表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/41

第1話「召喚されし者」

初めてファンタジー書いてみました。

拙い文章ですがよろしくお願いします(^ ^)

俺は人間って生き物が嫌いだ。



ああ・・・


憎い・・・


世の中の人間全て消えろ・・・


人・・・消えろ・・


街中のカップル・・・鬱陶しい消えろ・・


親子・・幸せって顔してるんじゃねえ・・消えろ・・



消えろ消えろ消えろ・・・



街中を歩いているといつもそう思ってしまう。



なんでこの世は不公平なんだ?


俺が何をした?


俺の何が悪い?


今この瞬間隕石が落ちて全員死ねばいい・・


死ね死ね死ね・・・




--------------------------



俺の名前は加藤信次かとうしんじ

「信じる心を持ち続ける人になってほしい」という意味を込めて名付けられたらしい。



なんで俺にこんな名前をつけた?

信じる?誰を?

人は簡単に裏切る生き物だ。

何を信じればいい?

信じれば何か起きるのか?



そもそも人生最初に俺を裏切ったのは「信次」と名付けた実の親だ。

親は俺がまだ5歳の頃に育児放棄して捨てた・・。


ある冬の日、親に人が滅多に来ない山に連れていかれ、親は「ここで待ってなさい」と言った。

「どこに行くの?どれ位待てばいいの?」と聞いても「待ってなさい」としか返答が無い。

そして親はどこかへ行った・・。

「待ってなさい」と言われたからずっと待ち続けた。

でも、いくら待っても親は迎えに来ない。

山の中は寒くて凍えそうになる。身近に食べ物も無い。

周りは真っ暗で怖かった。

でも親が迎えに来てくれる・・そう信じていつまでも待っていた。

・・でも結局来なかった。

そして俺は寒さと飢えで死にそうになった。

山中で倒れていたところを偶然通りかかった人に発見され保護。

その後俺は施設に引き取られた。



その次は施設で一緒に育った奴らが裏切る。


ある日、施設に置いてある花瓶を俺を含めた数人が遊んでいたらぶつかって落として割ってしまった。

割ってしまった罪悪感でオロオロしていた俺たちの中の1人の男子が、



「この事は黙ってよう。俺たちの内緒だ。」



と言い、皆んなで綺麗に掃除して割ったことを黙っていた。

・・しかし、花瓶が割れた事がバレてしまった。

誰が割ったのかという話になり、全員が何故か俺だけを指差す。

弁明したが俺以外全員が俺のしたことだと主張しするものだから当然俺だけのせいになる。

そして施設内でそのうち俺は仲間外れにされた。


俺は何もしてない。だけどある日突然相手にされなくなった。

ご飯のおかずは無断で取られ、殴る蹴るの暴行を受けた。

施設の大人も子供の悪ふざけというだけで済ました。



その次は学校の奴ら。

目つきが悪い。たったそれだけの理由で周囲から孤立。

最初は「仲良くしようね」って言っていた奴らも当たり前のように離れていく。

高校までの学生時代は常にいじめの対象だった。

俺は何もしていない、ただ平然と過ごしていただけなのに。

だが、俺も決して抵抗はしなかった訳では無い・・。

抗ってみた。ある日、いじめグループ内の1人を闇討ちした。

そしたら後日数人から報復を受けた。

その後、学校では有ること無いことの噂が広まり、暴力を振るわれようが笑いものにされようが周りは見て見ぬふり。

だけどいつか、誰かが俺に手を差し伸べて助けてくれると信じたが結局誰も助けてくれない。



この世は弱肉強食。弱い者は強者に蹂躙され、しまいには淘汰される。

それを俺は思い知り、人間不信に陥った。



高校卒業してから施設を出て就職して働き始めたが、職場では全ての失敗を俺に押し付けられ、興味もない女性からセクハラを受けたなどと虚偽の報告をされ、会社に居場所はなく長続きせず退職。

