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~あけおめ another side ~

第3章ー6





▼▼▼Ryo&龍斗side▼▼▼


朝っぱらから賑やかだ。

「さぁ、準備できた?」

「ちょ、ちょっと待って」

(コウ)さんが帰省の準備をしてもう出るところだ。

「あぁ、今日だったっけ?」

俺は部屋から出て、リビングでバタバタしている2人を見ながら、

「1週間あっちに行くんだっけ?」

そう尋ねた。

「そう。5日の夜には帰って来るから」

(コウ)さんが答える。

「紅白はあっちで見るから頑張って」

あの女が玄関に荷物を運びながらそう言った。

「じゃ、気をつけて」

「お前も龍斗と一緒になって羽目外すなよ」

「分かってるって(笑)」

「「行ってきまぁ~す」」

玄関のドアが閉まった…。

俺は2人が出たことを確認するとニヤリと笑みを浮かべながら龍斗に声をかけた。

「おいっ、龍斗!お前も準備しろよ」

「おっ?出たのか?」

「あぁ。俺達もホテルに行くぞ」

「今日明日、羽田に泊まって元旦にあっちへ行くんだよな?」

「あぁ。驚かせてやろうぜ」

「俺、海外よりも楽しみなんだけど(笑)」

「確かに(笑)」

そう言ったイケメン2人は悪巧みをしている代官と越後屋のような笑みを浮かべていた。



翌日の大晦日・・・

紅白にRyoは前半白組のトリで、龍斗はスペシャルゲストとして番組に参加していた。

「終わったらタクシー呼んでるから、ちゃんとホテルに真っ直ぐ帰れよ?」

マネージャーがしつこい。

「分かってるって、郷田ちゃん」

「マジで騒ぎ起こすなよ!正月早々、呼び出しなんてゴメンだからなッ、俺は!」

「大丈夫だって。なぁ、Ryo?」

龍斗が他人事(ヒトゴト)のように気楽な空返事をしている。

「Ryo、ホントに頼むぞ!正月休みぐらい俺達もゆっくりさせてくれよ?」

「私からもお願いします!」

郷田さんに続き、五十嵐ちゃんも念を押してくる。

「私、この正月休みで初めてのハワイなんです。初の海外旅行なんです。万が一、邪魔したら本気で恨みますからね!呪いますからね!」

五十嵐ちゃんの鼻息が荒い…。

「大丈夫だって。田舎に行くだけなんだから安心しろって。(コウ)さんもいるんだし」

俺はマネージャー2人にそう告げると、

"スタンバイお願いします"

という声に反応してステージへと移動した。

あと数時間で年が明ける。

サプライズで正月早々会いに行ったら、

あの2人どんな顔するんだろうな?

龍斗のちょっとした一言から思いついたイタズラだったが、割りと俺自身もワクワクしている。

この状況を楽しんでいる俺がいた。

「Ryoさん、お願いします!」

今年最後、仕事納めだ。

思いっきり盛り上げて終わらせてやる。

「「「キャ━━━━━━ッ!!!」」」

ステージに登場した俺に会場からは黄色い声援が飛び交った。



「ん…うっ…ったま(イテ)ぇ」

完全に飲み過ぎたな…。

紅白終わってタクシーに飛び乗り、真っ直ぐホテルに帰ってきたまでは良かったのに…。

ルームサービスで軽く食べた後、浮かれた龍斗と飲んじまったのがマズかった。

アイツのペースで飲んだらアウトだって分かってたのに、オフに入ったこともありブレーキが効かなかった。

「今、何時だ?」

誰に言うともなく時間を確認すると、昼前の11時をまわったところだった。

「やっべぇ!おいっ、起きろッ龍!」

「…んん?」

「飛行機の時間に間に合わなくなるぞッ!」

寝ぼけてる龍斗を片足で蹴飛ばしながら、俺はシャワーを浴びにバスルームへ向かった。

熱いシャワーを浴びると一気に目が覚めた。

急いで出た俺は半分夢の中の龍斗を強引にバスルームへ放り込んだ。

ドライヤーで髪を乾かしていると、やっと意識がはっきりした龍斗が、

「ガウン着たまま放り込むか、普通?」

と、文句を言いながらバスルームから出てきた。

「いいからお前も早く支度しろよ」

「分かってるって」

時計はもう12時になろうとしていた。

「何時発だったっけ?」

龍斗が着替えながら聞いてきた。

「13時15分発だよ」

「余裕じゃん♪」

「今日は郷田さん達いないんだからな。荷物もチケットも自分で持てよ?」

「チケットはRyoが持ってんだろ?任せた」

「龍…お前なぁ、、、荷物は持てよ!」

了解(ラジャー)

