~田舎と都会の違い~
第2章ー3
「今度の週末そっちに遊びに行くけん!」
東京での生活が3週間過ぎ、お互い日々のルーティンが分かってきた頃に子供達から連絡が来た。
シルバーウィークに二人揃ってこっちへ遊びに来るそうだ。コウ君の自宅が見てみたいと前々から言ってたし、娘の亜紀は来年受験なので、
『チャンスは今だっ!』ってところだろう。
私も子供達と久しぶりに会うのが楽しみだ。
数日後・・・
あっという間に週末が来て、私は空港で子供達が出てくるのを待っていた。
娘はよくライブなどで上京していたが、学生でお金が無いため交通手段は夜行バスがメインだった。だが宝くじが当たった今、何の遠慮もなく飛行機のチケットが買える。
早い!一時間ほどで東京に着く。
だが、ここからが問題だ。
都会に来た田舎モンあるある・・・
【空港・駅が広過ぎる】
到着してから外に出るまでが大変。
どんだけ歩くんだ…と泣き言を言いたくなるくらい時間がかかる。ちなみに地元の香川では空港もJRも到着して2、3分もしないうちに外の空気が吸える(=タバコが吸える)。
【出口が分からない】
都会は北口だの南口だの東西南北に飽き足らず、中央出口まであったりするので間違った出口に向かうと迷子になる。
我が地元は空港もJRも出口はひとつだ。
迷わない、迷うはずがない。迷う暇がないから。
【路線が多すぎる】
JRと私鉄で各路線が多岐に渡っているため、どこでどう乗り換えたらいいのか分からない。
またもや我が地元はJRなら高徳線、阿南線、伊予線とはっきり目的地ごとに路線が区分けされていて悩まない。私鉄はひとつしかなく、路線も琴平線、長尾線、志度線の三つしかなく図解すれば【ψ】こんな感じ。
これも悩まない。
ただ、本数は極端に少ない…。
そんなこんなで空港内を必死に歩き、覚えたての目的路線に乗り、やっとこさマンションに着いた時には昼過ぎだった。
「スッゴ~!こんなトコに住んどん?」
「ドラマみたいやん!」
子供達はマンションに入ってからテンションが上がりっぱなしだ。
田舎育ちの私らにとって都会のマンションは問答無用で憧れの対象なのだ。
「送っといた荷物どこ?」
「あっ、俺のも。」
たった二泊三日の旅行なのに、なんやかんやトランクに詰め込んで先に送ってきてた。
「とりあえず何か食べに行く?」
私は二人をランチに連れ出し東京滞在中の観光予定を確認した。
「とりあえずランチ食べた後はどうするん?」
「私はショップで買い物する!」
「俺もアキバで買いモンの予定。」
「なんや二人ともバラバラなん?」
「行きたいとこ違うし!」
二人とも何か予定を立てて来てるみたいで、
来た早々すでに用無しの私。
なんか淋しいやん…。
「で、明日はどうするん?」
最近見つけたお気に入りのカフェで家族水入らずの食事を取りながら聞いた。
「明日の予定は全部決まっとるから、お母さんはついて来てくれたらえぇわ。」
「そうなん?どこ行くん?」
「それは行ってからのお楽しみ♪」
「なんじゃそりゃ。(笑)」
どんな予定かは知らんけど、久しぶりに子供達と一緒に出掛けられるのは私も楽しみだ。
娘の亜紀は今でも一緒に買い物に行くが、息子の亘は高校あたりから私と出掛けることはなくなった。
さすがにいい年して‘’母親とお出掛け‘’は普通ないわなぁ~と思いつつも、やっぱり息子と一緒に出掛けられるのは母親として嬉しい♪
食事を済ませて店を出ると目的地へ散らばった。
夜・・・
「おかえり~。」
「あっ、ヨッシーおかえり。」
「ヨッシー久しぶり。」
目的の買い物が済んでご機嫌の子供達と晩御飯を食べているとコウ君が仕事から帰って来た。
「亘、亜紀ちゃん、いらっしゃい。」
おぉっ!コウ君が満面の笑み。
いつもクールなコウ君がテンション高め。
「亘、後で一緒にゲームしようぜ。」
「うん、ヨッシー!」
「まずご飯食べなよ。」
「ありがとう典ちゃん。」
「ヨッシー私も後で相談あるけん。」
「了解、亜紀ちゃん。」
「相談って何よ、亜紀?」
「内緒や。」
「何でコウ君に言うてお母さんに内緒なん?」
「うるさいなぁ、今度教えるわ。」
「なんかムカつくから順番に風呂入れっ!」
「じゃ、亜紀が一番!」
「俺が先に入る!そんで風呂から出たらヨッシーとゲームするんや。」
「どっちでもえぇから、はよ入れ。」
「んじゃ、ジャンケン!」
亘と亜紀はどっちが先か揉めているが、どうせ結果は分かっている。勝とうが負けようが亜紀がゴネて亘が折れるのがいつもの光景だから。
案の定ジャンケンで負けた亜紀が、
「もう一回!やっぱ三回勝負しよっ!」
「えぇ~、またぁ~?」
「兄ちゃん、お願い!!」
「分かったわ…。」
結局、三回勝負でも負けたのに亜紀がお願い攻撃に方向転換して予想通り亘が折れた。
二人のやり取りをとても楽しそうに見ながらご飯を取っていたコウ君が、
「こういうのいいよなぁ…」
と呟いた。
「うるさくてゴメンな。」
「いや、賑やかで楽しいじゃん。俺ずーっと独りだったから、こういうの楽しいよ。」
そっか…コウ君は私と違って離婚してからずーっと独りだったんや。家族に飢えてたのかも。
「明日楽しみだね。」
「コウ君は仕事なんやろ?」
「あっ!だけど晩御飯は一緒に取れるよ。」
「仕事終わったら連絡して。」
「うん。」
そんな話をしているいうちに亜紀が一番風呂から出て来て、亘が速攻でバスルームに飛び込んだ。
吉岡典子、42歳。一度死んで異世界で転生し、その異世界で亡くなった魂が元の体に戻るという、とてつもないイレギュラーな体験をした主人公。スキル持ち。二人の子供を持つバツイチのシングルマザー。現在、吉川光輝と"結婚しない"ことを条件にパートナー関係にある。
吉川光輝、37歳。あだ名はヨッシー&光君。バツイチのゲームクリエイター。身なりに無頓着でちゃんとしたらモテるのに敢えてオタクを装おっていたイケメン。物好きにも典子に惚れた奇特な男。
吉岡亘、22歳。
ゲーム好きの典子の息子。普通の会社員。
吉岡亜紀、17歳。
しっかり者の典子の娘。アイドル好き。




