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~無茶な提案③強敵再び~

第4章ー3





それぞれ動き出した日曜から数日がたっていた。

なぜか吉川家のリビングには吉川光輝、吉岡典子、吉川涼也(Ryo)、横山龍斗の4人に加え、マネージャーの郷田と中村女史の姿があった。

嫌な予感しかない典子(ワタシ)である。

「お久しぶりです」

中村女史が第一声をあげた。

「こちらこそ、いつも2人がお世話になってます」

(コウ)君が保護者の見本のような挨拶を返した。

「で、今日はどうしたんですか?」

せっかちな私は早速、本題に入ろうとした。



実は先日、Ryoと龍斗が揃って帰宅し、

「それって一体何なんだよッ!?」

と、私のイメチェンに突っ込んできたのだ。

どうやら正月に元嫁話を聞いた私が、(コウ)君に対する仕返し、いわゆる"嫌がらせ"のために男受けしそうな若作りをして他に男を引っ掛けようとしてるんじゃないかと不審に思ったようだ。

実は金を持っている・・・という年上マダム的な要素があることを知った2人は、私の斜め上をいく的外れな想像をしたようだ。

「あのね…」

本当のことを言うわけにはいかない私は、

・年下の元嫁に舐められないようイメチェンした。

(コウ)君は内緒にしてたことを反省して私に気をつかっているだけ。

・他の男へ走った訳でも浮気でもない。

など、配信番組のことには触れず事実だけを伝えた。

3人がコソコソ話しているところに(コウ)君本人が来て私の説明に嘘がないことを保証してくれた為、何とか2人は納得してくれた。

が、こんなにクソ忙しい中でも(コウ)君のことになると揃って時間を作り、私を問い詰めに来たRyoと龍斗に驚きと感動を覚えた。

本当に(コウ)君って愛されてるなぁ…と。

だからこそ、リアリティーショーに参加していることは絶対にバレてはならない!

バレた時のことを考えただけで、どんな恐ろしい目に合うか簡単に想像がついて吐き気がしそうだった。



2人が納得してやっと平穏な日々に戻ったかと思っていたのに、まさかの中村女史参上。

この人、苦手だぁ。勝てる気がしない。

「本日はお2人にお願いがあって参りました」

ビンゴッ!!!

ほらぁ~、もう()な予感的中やん。

「実はRyoと龍斗にSNSを開設させることになったのですが、会社といたしましては情報管理が難しいため、どなたかにチェックして頂こうという運びになりまして…」

「へっ?」

「そちらのお二方にお願いしたいのですが…」

「えぇ━━━ッ!」

「はぁ、なるほど…」

「いや、(コウ)君。何でそんなに冷静なん?」

反応が両極端な(コウ)君と私。

他人事(ヒトゴト)のように酎ハイを飲みながらスマホをいじっている龍斗は、もう最初の投稿をどうするか考えているようだ。

ヤル気を見せている龍斗に反して、急なお願いをすることになり申し訳なさそうにしているRyoは(コウ)君の顔色を伺っていた。

(コウ)さんゴメン。(コウ)さんも仕事で忙しいのにこんな無茶な頼み、ホント悪いと思ってる。でも誰かにチェックされるなら(コウ)さんしか思いつかなくて…」

うわぁぁ~。

捨てられそうな子猫みたいに潤んだ()

イチコロやろ、それ?

あの顔、あの()、あの声で頼まれたら断れる人なんか絶対おらんやろ?

私でも無理!

またこれが演技じゃないってこと知ってるから余計に断れんよなぁ。

Ryoが(コウ)君に迷惑かけたくないって本気で思ってることは私でも知ってるから。

「僕は別に構いませんよ」

「ッ!ホント?ありがとう(コウ)さん!」

「「ありがとうございます!吉川さん」」

話がまとまりお礼を言う中村女史と郷田さん。

アッサリOKかよ?

まぁ、そうなるとは思ってたけどね。

大切な甥っ子の頼みを優しい(コウ)君が断る訳ないってこの話が出た瞬間から私は分かってたよ。

でも…。

「あの~」

喜んでいる周りの空気を切り裂き私が口を開いた。

(コウ)君は分かります。SNSに投稿する際、いろんな加工して手を加えたり、面白くも綺麗にも出来るだろうから。でも私が関わる必要ってないですよね?」

私は素朴な質問を投げかけた。

「確かに技術的なことは叔父の吉川さんにお願いするでしょうが、吉岡さんにお願いしたいことは別にございまして…」

えっ?何頼まれるん?困るんやけど。

未だにスマホの機能扱えてないんやで私。

「ハードの面では吉川さんにソフトの面では吉岡さんにお願いしようと考えております」

「えっ?どゆこと?」

「知っての通り、この2人のファンは女性がほとんどです。女性の反感を買うような発言やスキャンダルに繋がりそうな投稿は絶対にNGです。そこで一般女性代表として吉岡さんに投稿内容のチェックをお願いしたいのです」

「私が?」

「はい、そうです」

真剣な顔で説明されてますが、一般女性代表って…。

「典子さんが女性代表って…(笑)」

「龍斗ッ!何かおかしい?」

笑っている龍斗を一喝してみたが自分でもそう思う。

「いわゆる"バズる"のはいいんすけど"炎上"は避けたいってのが本音なんですよ」

1番身近で2人を見てきた郷田さんが言うということは本当に心配して頼み込んでいるのだろう。

「意図は分かりましたが、女性代表なら私でなくても構いませんよね?」

私は率直な意見を述べた。

「…というと?」

出たっ。天敵・中村女史!

