1話 ver2 召喚
3人称と1人称を交互でやっていきたいと思います。ver2と書いてあるのはゲスい1人称になります。すっ飛ばしても問題ありません。宜しくお願いします
うおっ……なんだ、まぶしっ……
「おお、われらに繁栄をもたらす異世界人よ!」
は?何言ってんだこのおっさん?
なんかめちゃくちゃ高そうな服着てるし。
「いきなり召喚されてさぞ驚いていることだろう!」
召喚……?
確かにあぐらかいてる俺のいる床にはなんかまがまがしい魔法陣みたいなのがあるけど…。
「だが、どうか我らに、知識や知恵を授けてほしい!これまでの異世界人は、アラビア数字やノーフォーク農法、製紙、マヨネーズの調理法などなどを教えてくれた。」
えっ、もしかしてここ数年話題になってる異世界というやつか…?
テンプレ知識もう使われちゃってるじゃねーか!
ってか今までにもいたのかよ。
「おかげでこの国は周りの国よりも発展し大国となりつつあるのだ。」
富国強兵真っ最中というやつだろうか…?
ってか大国になってないのかよ。
「ちなみに、残念ながら、そなたを召喚した隣に控えている侍女たちですら、そなたを元居た世界に戻すすべは未だもたない。」
オイ。
持ってねーなら、任された大役無事に果たしましたみたいなすっきりしたどや顔するなよ魔女さん達よ。
まあ、あんな残業過労上等社会になんか戻りたくないけどな。
「だが安心するがよい」
いや、無理だろ、できねーよ。
「私はこの国の貴族であり大臣である、そなたの衣食住は責任を持って我が家で貴族待遇を約束しようではないか!」
あっ、結構安心できるわ、一応追放されずにはすみそうだ。
それに大臣クラスなら金あほみたいに持ってるだろうし、貴族の権力使っていろいろとウハウハしてみたいヤッてみたい。
「さあ、異世界人よ、返答はいかに・・・!?」
……だけど、よくある異世界ものみたいに現代知識披露とかしちゃうといままでみたいに
結局残業やらなんやらが多くなって転移前と変わらなくなりそうなんだよな……。
それに国政左右するような重要なポジションについたらそれだけでプレッシャーでストレスマッハになりそうなのが目に見えてるし……。
…うーむ、つまり、なんとか働かずに養ってもらうには………。
…………
……………………
「バブゥーー」
赤ちゃんのふりしてずっと甘やかされながら貴族として養ってもらおうっ!!!
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「はっはっ、いやはや、異世界人よ、冗談はよしてくれ。どうみてもそなたは赤ん坊ではない。」
はっはっは、冗談にしたくないんだな。
「ばぁぶばぁぶぅー。」
すぐに反応すると言葉がわかっていると理解されてしまうから間をあけたり、答えなかったりしたほうがいいだろう。
「おい、サラよ、いったいこれはどういうことだ。」
やべえよ、大臣汗かきながらぷるぷるしちゃってるよ。トイレでも我慢してるのかな?
「え、えっと。」
おっ、君がサラちゃんか。眼鏡っこで、銀髪赤目のとんがり帽子をかぶったいかにも魔女っぽい服を着ている。う~ん、控えめに言ってもかなり綺麗でセクシーだ。
さっきまでの自身たっぷりなどや顔はどこにいっちゃったのかな?
「失敗したのか。」
サラちゃん頭よさそうだから今まで失敗したことなさそう。初めての挫折経験かな?
「…………。」
「失敗したのかと聞いているっ!!」
サラちゃん達なんだか野球ボールで窓ガラス割っちゃって校長先生に怒られちゃってる野球少年達みたいにシュンとなっちゃってるよ。
「お、恐れながら、3つの可能性が考えられます。」
3つ?!
「1つ目は、召喚する際何らかの間違いが発生し、精神が赤ん坊に退行した可能性。
異世界人の知識や知恵が失われたも同然であり、最悪な場合となります。」
うん、その可能性でぜひお願いしたい。ばぶぅ~。
「2つ目は、言語の自動翻訳機能がうまく作動せず、彼の母国語がすべて赤ちゃん言葉になってしまった、もしくは赤ちゃん言葉のような言語が彼の母国語で翻訳機能が作動していない可能性。
これでしたらファーストコンタクトの外国人とやり取りするようなものなので、意思疎通は根気よく続けていけばなんとかなりそうですし希望はあります。」
なるほど、その可能性があったか。赤ちゃん扱いしてくれなさそうなのが厄介だな。
「3つ目は、何も問題はないが、わざと赤ちゃんのふりをしている可能性。
これが一番最良な場合です。ですが、メリットがないため、これは正直可能性は低いかと。」
サラちゃん大正解ー!
メリットは君の胸くらいでかいんだよなぁ。
そのまま可能性はないも同然と考えていてくれたまえ。
「まったく、異世界人の召喚は100年に一度しか行えないのだぞ!」
えっ、まじで?
「つまりこのままだと我が国は100年の停滞を余儀なくされることになるっ!!」
そんな大事だったのかよ。つまりこの国は100年知識チートによるブーストがなくなったようなもんか。
そりゃサラちゃん達顔青くなっちゃうわ。とんでもない失態だもんね。
「100年だぞっ!!!100年っっっ!!!!!」
ウソウソ!ジョーダンっしたぁー!だなんてとてもじゃないが言い出せそうにないな…。
やべえわ、なんとかして隠し続けないと………。
「わかっておるのかぁっ!!!」
チッ、うっせーな。反省してまーす。
「も、申し訳ございませんっ。早急に対策を…。」
対策の対策をしないとまずいな、こりゃ。
「当たり前だっ!!儂は自室に戻る。
異世界人はひとまず部屋まで連れていきメイド達と世話でもしとくように!!」
メイドさんいるの!?やったね!!うっひょお~たっのしみぃ~!!!
大臣のお手付きじゃなければいいなあ…。
「事態が好転しなければブタ箱にぶち込まれることも覚悟しておけ!!」
そんな…なんてかわいそうなんだ…ひどい奴め。
しかし、残念だが君達に僕がしてやれることはなさそうだ…。
どうやら大臣は自分の部屋に引きこもりに行ったらしい。
乱暴に閉められた扉の音が反響し終わると、残された魔女達の目は潤んでいて、なぜだかとても愛おしく感じてしまうのだった。
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