只、友人と呼べるかどうかはわからないが少し話せる同僚は会社内にいた。


退職して少し経った頃、その元同僚から連絡があり久しぶりに会った。

その元同僚は俺に相談事を持ちかけてきた。

頼めるのが俺しかいないと言ってくれた。


俺に頼みごとをする人なんて今までいなかった・・・

頼られてると思って正直嬉しかった・・・


元同僚は「迷惑はかけないから信じてくれ」と必死に頭を下げて懇願してきた。


・・・俺は元同僚を信じ、紙に個人情報を記入して印鑑を押した。



それから1ヵ月ほど経った頃、知らない番号から電話がかかってきた。

元同僚の消息が途絶えたと伝えられた。

同時に早急にお金を払えとも言われた。



どうも元同僚は多額の借金を抱えていたらしい。

そして逃げた。

おれが書いたのは連帯保証人の紙だったらしく、元同僚は逃げて消息不明になったので支払いの矛先が俺に向けられた。

こうして俺は元同僚の全ての借金を背負わされた。



何が「迷惑はかけないから信じてくれ」だ。

頼られてると勘違いして信じたあげく裏切られ、多額の借金を背負わせて。



借金返済のためにバイトを何個も掛け持ちせざるを得なかった。

バイト先からは白い目で見られる。

当然良い人間関係は構築できず、朝から晩までバイトして帰ったら寝る。

起きたらバイトし帰ったら寝るの繰り返し。

日々借金返済のために動いている。



なんだよ俺の人生・・

俺は悪いことしたのか?

普通に生きてきただけ。

特に何もしてないのに虫みたいに邪魔者扱いにされ、蔑むような目で見てくる。

本当に世の中腐ってる。狂ってる。

人間って醜くて憎い生き物だ。



そう思うことが最近・・いや、ずっと以前から思っていた事だ。



街中で友達同士仲良く喋っている奴

家族で楽しそうに歩いている奴

カップルでショッピングしている奴

全員幸せそうな顔をしている。


なんで全員幸せそうな顔をしている?

なんで俺だけ幸せじゃないの?

全員死ねばいい・・・



人間って生き物は醜い、この世から駆逐すればいい。

人間って生き物は心底嫌いだ・・・


--------------------------


今日も借金返済のために働きたくない仕事をする。

俺ってなんのために生きてるんだ?

