2話 ver2 雛鳥になりたくて
2話の一人称になります。ver2と書いてあるのはゲスい1人称になります。すっ飛ばしても問題ありません。宜しくお願いします
「サラ先輩どうしましょう~」
おっ、後輩かな?まだほんのり少女のあどけなさが残ってる。
「召喚陣や詠唱に不備などなかったように思えるが…何か異常はあったか?」
サラちゃん隊長役なのかな?できる上司みたいでクールだね。
「「「「な゛に゛も゛あ゛り゛ま゛せ゛ん゛て゛し゛た゛~~」」」」
みんな泣き出しちゃったよ、なんだかあれだ、あれ。卒業式みたい。
サラ隊長が除隊する日は第二ボタンの奪い合いだな。
「こらっ!お前たち、私たちはボフマン王国の第一魔女小隊だぞ!」
あっ、ボフマンっていうんだ、この国。ようやく知ったよ。
小隊と言っているし、一応軍人なのかな?
「エリートたる私たちがそんなんでどうするっ!」
自分でエリートって言っちゃったよこの人。
自信持たせようとした…というよりも普段からこうなんだろうなきっと。
「でも~
このままじゃあ最悪死刑になっちゃうかもしれないんですよ~
まさかほんとに家畜小屋に放り込まれたりしたら~
どうしたらいいんですか~」
そりゃ100年に一度の国家的一大プロジェクトが成功したと思ったら、中途半端に失敗したようなもんだからね。
一体どんな罪で罰せられるんだろうか。正直、勝手に召喚したんだからこっちとしては彼女たちが罰をくらってもざまあくらいにしか思わないが、さすがに死刑は寝覚め悪いからせめて減刑になるくらいの行動はするか…。
「それをこれから皆で考えるのだ!!そんなすぐ死刑になるわけでもあるまい。」
だよね。効率を最重視したソ連型即決裁判で死刑みたいなのはなさそうだ。
…いや、まて、裁判自体あるのか?この時代。
「召喚した我らにしか原因究明と解決ができないだろう。
そういう風に話をもっていくしかない。
こんな事件の責任など誰も取りたがらないだろうしな。」
端正な顔して案外泥臭い考えするのねこの子。
「今回のことは誰が悪いという事にはしない。
その代わり皆で乗り切っていくしかない。
私たちにはできる、やってみせようじゃないか!」
おおっ、どうやらサラちゃんは奮起させることに慣れているようだ。
”20代魔女が贈る部下をやる気にさせる30の魔法の言葉”なんてビジネス本でもだしたらどうだろうか。
「「「「お゛ね゛え゛さ゛ま゛ぁ゛~!!!」」」」
百合だ!百合!!とうとい!!!
「その呼び方はやめろといっているだろう、まったく」
サラちゃんから隠し切れない母性を感じる。ぼくも撫でて!そして育てて!!
「私たちも戻らねばなるまい、各自部屋に戻るぞ。集合には追ってまた連絡する。」
「まったく、できることなら私もあかちゃんにもどりたいものだ」
わかる、わかるぞっ。すべて投げ出してあかちゃんになってしまいたいその気持ち。
サラちゃんは部下を持つ身だ、プレッシャーもだんちだ。
お互い酒でも飲みながら語り合いたいくらいだ話も合うだろう。
働くの辛いよなきついよな。
だから一足お先に一抜けさせてもらう。お疲れさまでした。
「何をしている、早くこないと置いてくぞ」
おいでおいでされたぞっ!
マンマァ~いまいきます~あかちゃんだからはいはいしなきゃだよね。
「…引っかからなかったか。もし歩いたら、振りをしているだけだとわかったんだが…。」
あっぶねえ!あかちゃんになりきったままでよかったぜ。油断できねえな、こいつぁ。
「しかたない、この中で一番背が高いのは…、ヒルデ、この男を部屋までおぶってやってくれ。」
!!おんぶっ!抱っこのほうがいいけど、まあ贅沢はいわない。
ヒルデちゃんは貴公子みたいなクールビューティーだな。
背が高いから女子高にいたら王子様としてモテそうだ。
「部屋についたらベッドに放り投げとけばいいから。」
扱い雑すぎんだろ!さっきまでにじみ出ていた母性はどこへ消えた!!
ぼくあかちゃんだぞ、あーかーちゃーんー!!!
「そんな不服そうな顔をするな。」
えっそんなひどいヒルデちゃん。いったい何が不満なの?!
