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~王子は魔女に騙されない・番外編①~

更新がかなり遅れて申し訳ありませんでした。消費税の切り替えやら軽減税率の準備などで半月ほど夜中まで残業が続き、睡眠時間すら足りない状況が続いていまして…。やっと落ち着きました。待っていてくださった方達には感謝しかありません。ありがとうございます。

第4章ー11





カメラが一旦止まり撮影が次のシーンに移ろうとしていた頃、私は2階のバーカウンターで2人に吊し上げられていた。

「ゴメン…」

小さな声で2人に謝る私。

「俺、ショックだったわぁ…」

(コウ)さんがいるのに…」

ここぞとばかりにチクチクと責め立てる2人。

「いや、元々が(コウ)君の頼みだったから仕方なく受けたんやで私!」

必死に説明するが、

「何がショックかって俺らにだけ秘密にしてたことだよな?」

「あぁ、まさか他人から知らされるとは思ってもなかったよ…」

「ゴメンッ!ホント申し訳ないッ!!」

ひたすら頭を下げることしかできない私。

だが、ふと気づいた。

「…ところで誰から聞いたん?」

すると龍斗が、

「俺が撮影中にあの淳史が見せてくれた映像で典ちゃんに気づいたんだよ」

「えっ!そうなん?」

淳史のボケがぁ~。

やっぱり白紙がお似合いやなオマエは!

「それを龍が俺に知らせてくれたところ、郷田さんがポロッと口を滑らせてくれて…」

「へっ?」

「郷田さん、知ってるもんだと思ってたみたいでペラペラ喋ってくれたよ…」

Ryoが呆れたようにネタバラシしてくれた。

「郷田ぁ~、ダメやろソレ…」

今度会った時に説教やな。

「そこで、典ちゃんがいない時に(コウ)さんに2人で詰め寄って聞き出したんだよ」

龍斗がニヤニヤしながら答える。

(コウ)さんは必死に謝ってくれたよ。でも俺達に内緒にしようって言い出したのはどう考えても典子さんでしょ?」

Ryoはとことん(コウ)君に甘いな…。

「だから俺達に秘密にしてた罰として今回のドッキリ作戦を準備してたんだよ」

「この1週間大変だったんだぜ?」

「アンタらが忙しそうだったんはコレで?」

「「そう、コレの為!」」

「バッカじゃないの!?忙しい時にそんな無理して。その分休んだら良かったやん!」

「でも割りと楽しかったよな?」

Ryoから思いもかけない言葉が出た。

「うん。典ちゃんの驚く顔とか想像しながら作戦考えるのメッチャ楽しかった」

龍斗が子供のように笑う。

そんな2人を見て私は何も言えなくなっていた。

「んじゃ、そろそろ帰ろうか…」

私がそう言って立ち上がろうとすると、

「甘~い!」

龍斗が腕を掴んで引き留めた。

「お楽しみはこれからだから…」

Ryoがギリシャ彫刻のように整った顔で微笑んだ…。



「…あのぉ~これって有りなんですか?」

私は番組スタッフに確認していた。

「はい。Ryoさんと龍斗さんのが出演してくれるなら番組も超盛り上がるだろうからって、ディレクターが全面OK出してるんです」

さすが日本屈指の人気俳優と人気アーティスト。

そりゃオファーしてもなかなか出てもらえない超人気タレントがノーギャラで自ら出演してくれるとなれば断るという選択肢はないだろう。

「でも私、失格して脱落してるんですけど…」

「まぁ、そうですね…」

「淳史は帰りましたよね?もういないし…」

「あぁ…確かに帰りましたね…」

「なのに私は参加してるってマズイでしょ?」

「番組に参加って訳じゃなく、脱落後に別枠で遊びに来たって(テイ)みたいですよ。その代わり遊んでるとこを撮影させてもらうってのがRyoさんと龍斗さんからの条件だったみたいで…」