俺自身が死んで楽になればいい・・・

そんな事何百回思ったことか・・・

でも自ら死ぬ勇気は俺には無い・・

だから今もこうして生きている。



信次は仕事を終え自宅に帰宅。

住んでいるのは駅から遠い家賃の安いボロアパート。

家に入るためドアを開けるとドアの隙間に挟まっていた一枚の封筒が地面に落ちた。



「・・なんだこれ?・・誰からだ?」


信次は封筒を拾った。

封筒には送り先が書いておらず宛名も無い。

一旦家の中に入り、着替えてから封筒を開けた。

封筒の中には一通の手紙が入っていた。

手紙の冒頭には、



- 拝啓、寒さも日毎に増します今日この頃、ご多忙の中にも活気あふれる日々をお過ごしのことと存じます -



「活気あふれる日々?・・ふざけんな、どこに活気あるんだよ。」



嫌味ったらしい文を読んで気分が悪くなった。

しかし続きを読むと



- さて、いきなりで恐縮ですが本題に入らせて頂きます。加藤信次様、貴方様は度重なる選考の結果、見事選出されましたこと報告致します。誠におめでとうございます。-



「選ばれた?なんのことだ?・・詐欺か。くだらねぇ。」



- 見事選ばれた貴方様を本日日付が変わる時お迎えに参ります。身支度の準備を整えて頂く様お願い申し上げます。-



「は?迎えに来るって!?なんだこれ借金の催促かよ!マジふざけんな!!」



- ちなみに本日日付が変わるまで外には一切出られませんのでご了承願います。では、お会いできるのを楽しみにしております。-



「何言ってんだこいつ。無理矢理連れて行って強制労働させる気かよ・・・。外に一切出られないって、何人かで外を見張ってんのか?」



恐る恐る窓を開けて外を確認しようとする。

しかし、窓が開かない。



「な!?なんで窓開かない!?」



窓の鍵は閉まってない。でも窓が開かない。

思い切り引っ張ってもびくともしない。

次に玄関のドアを開けようとしたがこちらも開かない。



「なんで!?どうなってる!?」



急に得体の知れない恐ろしさが体を伝わる。

窓を割る為テーブルを持ち上げ、思い切り投げる。


しかしテーブルをぶつけても窓が割れない。



「はははは・・・どうなってんだよ・・」



本当に外に出ることができないので部屋に座りこみ、そのまま時間が過ぎていく。


日付変わったら迎えに来る・・

どうなるんだ・・?

どこかへ連れて行かれて強制労働・・?

いや、人身売買されるのか?


でも・・・

これで死ねるならいいか・・・

結局自分自身では死ぬこともできないんだ・・・



携帯を見て0時まであと5分。

身支度を済ませるように紙に書いてあったが、これから拉致されて死ぬのだから支度する必要が無い。

だけど今は12月。せめてコートくらいは羽織って行こう・・・



----0時----


日付が変わった。

誰かが入ってくるのか注視していたが、誰も来ない。

周りからも誰かが近寄ってくる音はしない。



「なんだよ、やっぱりデマかよ・・」



そう呟いた瞬間、

足元の畳が赤く光り、畳にはまるで魔法陣のような模様を描いたものが映し出された。



「!!?」



その魔法陣から突如黒い腕が出てくる。



「なっ!?な、なんだよ・・これっ!?」



信次は玄関の方へ走るも黒い腕は信次の足を掴む。



「うわぁぁ!!ななななんだよ!!?」



足を掴み魔法陣の方へ徐々に引きずり込む。



「やめろ、やめろぉぉ!!」



黒い腕を蹴るもビクともしない。

ついに信次の体は魔法陣の中に入る。

下から引っ張られるように引きずり込まれる。



「どうなってんだ!?畳に穴!?うわぁぁ!!」



引きずり込まれ穴に落ちそうになるのを必死に畳を掴んで抵抗する。

だか、黒い腕の力が強すぎてついに信次は穴に落ちた。

そして一瞬にして視界が黒くなり、信次は意識を失う・・。


———

——————

—————————



・・・俺は死んだのか?

部屋に変な光が出て、体が引きずり込まれて、視界が真っ暗になって・・・

周りが妙に騒がしい・・

なんだ?うるさいな・・


目をゆっくり開くと俺は床に倒れていた。

ひんやりと冷たい床・・

俺の和室の部屋とは違って大理石の床・・

うつ伏せから仰向けに態勢を変えると視界に映るのは高い天井。そして無数のシャンデリア。



「「起きたぞぉぉーーーー!!」」


「「おおぉぉーーー!!」」


「「新たな魔人様だーーー!!」」



部屋に響く大きな叫び声。

1人や2人ではなく、かなりの大人数の声が聞こえる。

驚き、顔を上げ、周りを見渡すと、


人とは思えない形相した者たちが周りを囲んでいた。

体格も人の2~3倍はある。


なんだこいつらは・・!?

特殊メイク!?

どこに連れて来られたんだ!?



「ようこそお目覚めになられました。加藤信次様。」



大群の中のどこからか声が聞こえてきた。

すると叫んでいた者たちが静まり、取り囲んでいた者たちが横にずれて道ができた。

その道からゆっくりと信次の前に1人の老人が歩いてくる。

その老人の格好や顔つきは他の奴らとは違って人に近かった。



「ほっほっほっ、お待ちしておりましたぞ。」



何が何だかわからない。状況が飲み込めない。



「ふむ、まだ混乱しておりますの~。水を持ってきなさい。」



そう周りにいる者たちに指示すると、急いで水の入ったコップを持ってきた。



「ささ、これを飲んで一旦落ち着きましょう。」



その老人はコップを俺に渡した。

そして俺は水を飲む。



「どうですかな?喋れますかな?」



周りにいる奴らの身なりや叫び声に戸惑ったが水を飲んだら落ち着いてきた。



「ああ・・こ、ここはどこだ?俺はどこに連れて来られたんだ?」


「ここは魔境ミッドガルド。そして今現在おりますのがミッドガルドにある魔王様のお城でございます。」



ミッドガルド?魔王?