「負傷兵の救護訓練とでも思えばいい。
私も一緒についてってやるから。」
すーはーすーはー。すーはーすーはー。あ~ヒルデちゃんからほのかにいい匂いがする~。
…人の体温というのは、こんなにも温いものだったんだな。
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ドサッ
ちょっ、投げ飛ばすなんて扱い雑すぎない?ぼくあかちゃんなんだけど!
「サラ隊長、では戻りましょうか。」
「いや、まて。この男の衣服をまだ調べていない。脱がすぞ。」
男の服を引ん剝くなんて、サラちゃんって意外と痴女だね。
後輩もドン引きしてるやん。
「えっ…。わ、わたしはまだ男を知らないのでそういう事は…。」
まじで?!ヒルデちゃん処女なの!?
「ばぶぅ~」
やべっ、にやにやがとまらない。
「なに、私もだ。さっさとするぞ。」
「た、隊長もですかっ。よ、よかったっ!」
サラっと衝撃発言!ヒルデちゃんの目がハートマークになっちゃってる。
男にサラちゃんが汚されてないよろこびを共にわかちあおう!
「コートに、上着…おそらくスーツと呼ばれる服装だろう。
やはり以前召喚した者が来ていたスーツのスタイルとの違いはあるようだな。
どうやら小物がいくらか入っているようだ。後でじっくり調べねば…。」
おい、俺の財布パクんな…ってもうこっちで向こうの金を使えないんだよな。
何のために貯金したんだか。パーッとつかっちまえばよかった。
「ああ、もう、他人の着ているボタンをいちいちはずすのがわずらわしいな、これくらい自分でやってほしいものだ。
まったく、なんなんだこの男は。」
あかちゃんですっ!
う~ん、服を脱がされると養われてる感がすごいですね。
「それから…これは、まさか時計か!?
すごいぞ、特殊な金属でできているようだ。
こんなに光り輝く精密な時計は見たことがない!」
ちょっま、それ俺のとけっ…!
「やりましたねっ!死刑にならずにすみそうですか…?」
やりましたねじゃねーよ!俺のだよ!
「ああ、恐らくな、これだけでも失態をかなり埋め合わせられるくらいの収穫になるかもしれん!」
お前らは時計を略奪しまくったソ連兵かよっ!
ソーラー式だぞ、それっお前らにソーラー式なんかまだはやい!
「ばんぶぅーばんぶぅー」
返せ、返せよぉー。ギャルにカツアゲされてるみたいじゃんかぁ。
「さてと、残りのズボンをはずしてっと。
ヒルデ、下着は私が脱がすから、お前は靴下を頼む」
うう…まさか異世界にきてカツアゲされるなんて…。
でもパンツまで脱がしてくれるし…。
どうせなら恥ずかしがってもじもじしているヒルデねえさんにやってほしい。
「わかりましたっどぅえ!?!?くっさ!!隊長!」
大げさだな、洗濯の時間なかったから3日連続ではいただけなのに。
「ひどいにおいがしますよっこれ!捨てちゃいましょう!」
「いや、だめだ。所持品の処分は現時点で一切できない。」
いや、当たり前だろ俺のだぞ勝手に捨てようとするな。
「ゴミのような靴下だろうが。」
俺が何も言わないからってひどい言いようだな、おい。
「例え下着であろうと、な。」
ヒルデちゃんと密着した後だし、女子にパンツはぎとられちゃったりしたら…!!
「…ほお、立ち上がれはしないが勃ち上がりはするということか。」
ぞうさんがぱおーんしちゃってもしょうがないよね。
…けど慈愛に満ちた眼差しであやされるように脱がしてくれると思ったら、まさか身ぐるみ剥がされ侮蔑の視線をおくられるなんて、ぼくの想像していたあかちゃん生活じゃない…。
「ばぁぶぅ~…」
ん?新しい服?って、えっ、着させてくれないの…?!
「…夕食の時間になったらまた来ます。それまでおとなしく寝といてください。」
そんなぁ…。自分で着たら、意識があるってばれちゃうし。
このままで寝ろだなんてネグレクトだぁ…!
バタン
……。
…………。
俺の今の状況はどんななんだろう。
そうだ、異世界ものには定番のステータス表示でわかるんじゃないか…!?
ステータス…!
………。
ステータスオープン…!!
………………。
口にしないとだめなのか?
「ステータス」ボソッ
………………………………。
これ以上はむなしくなるだけだから、さっさと寝よう。
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