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~あけおめ~

第3章ー5




「おはようございます」

出版社に顔を出した私は、まず小説担当の近藤さんに挨拶をして今週分の原稿を手渡した。その後、翻訳担当の野村さんに訳し終わった原稿を渡してどちらも直しがあれば連絡をもらうということで仕事は終了。

帰ろうとした私に近藤さんが、

「あっ、吉岡さん。ちょっとお話が…」

「はい?」

「実は別の部署からお願いされてる件があって…」



「あり得んやろ・・・」

なんちゅう頼みごとしてくるんやッ!

つうか、(コウ)君も(コウ)君や。

何で説明してくれんのかと思ったら、こういうことだったんやな。そりゃ、自分では言わんやろな、私が怒るの目に見えとるし。

お世話になってる会社の人からの頼みだし、(コウ)君も知ってるから問題ないっていえば無いんやろうけど。

年明けからって…もう2ヶ月ないやん。

(コウ)君はまだしもあの2人には絶対に知られたらマズイ案件や。絶対にバカにされるし反対される。水面下でバレないようにコッソリやって、ひっそり終わらせて気づかれない内になかったことにしよう!

受けてしまったことを後悔しながら私はそう決意して会社を後にした。



そうこうしている間に12月になり、年末の特番やらレコーディングやらみんな追い込みに入って超忙しいみたいだ。

泊まりや朝帰りも増えて全員揃うことも少なくなった今日この頃。年末に帰省する私としては片付けられることは片付けておいて、正月はゆっくりと過ごしたい。そして家族みんなでのんびり過ごすのだ。

なんせ新年から面倒くさいことが待ってるし…。



そしてアッという間に年末が来て・・・

「さぁ、準備できた?」

「ちょ、ちょっと待って」

(コウ)君と帰省の準備をしてもう出るところだ。

「あぁ、今日だったっけ?」

寝起きのRyoが部屋から出て来て、リビングでバタバタしている私達を遠い目で見ながら、

「1週間あっちに行くんだっけ?」

「そう。5日の夜には帰って来るから」

(コウ)君が答える。

「紅白はあっちで見るから頑張って」

私は玄関に荷物を運びながらそう言った。

「じゃ、気をつけて」

「お前も龍斗と一緒になって羽目外すなよ」

「分かってるって(笑)」

「「行ってきまぁ~す」」

そう言って私達2人は久しぶりに田舎に帰ることとなった。子供らに会うのも2ヶ月ぶりだ。(コウ)君がまとめて年末年始の休みを取るために仕事を詰めたし、あの2人の引っ越しがあったりで先月は帰ってないしな。

楽しみだなぁ~♪

寝正月でぐ~たらする気満々だし。

さぁ、飛行機に遅れないよう出発だぁ!

この後の出来事を知らない私はのん気に実家での休みを満喫するつもりでいたのだった・・・



「ただいまぁ~♪」

「お帰りぃ~♪」

「ヨッシー久しぶり」

(ワタル)も亜紀ちゃんも元気してた?」

「元気やでぇ~」

「ヨッシー、帰ったら一緒にゲームやろうで」

「おっ?さっそくやるか?」

「アンタら、ちょっとはゆっくりさせてよ」

「お母さんは寝よってえぇよ」

「なんじゃそりゃ?亜紀はバイト休みなん?」

「三が日は休みもらった」

「そうなんや。とりあえず荷物運んで。はよ(ウチ)で落ち着きたいわ」

「車こっちにつけとるでぇ」

空港まで迎えに来てくれていた子供らは私よりヨッシーに会えたことが嬉しそうだ。

どういうこと?

口うるさいオカンより、優しくて一緒に遊んでくれるヨッシーが好きってことか?

