表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/87

~王子は魔女に騙されない⑤~

第4章ー9




「なんとか間に合ったな」

「お疲れ、泰之」

「おう、健人も慣れないことして大変だっただろ?」

そう2人がお互いを称えあっていると透がお茶を持ってきた。

「お疲れさま。とりあえずこれ飲みなよ」

「おう、サンキュー」

「thank you so much!」

やり遂げたという達成感の中、3人は不思議な連帯感も芽生えていた。

「片付けしたら部屋の中に入ろうぜ」

「僕はシャワーが浴びたいです」

「この場合、風呂だろ?なぁ透?」

「確かに。泰之さんの言う通り食事の前にお風呂に入りたいですね」

「じゃあ、サクッと片付けるかぁ~」

そんな会話をしながら3人は工具やゴミの片付けをし始めた。



部屋の中では誠と淳史が1F女子チームにちょっかいを出していた。

「俺めっちゃ腹減ったんだけどぉ~」

「何ができたのか楽しみだよなぁ~」

キッチンに入ってきて夕食のメニューを確かめようとしている。

「後のお楽しみなんで見ないでくれるかな?」

彩華が注意する。

すると桜が疑問をぶつけた。

「それより、そっちはちゃんと出来たの?2人共、後半ずーっとリビングにいたよね?」

「あぁ、フォトフレームだろ?簡単だったよな」

「そうそう」

誠と淳史は適当な返事をする。

そこへ泰之のグループが戻ってきた。

「お前ら外でまだ洋輔が薪割りの片付けしてんのに、何サボってんだよ!?」

真冬にTシャツ姿で汗を拭きながら戻ってきた泰之が声をかけた。

「それに割った薪も裏の小屋に運ばなきゃダメなんだろ?何で洋輔1人にやらせてんだよ!」

「俺達はフォトフレーム係だったから」

淳史が悪びれずにそう言った。

「Why?それこそ1人でできる作業だと思うけど?」

それを聞いた透が、

「僕、手伝ってきます」

空のコップを乗せたトレーをテーブルに置くと小走りに外へ出て行った。

「お前らも行けよ!」

ガタイのいい泰之と健人に睨みをきかされ、誠と淳史は渋々手伝いに向かった。

「何アレ?」

「協力って言葉知らないのかな?」

彩華と美幸があからさまに非難の声を出す。

「まだまだ子供ってことじゃない?」

そう言ったのは桜だった。

「ある意味、単純だってことよ(笑)」

桜のあっけらかんとした言葉に、

「そうかもしれないけど…」

納得がいかない彩華だった。

「それより料理は完成したの?」

美幸が話題を変えた。

「「なんとかね」」

彩華と桜が声を揃えて返事をした。



「あぁ~、気持ちイイ~♪」

「極楽、極楽」

「やだっ、ババ臭いからヤメてよ(笑)」

夕食作りが終わった女性陣はみんなで風呂に入っていた。

もちろん男性陣も同様にもうひとつの風呂に入っている。

片付けや身支度を含めて、夕食は19時半からメインダイニングで取ることとなった。

「ねぇ、食事の後で呼び出すんだよね?」

「そうそう。みんな誰狙いなの?」

1Fチームの彩華と美幸と桜が聞いてきた。

「そっちこそ誰ですか?」

2Fチームの弘美が質問返しをする。

「私達は既に暴露し合ってますから」

陽子も弘美に加勢する。

「えぇ~マジで?」

「誰?教えてよ?」

「私も知りたい!」

そう言う3人に、

「まずはそっちから教えてくれる?」

私も加勢することにした。

「じゃあ、ジャンケンで決めよう」

美幸がジャンケンを提案してきた。

「代表が1人ジャンケンして負けたら言うの」

「いいよ」

私もそれに乗っかった。

「そっちは誰が出る?」

桜が尋ねる。

私達は相談して1番若い弘美が代表に決まった。

「そう来るならコッチは最年長が出るまでよ!」

美幸が鼻息も荒く前に出てきた。

湯船に浸かりながら弘美と美幸のが両者見合って、

「「最初はグー、ジャンケンポンッ!」」

「「「キャ━━━ッ!勝ったぁ!」」」勝ったのは美幸だった…。



「じゃあ、順番に教えてくれる?」

勝ち誇った顔の美幸が答えを迫る。

「仕方ない。負けたんで私からが発表します。私は泰之さんです」

弘美が潔く答えた。