その後、俺達は何とか乗り遅れずに飛行機へ滑り込んだ。

(コウ)さん、びっくりするだろうな?」

龍斗が楽しそうに話し掛けてくる。

「で、典子さんがキレるんだぜ(笑)」

同じ事を想像していた俺は、

「だろうな(笑)」

そう答えると俺達は到着までの1時間、足りていない睡眠を取ることにした。



そして現在、

「見つけたぁぁぁッ!」

「やっとかよ」

遠くからでも俺が(コウ)さんを見逃すはずがない。

空港に着いてすぐ(コウ)さんに電話をかけると、今どこにいるか聞いた俺達はタクシーに飛び乗りこの神社までやって来たところだった。

ただ、神社に着いて(コウ)さんを探しているうちに俺達の方が見つかってしまった。

「「「キャ━━━━━━ッ!!!」」」

「Ryo━━ッ!」

「龍斗ぉ━━━━ッ!」

進まない・・・。

(コウ)さんのところにたどり着けない。



「なんでアンタらがここにおるんッ?」

いつものデカイ声が遠くから聞こえてくる。

どうせ文句でも言ってるのだろう。

(コウ)さんを見るとバツの悪そうな顔をしていた。どうやら今、あの女に説明しているようだ。

人だかりでなかなか前に進めないが、

まさか(コウ)さんのせいにしてないだろうな?

思ったより早く周りにバレて、当初の計画通りのサプライズにはならなかったが驚いているのは確かなようだ。

そう思っていると(コウ)さんから電話がきた。

「すごい騒ぎになってるから出るぞ」

「えっ?お参りは?」

「俺達はもう済んだから先に車へ避難しとくよ。お前らは後から来い。タクシーは呼んでおくから」

マジかよ!?

この人混みの中、Uターンかよ?

龍斗に説明して神社の出口に向かったが、やっと合流することができたのは40分後だった。



「ありがとうございました」

(コウ)さんがタクシーの運チャンにお礼を言いながら支払いを済ませている。

「ここがそう?」

「あぁ。ここが典子さんちだよ」

(コウ)さんが答える。

「思ったよりデカイ家だな」

龍斗が素直な感想を言う。

「新築だしな」

「マジかよ!典子さんってシングルマザーだろ?なんでそんな金あんの?」

「それ!俺も前から聞きたかったんだけど、あの人って収入どうなってんの?」

俺達の矢継ぎ早の質問に(コウ)さんは、

「とりあえず中に入ろう(笑)」

そう言って玄関の鍵を開けた。

生意気にもS◯COMに入ってやがる…。



中に入ると新築ってこともあり確かに綺麗で、微かにまだ木の匂いもしていた。

リビングダイニングも広めだし、土地と家を合わせてどんだけかかってるんだ?

「…(コウ)さん、マジであの人って何者(ナニモン)?」

俺はストレートに疑問をぶつけた。

「数ヶ国語喋れるのは知ってるし、それで翻訳の仕事してるのも聞いてるけど、こんな家建てて東京で別に暮らしてるなんて金がないと無理だろ?」

「確かに」

龍斗も同意する。

「実はすっげえ遺産があるとか?」

バカな発言を龍斗がする。

「帰ってきたら本人の口から直接聞きなよ。俺からは言えないよ。涼、お前が心配していた"金目当ての女"じゃないことは分かってもらえただろ?」

(コウ)さん、気にしてたんだな…。

「とりあえず適当にくつろいでろよ。もう少しすれば典ちゃんたちも帰って来るだろうし」

そう言われて俺と龍斗は(コウ)さんが冷蔵庫から出した缶ビールを受け取り、リビングのソファーに腰をおろした。




吉岡典子、42歳。一度死んで異世界で転生し、その異世界で亡くなった魂が元の体に戻るという、とてつもないイレギュラーな体験をした主人公。スキル持ち。二人の子供を持つバツイチのシングルマザー。現在、吉川光輝と"結婚しない"ことを条件にパートナー関係にある。


吉川光輝、37歳。あだ名はヨッシー&(コウ)君。バツイチのゲームクリエイター。身なりに無頓着でちゃんとしたらモテるのに敢えてオタクを装おっていたイケメン。物好きにも典子に惚れた奇特な男。


吉岡亘(ワタル)、22歳。

ゲーム好きの典子の息子。普通の会社員。


吉岡亜紀(アキ)、17歳。

しっかり者の典子の娘。アイドル好き。


吉川涼也、24歳。Ryoと言う名前で活躍する超人気アーティスト。国民栄誉賞を与えたいイケメンNo.1。忙しかった両親の代わりに幼少の頃から親代わりに育ててくれた叔父の光輝を(コウ)さんと慕い、現在一緒に同居中。吉川光輝の甥で横山龍斗の親友。


横山龍斗、21歳。若手No.1のイケメン俳優。テレビ、CM、映画と人気抜群の国民的スター。ただし15歳より前の過去は謎に包まれている。スキャンダルも人気のうちと流した浮き名は数知れず。それすら人気に繋がる、吉川涼也とは親友。


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