何を言っているんだこの爺さんは・・



「長年探し求めておりました。貴方様のようなお方を。」


「何させられんだ?・・やっぱり人身売買か?」


「はて?何のことでしょうか?貴方様の体を売ろうなんて思っておりませんぞ。」


「あ、あんたたちは一体誰なんだ!?」


「これは大変申し訳ございません。申し遅れました。私、ユリウスと申します。そして、私だけではなく、この場に居る者全てが魔族を統べる魔王様配下の従者でございます。」



また魔王って・・

何かの宗教団体か・・?



「借金の取り立てじゃないのか・・?」


「借金?いえいえ、それは貴方様の世界のお話になります。貴方様はもうあちらの世界にはおりませんので関係ありませんぞ。」


「・・は?あちらの世界にはいないってどういう事だよ?」


「そのままの意味でございます。」


「いやいや、わからん。」


「それでしたら、一度外を見てはいかがでしょうか?」



取り囲んでいた奴らがサッとどいて道を開ける。

その道を抜けると部屋の周りには大きい柱が何本も立っており、外が吹き抜けになっていた。

そして胸元ほどの高さがある壁に手をかけて外を眺めた。



上を見ると紫色の空、下を見るとまるでナイアガラの滝の数倍はあろうかと思えるくらいの滝が周りを囲み、滝の奥に広がるのは森林。森林の上空には得体の知れない馬鹿デカい生き物がうようよ飛行していた。



なんだこれ・・?凄い!!

こんな風景日本にあったか?

いや、すでに日本ではなくどこかの国に連れて行かれたのか?



「いかがですかな?」


「いかがって?ここはどこの国だ!?」


「国ではありません。先ほど申し上げました通り、ここはミッドガルド。ミッドガルドとは我が主の魔王様が支配する地でございます。」



「な、なんだよそれ・・はは、もしかしてこれって異世界に来ちまったってやつか?」


「はい。貴方様の住む世界と我々の世界は全く別物でございます。」


「嘘だろ?俺はまだ映画の撮影現場とか、何か薬でも飲まされて幻覚でも見てるんだと思ってるぜ?本当に異世界だとわかる決定的なものはないのか?」


「そうですな・・。この風景を見ればわかると思っておりましたが・・。致し方ありませんな。・・おい。」



老人は1人の男を呼ぶ。

その男はサイのような顔つきで、顔にデカい角が生えており、身長は3メートルほど。まるで丸太のような太さの腕をしていた。そいつの手には見たことのないくらい大きい斧を持っていた。



「は?」



そいつは斧を高くあげ、躊躇なく一気に振り落とす。


ズバッ!!ブシューーー!!


その瞬間、俺の右側から血しぶきがあがる。

血しぶきの方を確認すると腕が無くなっていた。

そして激痛が走る。



「うわっっっ!!あああぁぁぁ!!!!」



熱い!!痛い!!切られた!?

なんで!?


まるで噴水のように勢いよく血しぶきがあがる。

その場に倒れもがく。


痛い痛い痛い痛い痛い!!

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!


意識が・・飛ぶ・・・・



「ぐあぁぁぁぁ!!!」


「そろそろですかな・・」



老人がボソッと呟いた時、だんだんと出血が治まってきた。

同時に痛みも少なくなり、切り飛ばされた腕がトカゲの尻尾のように徐々に生えてきた。

信じられない光景・・



「はぁ、はぁ、はぁ・・・なんだよ・・・これ・・」



無くなった腕が完璧に再生した。

右手を何回も握っては広げて感触を確かめた。



「加藤信次様。どうですかな?」



明らかに夢ではない。

切られた時の死ぬかと思うほどの激痛。

そして切られた腕が再生したのを確認した。



「なんなんだよこれは・・」


「まだ体が馴染んでおりませんが、心配いりません。そのうち体が馴染み、再生速度も今のとは比べ物にならなくなります。」


「馴染むってなんだよ!俺の体どうなってるんだ!?」


「加藤信次様。貴方様は我々の世界に召喚され、高貴な魔人の体を手に入れたのです。つまり・・貴方様はもう人間ではありません。」



人間じゃない?もう魔人?