「いやいやいや、甘過ぎやろ~」

そんなやり取りをしていると、

「お~い、典ちゃん早く来いよぉ~」

龍斗が大声で私を呼んでいる。

「さっさと行こうぜ」

Ryoもすっかりその気になっている。

ここは郊外にある大型遊園地。

残留メンバーへのご褒美で今から閉園までの約6時間をこの遊園地で撮影する予定だったそうだ。

残った10人がグループだったり、ツーショットになったりして遊園地を満喫する場面を撮影する予定が、まさかのRyoと龍斗が参戦するとなり撮影クルーが2グループに分かれてついてくることになってしまった。

「いつもよりスタッフが多いとは思っとったけど専属でついて来るわけ?」

「そりゃそうでしょ?素人の男チームより断然撮れ高ありますからね!私もこっち担当でラッキーですよ!今日女性スタッフの意気込み凄かったんですから!」

興奮気味の音声さん。

「そりゃ良かったですね…」

そう言うと私は一生懸命手を振っているRyoと龍斗のところに駆け寄って行った。



「「うわぁぁぁぁ━━━━ッ!!!」」

「いやっほぉ━━━━い!」

早速アトラクション巡りを始めた私達はまずはこれからだろうとジェットコースターにやって来た。

番組的にRyoと龍斗をメインで撮りたいだろうから、座席はRyo・龍斗・私の順で乗り込んだ。

こうすれば2人のアップも撮れるだろう。

前もって撮影スタッフに無理を聞いてもらったお詫びとして、撮れ高に協力します…と伝えておいたのだ。

それにしても龍斗のテンションが爆上げなんだが…。

まるで小学生の子供みたいにハシャギ回っている。

「次どこ行く?どれにする?」

「ちょっと待ってよ。龍斗急ぎすぎ」

「じゃあ観覧車に乗る?」

龍斗が大型の観覧車を指差す。

「チッチッチッ!分かってないねぇ。観覧車は日が落ちてライトアップされた時に乗る方がえぇんやで。遠くの景色まで見えるから街の灯りでさえもキレイに見えるし」

「そうなんだ!なるほどね」

「素人やのぉ~おぬし(笑)」

素直に話を聞いている龍斗がメチャクチャ可愛い。

可愛いなんて言ったら本人は怒るかもしれないが、ずーっと昔に子供達と一緒に遊園地に来たことを思い出すくらい、龍斗の行動は本当に無邪気な子供のようだった。

「じゃあ、アレに乗ろうぜッ!」

龍斗の指差す先にはフリーフォールが。

「…俺パス!」

Ryoが速攻で拒否する。

「えぇ━━━━っ、何でだよ?」

「典子さんと2人で行ってこいよ。俺はちょっとここで休んでるからさ」

そう言ってRyoはスタッフに何か耳打ちした。

「分かった。じゃ、典ちゃん行こうぜー」

私の手を引っ張って目当てのアトラクションに走り出す龍斗。その後をスタッフが追いかけて来る。



「ありがとう」

「キャ━━━ッ!」

「いいの?ありがとね♪」

「握手して下さい!」

「いいよ。はい、ありがとう」

週末土曜の夕方というメチャ混みまくっている遊園地の人気アトラクションなのに、私達2人はどんどん前に進んでいた。

龍斗が握手したり、ハグしたり、写真を撮ったりしてあげると自然に、

「どうぞ!」

と、順番を譲ってくれるという法則が働いていたのだ。

「龍斗といるとファストパスより早いな(笑)」

「何それ?」

「知らんならえぇわ…」

私達の待ち時間はほとんどなく、ただ通路を進んで行くぐらいのスピードでフリーフォールに乗る順番が来た。

「これ、つけてもらえますか?」

ついてきていたスタッフがCCDカメラを渡す。

「バラエティーでよく見るやつやん」

「これどうすんの?」

龍斗はよく分かっていないようだ。

「頭につけて落ちてる時の表情を撮るんや」

「典ちゃんも?」

「何で私までつけるん?アンタやろ!」

「えぇ~。俺だけぇ?」

龍斗がゴネたもんだから、なぜか私までつけることになってしまった。

素人のオバサンが絶叫してるとこ見たいか?