「いや、2人のファン代表の女性ならアラフォーの私より、年も近い五十嵐さんのような若い方の方がいいんじゃないですか?」

ねっ?普通なら誰でもそう思うよね?

「それなんですが…」

郷田さんが言葉を発する前に、

「俺が拒否ったんだよ」

Ryoが私の疑問に答えた。

「そういうことです」

中村女史が、"ということですが何か?"的な感じで私の疑問を一蹴する。

「いやいやいや、おかしいやろ?何で"拒否ったんだよ"で済むん?あんたのマネージャーやし年齢的に考えても適任やん?Ryoやって私にチェックされるん嫌やろ?」

食い下がる私。

「そこは私から説明させて頂きます」

興奮する私をよそにスッと会話へ参加した中村女史。

「吉岡さんのおっしゃる通り、年齢だけを考えるならマネージャーの五十嵐でも問題はないでしょう。しかし同い年の女マネージャーからチェックをされるということは、Ryoの性格を鑑みて決して良い結果を生むとは考えにくいのです。マネージャーに指図を受けた時点でプライベート感は薄れますし、せっかくSNSアカウントを開設したのにそれでは今までのマネージメントと何ら変化がないのです。新たなファン獲得に向けて、今まで表に出さなかった2人のプライベート感満載のものにしたいのです」

えぇぇぇ~、断りづらくなってきたやん。

「以前こちらにお伺いした際、2人との同居をお願い致しました。そして今日まで私共の想像をはるかに超える良い結果を出して頂きました。あれ以来、2人は仕事もプライベートも落ち着き、スタッフの印象もかなり良くなって本当に感謝しております」

「そ、それは良かったですね…」

なんかもう自分の未来が見える気がする。

商品(タレント)として2人をアピールするだけなら私共でも可能でしょうが、素のRyoと龍斗を感じられるものにするためには、やはりお二方のご協力が不可欠なのです。スーパースターである2人がプライベートではこんな風に過ごしている、というファンが知りたくて堪らない内容を投稿してフォロワーを増やすことが私共の目的ですから…」

おっとぉ、本音炸裂ですなぁ。

「じゃあ、そのプライベート感満載の投稿を、一般人の感覚でチェックするのが私の役目ってことですか?」

「…要するにそうですね。いかがですか?」

真っ直ぐに私を見つめる中村女史。

周りの男共は何かを感じ取り、さすがに誰も口を挟もうとしない。

リビングに緊迫した空気が流れた。

「ふぅ~」

大きくため息をつき断れないことを観念した私は、

「分かりました…」

とだけ言った。



その後、SNSの投稿に関しての条件を確認した。

・投稿前に(コウ)君と私のチェックを受ける。

・投稿は最低でも週1更新とする。

・女を匂わすような投稿は絶対NG。

・情報漏れは厳禁

・アカウントはRyoと龍斗2人で1つ開設する。

ということが、ひとまずの条件だった。

そして中村女史と郷田さんが帰った後、

さっそくリビングで4人の初投稿を考えていた。



日付が1月23日になった夜中にそれは開設された。

RR(ダブルアール)

と名付けられたバイクの車種のようなアカウントは、Ryoと龍斗の頭文字を取ったものだった。

何の前触れもなく深夜に開設されたアカウントのプロフィール画像は2人の顔面ドアップ。

それもキスするんじゃないかと思うくらい2人が向き合っている横顔の画像だった。

これだけでもファンにとって垂涎ものだ。

日本屈指のイケメン2人のBL感満載のTOP画。

深夜にも関わらず、この画像と投稿内容は一気に日本中を駆け巡り、翌朝のワイドショーのトップニュースになった。

初投稿で大した内容でもないのに、TOP画の衝撃が凄くてトレンド1位に躍り出たぐらいだ。

その内容とは、、、


『あけましておめでとう』

『アカウントを開設したよ』

『みんなヨロシク♪』

『今年の正月は楽しかったです』

『Ryo』

『龍斗』


投稿されたものは1枚の写真。

クールが売りのRyoとプライベートが謎に包まれている龍斗がまさかの満面の笑みで写っている。

2人以外の顔はぼかしているが、それは正月に私の家で撮ったあの集合写真だった。



吉岡典子、42歳。一度死んで異世界で転生し、その異世界で亡くなった魂が元の体に戻るという、とてつもないイレギュラーな体験をした主人公。スキル持ち。二人の子供を持つバツイチのシングルマザー。現在、吉川光輝と"結婚しない"ことを条件にパートナー関係にある。


吉川光輝、37歳。あだ名はヨッシー&(コウ)君。バツイチのゲームクリエイター。身なりに無頓着でちゃんとしたらモテるのに敢えてオタクを装おっていたイケメン。物好きにも典子に惚れた奇特な男。


吉川涼也、24歳。Ryoと言う名前で活躍する超人気アーティスト。国民栄誉賞を与えたいイケメンNo.1。忙しかった両親の代わりに幼少の頃から親代わりに育ててくれた叔父の光輝を(コウ)さんと慕っている。吉川光輝の甥で横山龍斗の親友。


横山龍斗、21歳。若手No.1のイケメン俳優。テレビ、CM、映画と人気抜群の国民的スター。ただし15歳より前の過去は謎に包まれている。スキャンダルも人気のうちと流した浮き名は数知れず。それすら人気に繋がる、吉川涼也とは親友。



郷田さん。独身貴族の龍斗のマネージャー。


中村さん。Ryoと龍斗の所属する会社の社長秘書。


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