てか魔人ってなんだ??

・・でもたしかに腕を切り落とされて再生するなんてあり得ない。

でもなんでだ?



「・・・・なんで俺はここに来たんだ?」


「それは貴方様が長年強く願っていたからです。人間を憎み、嫌い、殺意を抱き、人間をこの世から消してやりたいと!」



たしかに人間は嫌いだ。人ってのは憎くて汚い、消えろと何度も思った。

だけどそれだけでここに連れて来られたのか?

俺みたいに思っている奴は沢山いるのではないか?


だけどそんなことを考えるより現実離れしたこの状況。

今までいた世界とは違う世界に来た。

借金に追われることはもう無い。

俺は自由だ。自由になったんだ。



信次から笑みがこぼれる。



「ははははは。おい、爺さん。俺はもう本当に人間じゃないのか?」


「はい。貴方様は魔人。人間という下等生物ではありません。」


「あっはっはっは!!・・いいね!魔人か!」



俺は自分がもう人間ではなく魔人になったことをすんなり受け入れた。

異世界に召喚されたとかどうでもいい。

なによりあの苦痛な世界から解放され、新しい人生が始まったことが何より嬉しかった。



「なぁ、俺はこれからどうすればいいんだ?何をすればいい?」


「貴方様はこれから人間族を滅ぼす為、魔王候補として鍛錬を積んで頂きます。」


「滅ぼす・・?人間を・・?」


「はい。人間は我々魔族にとって不要な存在。消すべき種族でございます。」


「滅ぼすって人を殺すってこと・・だよな?」


「はい。」


「いきなり殺すって言っても俺・・・。」


「案ずることはございません。すぐに抵抗は無くなります。」



ユリウスは笑顔でそう答えた。



「そういや俺が魔王候補って言ってたよな?候補ってことは他にもいるのか?」


「はい。候補は貴方様の他に3名おります。候補者の中から次期魔王が生まれるのです。」


「現魔王はいないのか?」


「おります。只、魔王様の寿命があと残りわずかなので候補となりえる者を集めておりました。」



魔王にも寿命ってあるのか・・

てっきり不死の存在だと思ってたが。



「なあ、俺以外にもここに連れて来られた奴はいるのか?」


「直近ではおりません。というのも異世界から召喚するには膨大な魔力が必要でございまして、1人召喚するのに数百年間魔力を蓄積しなければなりません。なので久方の召喚でございますゆえ加藤信次様が数百年ぶりの召喚者となります。」


「・・・・そういえば、俺の部屋に手紙があったよな?あれはお前が送ったのか?」


「そうでございます。」


「どうやって?ここから送ったのか?」


「以前、候補者を探すよう遣い魔を異世界に飛ばしたのです。そこで遣い魔が見繕ったのが加藤信次様という訳でございます。そして遣い魔と交信し、貴方様のお部屋に召喚陣を準備させて頂いた後、手紙を送らせて頂きました。」



手の込んだことを・・。



「遣い魔を飛ばすとか交信とか、手紙を送るって・・、それらも魔力ってのが必要なのか?」


「はい。遣い魔1匹を異世界に飛ばすのにも膨大な魔力を消費します。なので遣い魔を飛ばし、交信し、手紙を送り、貴方様を異世界から召喚するのに大体千年以上分の魔力を消費することになります。」



一大プロジェクトってことか・・。

手紙に消費するとか無駄遣いだとは思うが・・。

でも、それほどまでに魔王の候補者ってのが必要なのか・・。



「これから魔王様に挨拶に伺いますのでついて来て下さいませ。」


「え!?今から!?」


「はい。他の候補者の方も来ております。」



ユリウスはそう言って俺を魔王が居る部屋まで連れて行ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