「ありがとう。じゃあ貰っていく。・・・メル、少し運ぶの手伝ってくれ。」


「はーい!」



信次とメルは荷物を抱え、来た道を戻る。

暫く歩くと森を抜け、行商人が待つ馬車に着いた。



「おお!!ありがとうございます!!ありがとうございます!!まさか本当に取り返して頂けるとは!!」


「依頼は果たした。報酬をくれ。」


「はい!・・・・・それではこれを。」



行商人から報酬として5万ソーロと大量の食材を受け取った。

馬に荷物を乗せる。



「あの~・・。」


「まだ何かあるのか?」


「いえ、他の冒険者たちはどうなりましたか?」


「・・・全員魔物に殺されていた。」


「そ、そうですか・・。」



信次とメルは馬に乗り、森へ向けて走り出す。

森を走っている途中でキマイラを見かけたメルは手を振っていた。

馬は恐れを感じて走る速度を上げた。


やっと森を抜け、平野に辿り着いた。

だが、ムヴルヘイムへまでの道のりは始まったばかりだ。

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