~突然の告白~
第1章ー7
再婚しない宣言から半年。
ヨッシーと知り合って一年近く経っていた。
ある日、子供達とのやり取りをふと思い出し、笑い飛ばすと思って何気にヨッシーに話してみた。
すると、しばし沈黙の後…
「俺も…少し分かる。」
まさかの同意!
どうしたヨッシー!?
ヨッシーがバツ1って聞いた時は、今時珍しくないよなって思った。けど、お世辞にもできた人間ではなかった元旦那と比べ、この一年近くヨッシーを見てきた私としては、人としてアンタはかなり"できた人間"やと断言できるよ!
奥さん何で離婚したんやろ?って不思議に思ってたのも事実だし。
ただ、あんまり突っ込んで聞ける話でもなかったから敢えて触れてなかったんだけど…。
私達は今まで話せず心の奥底に閉じ込めていた過去の話を明け方近くまでした。
泣いた。
主に私が怒りながら号泣!
カーテンから光が差し込み、雀の声で朝が来たことに気づいた私は電話を切ろうと、
「じゃ、長々とゴメン。またな。」
と、ヨッシーに告げた。
何より泣き疲れて睡魔が猛スピードで襲ってきていたのだ。
「あっ、待って!」
普段からは考えられないくらい自分の過去を喋ってくれたヨッシー。まだ話足りんのかな?と思った私に、
「俺、典子さん好きです。」
「!!!」
睡魔とベッドインしかけたら、そこから叩き起こされた。
「えっ!?」
「また連絡します。じゃあ。」
プツンと電話は切れた。
しばし絶句し、ヨッシーの告白の意味を必死で考えようとした私だが、あまりの衝撃で頭も回らず、怒涛のように襲い掛かる睡魔に勝てる訳もなく、
『とりあえず今日は休みだし寝よう…』
と、薄れゆく意識をマッハで閉じた。
昼過ぎに目覚めた私は、ラインを見て夢でなかったことを実感した。
『さっき言ったことは本心です。典子さんが好きです。お互い過去は把握できたので、今度はこれからの話をしませんか?』
これからって?
付き合うとかって話?結婚したくないって話した後に"これから"の話って何?
今の関係が良かったのに。
寝起きの私は考えがまとまらず頭の中でグルグルと色んな事を想像してみた。
①『好き』→『付き合う』→『結婚』→『無理』→『今の関係は終了』
②『好き』→『付き合う』→『セフレ?』→『無理』→『今の関係は終了』
③『好き』→『付き合うのは無理』→『今の関係は終了』
これからのいい未来が見えない。(泣)
こんなにも性格が違うのにメチャクチャ自然体でいられ、気を使わずに何でも話せて、この年になって出来た久々の異性の友達。めっちゃ大切にしたい。でも同じように裏切られ恋愛から距離を取っていた二人が付き合うって傷の舐め合いっぽくない?とか、女捨てて生きてきたのに今さらエッチとか無理!とか、実は眠気にやられ冗談のつもりで本気ではなかった…などと、まとまらない考えを繰り返しても仕方ないので腹をくくってヨッシーに返事を出した。
『仕事が落ち着いたら連絡して。』
もう後には引けない。
なるようにしかならない。
最悪の場合、残念だが今の関係は終わる。
できるだけ連絡が遅ければいいのに…と弱腰な私は洗面所で顔を洗い、来るべき決戦に向けて夜までに家事を終わらせておこう!と動き出した。
吉岡典子、41歳。一度死んで異世界で転生し、その異世界で亡くなった魂が元の体に戻るという、とてつもないイレギュラーな体験をした主人公。二人の子供を持つバツイチのシングルマザー。
吉川光輝、36歳。あだ名はヨッシー。バツイチ。身なりに無頓着でちゃんとしたらモテるのに敢えてオタクを装おっていたイケメンSE。物好きにも典子に惚れた奇特な男。
吉岡亘、21歳。
ゲーム好きの典子の息子。普通の会社員。
吉岡亜紀、16歳。
しっかり者の典子の娘。アイドル好き。