「お母さん、はよ来てよ。」

「はいはい。」

車へ向かう最中も亜紀はお土産のアイドルグッズにテンション高めだし、(ワタル)はゲームの攻略方法を聞き出している。

まぁ、(ナゴ)やかな正月になりそうだ。



「できたよぉ~」

「「「待ってましたぁ~♪」」」

みんなで年末恒例の"ガキ~"を見ながら年越し蕎麦を食べるという幸せな時間を過ごしていた私。

もちろん紅白に出ているRyoの出番はガッツリ拝見いたしましたよぉ~。テレビで見るRyoはうちにいる時と違って別人のようにメチャメチャかっこいいんだから!

もちろん見た目は同じだけどテレビや写真に性格は表示されないからね。

さすが"国民栄誉賞を与えたいイケメンNo.1"だけあって見る分にはお腹いっぱいだな。

Ryo(ヤツ)は声もいいんだよねぇ。

家で喋ると毒舌なくせに…。

などと思っていたらもうすぐ新年だ。

4人でカウントダウンしながら新年を待つ。

「3、2、1、、、明けましておめでとうッ!」

年が明け、みんなで互いに「あけおめ」を言い合う。亜紀に関してはさっそく、

「お年玉よろしく~♪」

と両手を広げてすり寄って来た。

「アンタも現金なやっちゃなぁ…」

一応準備していたお年玉袋を手渡すと、

「じゃ、これも」

(コウ)君が横からもう1つ渡してきた。

「やったぁ━━ッ!」

「ちょ、ちょい待ちぃ」

私は慌てて亜紀からその袋を取り上げた。

(コウ)君はえぇよ。子供らには私から渡すんやから。」

「「えぇ━━━ッ!」」

ダブルでもらえると知った子供らはブーブー文句を垂れているが私は無視して、

「贅沢言わんの!」

と、渇を入れた。

「典子さん。年に1度のお年玉だし、俺からもあげたいんだからいいじゃん」

(コウ)君は甘いわッ!」

「「お母さんが厳しいんやッ!」」

多数決で私が負けた…。

離婚して元旦那の方のジジババからお年玉をもらえないのだから、大目に見てよと言われると何も言えなくなったからだ。

子供達はもらう物をもらうとサッサと自分の部屋へ移って行った。

その後、片付けをしながら時間を見ると深夜1時を回ったところだった。

「初詣は昼からでえぇよね?」

「うん、それでいいよ」

明日の・・・すでに今日だが、予定を確認して私達は今年もヨロシクと言って寝ることにした。



翌朝…というか昼に近かったが、元旦ということもありテレビは特番だらけだった。

気になる番組は録画してあるし、そろそろ初詣に出掛けることにした。

いつもは近所で済ますところだが、今年は実家の親に挨拶にしたついでに子供の頃に行ってた神社へ初詣することとなった。昼御飯を一緒に食べて(コウ)君とも挨拶を済ませ、子供らもお年玉をもらい、目的を済ませた私達一行は初詣へと神社へ向かった。

途中で仕事先からの連絡が入った私と(コウ)君や、逆に友達からの電話で新年早々テンションの高い娘など本当の家族のように過ごしている自分が幸せでたまらなかった。



お参りを済ませた後の楽しみは屋台。

"焼きトウモロコシ"と"イカ焼き"が鉄板の私。

目当ての屋台を探して人混みの中を歩いていると、

「「「「キャ━━━━━ッ!」」」」

すごい騒ぎが遠くで起きているようだ。

若い女の子の叫び声がひっきりなしに聞こえてるが、悲鳴というより歓声?アイドルのライブ会場に来たような騒ぎが起こっている。

「何かあったんかな?」

「有名人がおったりして(笑)」

呑気な我が家の子供達はたこ焼きを食べながら次の屋台(エモノ)を探していた。

「あのさぁ~、実は・・・」

騒ぎがどんどん大きくなり近くにいる(コウ)君の声も聞き取りにくくなっていたが、何やら言いにくそうに私達に声をかけてきたので慣れない土地で疲れたのかと思い、

「ちょっとそこらで座って休む?」

と、私が言った時。

「見つけたぁぁぁッ!」

「やっとかよ」

「ッ!!!」

振り返るとRyoと龍斗の顔が・・・。

「うそやろぉ~♥️」

「うわッ、まじかッ!?」

「なんでアンタらがここにおるんッ?」

子供達とまったく違う反応をする私。

とっさに(コウ)君を見るとバツの悪そうな顔をして、

「ゴメン、典ちゃん。さっき電話でこっちに来たって連絡があったんだけど、何て言ったらいいか分かんなくて言いそびれちゃって…」

マジか?嘘やろぉ~。

正月休みについてきたんかよ?