「「「えぇ━━っ、そうなんだぁ」」」

3人のテンションが高い。

続けて陽子が、

「私は透君です」

そう言うと、

「えっ、何で何で?」

早くも質問責めにあっている。

「私は淳史」

「「「はぁ?何それ1番意味不明!」」」

「「ですよねぇ」」

私が発表した途端、みんな一致団結して責め立ててきた。

「まぁまぁ。それよりそっちも教えてよ」

私がそう言うと、

「私は健人。1番話が合ったから」

美幸が答えた。

秘書をしている美幸と英会話講師の健人かぁ。

確かにお似合いかも?

「私は洋輔」

「えっ、ちょっと待って!私も洋輔なんだけど!」

彩華と桜の狙いが被ってしまった。

「うわぁ~、バトルだね?」

「楽しみ~♪」

誰とも被らなかった私は、残念なことに狙いが被ってしまった2人を茶化しながら風呂から出た。

夕食が始まるまでのこの半日、参加者はそれぞれ番組スタッフから密かに呼び出され意中の相手をカメラに告白していた。

女性陣は風呂場での告白大会があった為、誰が誰を狙っているか把握できていたが、男性陣のやり取りは不明のままだった。

また、典江(ワタシ)としてはスタッフに聞くべき大事なことが2~3あったので、呼び出された時に必要なことは確認しておいた。

これでコッチは準備万端。

後は楽しい思い出作りをして別荘を後にしよう。

そう安心して今夜は最後の夜を楽しむつもりの私だった。



「遅いぞぉ~」

「待ちくたびれたじゃん!」

「もう腹減って死にそうだよ」

風呂からあがって身支度を整えた女性陣がリビングへ行くと、お腹を()かせた男共が夕食にありつくのを今か今かと待っていた。

「ゴメン、ゴメン!」

「すぐ準備するねぇ~」

そう言いながら女6人は自分の料理を各自でダイニングテーブルまで運んだ。

「じゃあ、始めよっか!」

リーダー役の洋輔が乾杯の音頭を取った。

「まず今日はみんなお疲れさま。特に泰之は大活躍だったな。女性陣もこんなにご馳走作ってくれて感謝してます」

「早く締めろよ、腹減ったんだって」

たいしたこともしてない淳史が茶々を入れる。

「そうだな(ワリ)い。とにかく風呂でサッパリしたことだし、後は食って飲んで騒ぐだけだ!みんなで楽しもうぜ、カンパーイ!」

「「「「「「カンパ~イ!」」」」」」

そう言って夕食が始まった。

8時近かったので全員腹ペコだった。

ダイニングの大きなテーブルに料理を並べたバイキングスタイルになっている為、どの料理を誰が作ったか本人以外は分かっていない。

男性陣はさっそく飢えた獣のように料理卓に群がって取り皿に料理を盛っていた。

私もさっそく食べることにした。

おいしい料理があれば(コウ)君に土産話としてレシピを聞いて帰ろうと思っていたし…。

っていうか、ものすごい勢いで料理が無くなっていく。

私も毎日、男3人分の食事を作ってはいるが今日はその倍の6人も成人男性がいる。それも力仕事を半日やって腹ペコ状態の男6人がだ 。

呑気にしていると一口もありつけないまま無くなりそうな料理も出てきた。私が楽しみにしていた陽子の中華だ。

作っていた時から美味しそうな匂いを部屋中にばらまいていたから食べるのが楽しみだったのに、すでに麻婆豆腐の皿は麻婆だけで豆腐の姿は消えていた。

私は陽子の隣に行き、

「ヤッパ男はガッツリ系が好きだね?」

と話しかけた。

「たくさん食べてくれて良かったぁ」

陽子はご飯と共に麻婆豆腐をかっ込んでいる泰之を見ながら嬉しそうに答えた。

しばらくすると減り具合で人気料理もハッキリと分かってきた。

ガッツリ系の中華は断トツの1番人気で麻婆豆腐から青椒肉絲、エビチリなどは飛ぶように売れていた。ちなみに一緒に作った唐揚げも人気でもう5個しか残ってなかった。

「冬はヤッパリ鍋が恋しいよなぁ」

「1人じゃ、鍋なんてしないしな」

と言う意見から意外と鍋も人気だった。

逆にオシャレに走った冷製カルパッチョや中途半端なビーフストロガノフは不人気で、極めつけはパスタ。湯がいて和えただけなら普段から男でも作れる料理だ。

やはり真冬ということもあり温かい料理が好まれたのだろう。私のカレーもまさかの2番人気だった。

さすが日本の国民食!

