〜夏フェス前の休日②〜
第10章━7
《さあ、今日は体を動かすよぉ~》
スウェットのズボンにTシャツ姿の私が肩にタオルをかけた状態でキャシーに微笑む。
《ここって何?》
車に揺られて連れてこられた場所は郊外にあるアスレチックフィールドだ。今日は動きやすい格好で来るように伝えていたが、どこで何をするのかは言ってなかった。
ゴーシュとDDは元より動きやすい格好だが⋯⋯。
《今日は思いっきり体を動かして、運動不足を解消するんや!》
《それってリコがしたいことじゃない?》
キャシーがジトッとした目で睨んでいる。
《確かにそれもあるけどキャシーにも必要なことやで? 子供の頃にある程度の運動をしておかないと成長にかかわってくるからね。運動して筋力をつけたり、骨を丈夫にしておかないとチビのままやで?》
チビが効いたのかヤル気を見せるキャシー。
基本、素直なんだよね、この子。
我が儘も言うけどちゃんと説明すれば納得して聞き分けも良くなるし、上手く誘導すれば思ったより扱い安い。
《まずは初心者コースから始めよう》
そう私が言うと我先にとスタート地点に駆け出すキャシーの姿が目に映る。
《待てキャシー。危ないから一人で先に行くな!》
慌ててDDが追いかける。
その後ろを悠然と歩くゴーシュと私。
「ごめんねゴーシュ。面倒に付き合ってもらって」
今のうちにゴーシュへ謝っておこう。
「いや、別に⋯⋯」
相変わらず口数の少ないゴーシュから本心は読み取れないが、表情からは機嫌が悪くないことが分かる。
「逆にこういう場所は昔を思い出して懐かしく感じるくらいだ」
「昔って、あの頃?」
思わず聞き返した。
「あぁ。自然の中だと五感も冴え渡るしな」
「別に今あの頃の感覚は必要ないやろ?」
「そうかもしれんが⋯⋯」
そう言いつつもやる気が見え隠れしているゴーシュ。
確かにいつもに比べるとテンションが高そうだ。
「とりあえず俺達も行こうか⋯⋯」
照れ隠しなのか、そう言ってキャシー達のいるスタート地点に歩き出すゴーシュだった。