まぁ、カットだろうな…。

「じゃあ、いってらっしゃぁ~い」

アトラクションのスタッフが合図を言った途端、

「「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」

ものすご勢いで下に落ち始めた。

と、思ったら今度は上に上がって行く。

足元はフワフワしてるし、内臓が体内で上下している感じがしてエグい。

何回か繰り返した後、戻ってきた私達はフラフラしていた。



「お疲れさん。どうだった?」

満面の笑みで私達を迎えるRyoの顔は、少し乗り物酔い気味だった私にとって抜群の清涼剤として役立った。

「ちょっと落ち着いた乗り物に乗ろうよ」

そう言った私の提案から女性スタッフの強固な勧めで、なぜかメリーゴーランドにやって来た。

「「白馬にまたがる王子様を見たい!」」

という女達の欲にまみれたリクエストだった…。

とはいえ、私もその意見には大いに賛成したためメリーゴーランドにまたがっているのはRyoと龍斗の2人だった。

回り始めた途端、子供のようにはしゃぐ龍斗。

営業スマイルは欠かさないが明らかに覚めてるRyo。

帰ったら(コウ)君にも見せてやろうと私も個人的に動画や写真を撮っていた。

SNSにも載せたらいいしね?

「典ちゃぁぁぁ~ん♪」

メッチャ手を振っている龍斗(笑)。

子供かっ?

セリフを「お母さぁ~ん」に変えても違和感ないくらいやで、アンタ?


と、そこでふと気付いた。


龍斗は遊園地に来たことがあったのだろうか、と。

いったん気付くとその疑問はどんどん膨らんでしまい、満足気に白馬から降り立った龍斗に私は尋ねた。

「なぁ、龍斗。もしかして初遊園地?」

「あぁ、そうだよ。メッチャ面白いな!」

「ッ!!!」

バカッ!私のアホんだらぁ!

施設にいた龍斗が遊園地に連れて来てもらえたはずがないだろう。

そんなことも忘れていたのか私は!

そんな自己嫌悪にまみれている私のことを知ってか知らずか、龍斗は周りを見回しながら、

「みんな楽しそうだよな。自分の好きな友達や恋人、家族達と一緒に思いっきり遊べるんだもんな」

泣きそうだ…。

龍斗、オバチャン泣きそうやゎ。

当たり前の子供時代を知らない龍斗にとって、目の前の光景はどんな風に見えているのだろうか?

「龍斗ッ!」

思わず横から龍斗を抱き締めた私だったが、周りから見ると木に止まった蝉のようだったろう。

「どした典ちゃん?」

不意にしがみついてきた私を不思議がる龍斗。

「今日は思う存分楽しもうな!」

「あぁ、もちろんッ!」

私の言葉に速攻で返す龍斗。

それを保護者のような視線で見つめるRyo。

「じゃ、次行こうぜー」

「おうッ!」

私の号令と共に龍斗は走り出した。

次は近くにあったコーヒーカップのようだ。

スタッフ達も慌ててついて来る。

そして3人で乗ったコーヒーカップでは馬鹿2人が思いっきり回したため、遠心力で体がのけ反った私の上半身がカップの外側に飛び出し、

「やめろぉぉぉ━━ッ!バカぁぁぁ━━ッ!」

大騒ぎになった。

必死にカップの縁を握り締め、飛び出さないように踏ん張った私のお陰で何とかなったが、あやうく事故に繋がりそうなことをしたため、係員さんからは厳重注意を受けた。

(主にスタッフの皆さんが…)

主犯2人は必死な私を見て大爆笑していたが…。

もちろんカップから降りて復活した私に鉄拳制裁を受けたことは言うまでもない。




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