「騒ぎになるはずやゎ…」

人だかりでなかなか私達のところまで来れないようだが確実に"人気芸能人"が2人セットで近づいて来ている。

このままでは私達もあの人混みに巻き込まれて身動きが取れなくなりそうだ。

(コウ)君、Ryoに電話して。神社の出口にタクシー呼んどくから後から合流って伝えて」

そう言うと私はすぐさまタクシーを呼んだ。

私達はお参りも終わってたし、目当ての屋台も堪能していたので先に出て、(ワタル)の車の中で待つことにしていた。

タクシーには一目で分かる芸能人2人組が来るので、この住所まで送ってくれと伝えていた。念のため先導の意味もあり私達の車が前を走る予定だ。



…40分後にやっと2人がタクシーに到着した。

私達が10分で出られた神社を4倍かかって脱出。

巻き込まれなくて良かった。

(コウ)君とRyoが電話でやり取りしながら私の家まで2台で行くことになった。

途中スーパーに寄って帰ることにした私達を尻目に(コウ)君がタクシーに乗り込み先に帰ってもらうことにした。

「お母さん、どうするん?」

(コウ)君がいなくなり吉岡家の3人で買い物をしていると、亜紀が興奮しながら聞いてきた。

「どうするもなにも、来てしもうたんやけん仕方ないやろ?晩ごはんやって食べるやろうし、外に出たらさっきみたいな騒ぎになるん分かっとるやん」

「うちに泊まるんッ!?」

「さぁ、ホテル取っとんかな?」

「アンタが帰って聞いてみたら?」

「そんなん聞けんわッ!」

「アンタらとあの2人はお母さんより年近いんやけん話やすいやろ?」

「お母さん、アホちゃう!ただの年近い人ちゃうんやで?あのRyoと龍斗なんやで!」

「俺は亜紀よりまだ緊張せんかな」

(ワタル)はそうなん?」

「逆に女性アイドルだったら絶対無理やけど」

「あははっ、なるほどね」

何食べるかな?好き嫌いあるかな?

芸能人やからご馳走でないとダメなんちゃう?

お酒は多めに買っとこう・・・

などなど、亜紀のテンションが異常。

正月早々、大量の買い物をして帰宅したのは1時間後だった。



吉岡典子、42歳。一度死んで異世界で転生し、その異世界で亡くなった魂が元の体に戻るという、とてつもないイレギュラーな体験をした主人公。スキル持ち。二人の子供を持つバツイチのシングルマザー。現在、吉川光輝と"結婚しない"ことを条件にパートナー関係にある。


吉川光輝、37歳。あだ名はヨッシー&(コウ)君。バツイチのゲームクリエイター。身なりに無頓着でちゃんとしたらモテるのに敢えてオタクを装おっていたイケメン。物好きにも典子に惚れた奇特な男。


吉岡亘(ワタル)、22歳。

ゲーム好きの典子の息子。普通の会社員。


吉岡亜紀(アキ)、17歳。

しっかり者の典子の娘。アイドル好き。


吉川涼也、24歳。Ryoと言う名前で活躍する超人気アーティスト。国民栄誉賞を与えたいイケメンNo.1。忙しかった両親の代わりに幼少の頃から親代わりに育ててくれた叔父の光輝を(コウ)さんと慕い、現在一緒に同居中。吉川光輝の甥で横山龍斗の親友。


横山龍斗、21歳。若手No.1のイケメン俳優。テレビ、CM、映画と人気抜群の国民的スター。ただし15歳より前の過去は謎に包まれている。スキャンダルも人気のうちと流した浮き名は数知れず。それすら人気に繋がる、吉川涼也とは親友。


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