カレー嫌いな男ってまずいないよね?

それに私達2Fチームは協力して食材を買ったので品数も多めに作れたのだった。

鶏モモ肉は鍋と唐揚げ用にまとめて買い、鶏団子用の鶏ミンチとは別に麻婆豆腐用と私のカレーにトッピングとしてつけるハンバーグ用に合挽きミンチもまとめ買いしていたのだ。

野菜は元よりメイン食材も一緒に共同購入した為、1Fチームとは見た目も量も段違いだった。

もちろん味もだが(笑)。



食べている最中に誰が何を作ったかの発表になり、陽子は男性陣から拍手喝采を受けていた。

ものすごく照れくさそうにしていたが泰之に、

「マジでおいしいよ!昼間頑張った甲斐あったわ」

と言われ嬉し涙を流したことは見逃さなかったぞ。

私のカレーはというと、

「カレーにまずハズレはないからな」

「カレーは飲み物だし」

などと誉められてるのか、けなされてるのか分からない意見も出ていたが、結果完食という2番人気で終わったのだった。



余った予算で買っていたビールと酎ハイや番組からの差し入れのワインを飲みながら盛り上がっている中、気づけばそれぞれが気になる相手にそれとなく声を掛けツーショットになっていた。

女性陣はお互い狙っている相手を知っているが、男性陣にバレたくないからかフェイクの呼び出しをしている者もいた。

ちなみに私は予定通りに淳史を呼び出していた。

逆に男性陣はそれぞれが順番にみんなを連れ出し話をしているようだ。

例に漏れず私も呼び出されていた。

それも誠と淳史と健人と透に。

誠は前回の動物園デートでは誘ってくれたのに今日は素っ気ない感じがする、と愚痴ってくるし、淳史は唯一私から誘ったもんだから既に自分狙いと思ったのか天狗になっていた。

健人は内緒話をするために私を呼び出していた。

英会話のできる参加者が私と美幸だったからだ。

透はお礼を告げに来ていた。

「典江さん、今日は本当にありがとう」

「え?何が?」

「今日、僕は何の役にも立たず終わると思ってた。泰之みたいなガテン系がいたら力仕事なんて僕に出る幕ないからね。でも最初に典江さんがアドバイスしてくれたお陰で、みんなのサポートをするって決めたら日頃接点のないような泰之や健人、洋輔とも仲良くなれた。一緒に協力して作業を達成できたってことは自分の役割も果たせたって思えたんだ」

どこか遠慮気味だった透が少し男らしくなったようだ。

「ちょっとだけ自信がついた気がする」

「じゃ、良かったじゃん」

「うん、本当に感謝してる」

「じゃあ、その勢いで目当ての子を誘ってきなよ?」

「えっ!えっ!?」

「私の勘だと陽子ちゃんか弘美ちゃんでしょ?」

「な、なんでっ?」

「目が追ってるし。気づくよ(笑)」

「バレてるかな?」

「とにかくツーショットにならなきゃ始まらないよ!ほら頑張って行ってこい!」

「う、うん、頑張って行ってくる。ありがとう」

「幸運を祈る!」

そんなやり取りをしながら夜は更けていった…。




【女性陣】

典江(ノリエ)・・・典子の偽名、魔女、37歳と偽る。

彩華(アヤカ)・・・モデル、タレント、35歳。

美幸(ミユキ)・・・役員秘書、38歳。

(サクラ)・・・・ピアノ講師、もう1人の魔女、33歳。

陽子(ヨウコ)・・・保育士、36歳。

弘美(ヒロミ)・・・トリマー、34歳。


【男性陣】

(マコト)・・・・DJ、詐欺師役、28歳。

洋輔(ヨウスケ)・・・リーダー役の美容師、32歳。

(トオル)・・・・奥手な会社員、29歳。

泰之(ヤスユキ)・・・大工、30歳。

淳史(アツシ)・・・モデル、俳優、27歳。

健人(ケント)・・・ハーフの英会話講師、31歳。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